検索
         
  1. スマートウォッチライフTOP
  2. NEWS
  3. 大麻は睡眠の質を向上させるか?フィットネストラッカーのデータを解析した米国の調査結果

大麻は睡眠の質を向上させるか?フィットネストラッカーのデータを解析した米国の調査結果

NEWS

公開日: 最終更新日:

 

米国で人気急上昇中のフィットネストラッカーであるWHOOPはユーザーからのデータを基に解析した様々な興味深い調査レポートを公式ホームページで公開し続けています。

4月20日付の記事(*1)は「大麻が睡眠、安静時心拍数、そして心拍変動に与える影響」(筆者訳)という刺激的なものでした。

あわせて読みたい

ディスプレイも時計機能もナシで本体は無料。サブスク型のフィットネス・トラッカー『WHOOP4』がアメリカで注目を浴びるワケ

全米で18州、人口の約44%には大麻は合法

誤解のないように説明しますと、2022年現在、米国内の18州で大麻の娯楽用摂取が合法化されています。それに加えて、首都ワシントンがあるコロンビア特別区とグアム準州でも合法化されています。『US News』の記事(*2)によると、2020年の国勢調査で3億2950万人とされた総人口のうち、約44%にあたる1億4500万人が大麻を合法的に使用できる州か地域に住んでいるのだそうです。

大麻が日本では厳しく禁じられていることは承知していますし、そのことの是非について論じようとは思いません。ただ、WHOOPの調査が反社会的というわけではない(少なくとも米国内では)ということだけは述べておきます。

主観とは大きく異なった客観的データ

WHOOPがこの調査を行う数年前、コロラド大学ボルダー校の研究グループが大麻と運動の関係についての調査を発表したことがありました(*3)。

この研究では娯楽用の大麻が合法化された5つの州から600人以上の男女を対象に様々な聞き取り調査を行いました。回答者の80%以上の人がエクササイズの前後に大麻を摂取していました。エクササイズがより楽しくなったと回答したのはそのうちの70%、回復が早まると回答したのが78%、モチベーションが上がったと回答したのは52%、ということでした。主観的には、大麻はまるで魔法のクスリのように、人々の健康に寄与しているはずでした。

WHOOPが今回行った調査は、主観を排し、ユーザーから提供されたデータの解析のみを行ったものです。大麻を日常的に使用するユーザーの睡眠、安静時心拍数、心拍変動などのデータが、大麻を使用する日としない日で、どう変化するかについてを比較したものです。以下にその要点を列挙します。

●大麻を日常的に使用する(直近90日間で10回以上)ユーザーは男性が10.8%、女性は9%
●最も使用率が高いのは30-39歳の男性(12.7%)
●最も使用率が高い曜日は土曜日(47.6%)、最も低い曜日は月曜日(40%未満)
●大麻を使用した日の平均睡眠時間は使用しない日より0.4分のみ多い
●睡眠の質とパターンは大麻を使用した日は約1%低下する
●安静時心拍数の平均は大麻を使用した日(60bpm)と使用しない日(59bpm)でほぼ同じだが、使用しない日の数値はやや望ましい
●心拍反動の平均は大麻を使用した日(56.7 ms)と使用しない日(59.5 ms)で、ほぼ同じだが、使用しない日の数値はやや望ましい

WHOOPは結論として、「大麻を使用しても翌日の回復度にほとんど変化は生じない」としています。むしろ、「安静時心拍数と心拍変動の数値評価は大麻を使用するとやや悪化する」とも述べています。手っ取り早く言えば、大麻を吸っても、よく眠れるわけではないし、疲れが取れるわけでもないようです。

大麻解禁を主張するグループにとっては「不都合な真実」かもしれません。はっきりと有害であることが証明されているタバコやアルコールに比べると、大麻はまだマシな方だと言えるのではないかと、私自身は考えます。

もっとも、WHOOPのユーザーは一般的な標準からすると健康に関心の深い、活動的な人たちの集まりです。WHOOPはサブスクリプション形式で、月額20~30ドルと決して安いモノではありませんので、経済的にもある程度の余裕がある層だとも推測できます。

そもそも大麻の解禁は娯楽ではなく医療目的から始まりました。メンタルヘルスの改善などのもっと切実な理由で大麻を必要としている人々については、この調査結果から読み取ることはできません。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani

*1. Impact of Marijuana on Sleep, Resting Heart Rate & HRV
 https://www.whoop.com/thelocker/impact-of-marijuana-sleep-resting-heart-rate-hrv/
*2. States Where Recreational Marijuana Is Legal
 https://www.usnews.com/news/best-states/slideshows/where-is-pot-legal
*3. The New Runner’s High? Examining Relationships Between Cannabis Use and Exercise Behavior in States With Legalized Cannabis
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2019.00099/full

あわせて読みたい


アップル社がApple Payのロシア国内大手決済カードを介した利用を停止


テクノロジーを悪用するストーカー犯罪。女性の車にApple Watchを取り付けた男性が逮捕

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事


   

RANKING

  1. 「ChatGPTが“嘘をつかなくなる”?」SNSで話題の“ファクトベースAI”プロンプトが凄い!

  2. HUAWEI WATCH GT 6レビュー:ディスプレイの美しさと21日間バッテリーが圧倒的|Apple Watchとの比較も

  3. ChatGPTを“おだて役”から“辛口参謀”に変える! SNSで話題の「神プロンプト」10選

  4. “テクノロジーを使えない=人生がハードモード”という現実:勝間和代が明かす「時間を買う」家電活用術

  5. 「ChatGPTの“優しさフィルター”を外したら成果が上がった」――海外ユーザーが話題のプロンプトを公開

  6. Xiaomi Smart Band 8 Proが税込4,980円! イオシスで未使用品が約300台限定入荷

  7. これでAIのウソが激減! ChatGPTを検証モードに切り替える「事実確認系プロンプト」10選

  8. ChatGPTが“すぐ忘れる”理由と対策──命令をほぼ永続させる3つの方法

  9. オフィスにも自宅にも映えるミニマルチェア、イトーキ「SHIGA」登場。発表直後からSNSで大反響

  10. チタン製Apple Watchバンド「C01」「C03」がAULUMUから登場。高級感と機能性を融合

   

NEW CONTENTS

  1. 「スマートウォッチは買ってよかった家電ナンバーワン」――勝間和代が語る、健康・決済・通知を最適化する日常

  2. GPT-5.1の最新ガイドが公開。初心者でもわかる「進化ポイント」と活用術をやさしく解説

  3. ChatGPTの人格モードは何が違う? 新モード「プロフェッショナル」まで全種類を詳しく解説|文体サンプル付き

  4. パキスタン大手紙、紙面にChatGPTプロンプト誤掲載で炎上|SNSで嘲笑と批判相次ぐ

  5. オフィスにも自宅にも映えるミニマルチェア、イトーキ「SHIGA」登場。発表直後からSNSで大反響

  6. “テクノロジーを使えない=人生がハードモード”という現実:勝間和代が明かす「時間を買う」家電活用術

  7. HUAWEI WATCH GT 6レビュー:ディスプレイの美しさと21日間バッテリーが圧倒的|Apple Watchとの比較も

  8. Amazonブラックフライデー2025:11/24(月)〜12/1(月)開催。先行セールは11/21(金)から!SWL編集部が“買い”のスマートデバイスを厳選

  9. 新世代の超軽量AMOLEDスポーツウォッチ「COROS PACE 4」登場。PACE 3から進化したディスプレイと機能を徹底解説

  10. 【神コスパ】Xiaomiの「90W HyperCharge Power Adapter」が3,480円! 3ポートで90W出力