近年、生理周期の予測や管理ができるスマートウォッチが増えており、女性の健康管理をより手軽に、正確に行えるようになっています。では、なぜスマートウォッチで生理周期の把握が可能なのでしょうか? 本記事ではその仕組みと、対応する代表的なスマートウォッチ、そしてAppleが実施した最新の研究成果も紹介します。
生理周期とは?予測がなぜ重要か
生理周期とは、月経の開始日から次の月経が始まる前日までの期間を指します。平均的な周期は28日程度ですが、個人差があり、25~35日など人によってさまざまです。
生理周期を把握することで、以下のようなメリットがあります。
・排卵日や妊娠可能性の高い時期の予測
・PMS(月経前症候群)の対策
・体調や気分の変化を予測しやすくなる
・異常な周期の変化による体調不良や病気の早期発見
スマートウォッチで生理周期を把握できる理由
1. ユーザーによるデータ入力と学習機能
スマートウォッチでは、月経の開始日や症状などを記録し、それを基に周期パターンを学習・予測します。Apple Watchでは、iPhoneの「ヘルスケア」アプリまたは「周期記録」アプリを通じて入力・管理できます。
2. 心拍・皮膚温・睡眠などの生体データとの連動
最近のスマートウォッチでは、以下のような生体情報を活用することで予測の精度が高まっています。
・皮膚温の変化(排卵前後で上昇)
・心拍数の変化(ホルモンの影響による変動)
・睡眠やストレスの傾向(ホルモン状態と関連)
Apple Watch Series 8以降のモデルでは、夜間の皮膚温データをもとに排卵の「遡及的推定(retroactive ovulation)」も可能です。これは、排卵が起きたあとにそのタイミングを特定するもので、Apple公式サポートの説明によれば、約2周期分のデータ収集後に有効化されます。
Appleが主導する「月経周期研究」からの知見
Appleはハーバード大学や米国国立衛生研究所(NIEHS)と連携し、「Apple Women’s Health Study」を進行中です。これは米国全土の数万人のiPhoneユーザーが参加する画期的な研究で、月経周期と健康状態の関係を科学的に調査しています。
この研究では、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)や子宮内膜増殖症のリスク、初潮からの周期安定までの期間とがんリスクの関連などが明らかにされています。
さらに、研究チームは12万件以上の月経周期データを分析し、ワクチン接種など外部要因による周期変動の傾向も把握。こうした研究結果は、スマートウォッチの周期予測機能の信頼性を科学的に裏付けています。
Apple公式:Apple Women’s Health Study 調査結果
生理周期の記録・予測に対応した代表的なスマートウォッチ
Apple Watch(Series 8以降/watchOS 9以降)
「周期記録」アプリにより、月経と排卵の推定が可能。Series 8以降では皮膚温センサーを搭載し、排卵の遡及的推定が可能です。
Fitbit(Sense 2、Versa 4など)
Fitbitアプリに「女性の健康トラッキング機能」があり、症状や体調も併せて記録できます。皮膚温や心拍、睡眠などの連動データで予測精度を高めています。
Garmin(Lily、Venu、Fenixシリーズなど)
Garmin Connectアプリで月経や妊娠期の記録が可能。PMSや排卵フェーズごとのアドバイスが表示され、スポーツやライフスタイルに役立つガイド付き。
注意点:あくまで「参考予測」として活用を
これらの機能は非常に便利ですが、医学的診断や避妊方法として使用することは推奨されていません。異常があった場合は必ず医療機関に相談してください。
まとめ:自分の身体を知る第一歩に
スマートウォッチを活用することで、生理周期や体調の変化を「見える化」できるようになり、日常生活や自己管理に役立ちます。
科学的根拠に基づいた技術と機能は、女性の健康支援においてますます重要な存在となるでしょう。日々の健康とライフスタイルのパートナーとして、ぜひスマートウォッチを活用してみてください。
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