福井県鯖江市を本店とする株式会社jig.jp(東証グロース:5244)は、2025年12月9日に開催した取締役会において、日本初となるプラスチックウェイブガイド光学技術を採用した一般向けARグラス事業に参入することを発表しました。
Ray-Ban Meta などのスマートグラス普及を背景に、世界的に市場が急拡大しているARグラス分野に、国内企業として本格参入する形です。
この発表を受けて、同社株は翌10日の取引で急反発。市場では「鯖江発の光学技術×ソフトウェア」という独自性と、成長期待の大きいARグラス領域への参入が高く評価され、投資家の買いが集まったと報じられています。
本記事ではプレスリリースの内容と市場の反応をもとに、事業参入の背景・技術的特徴・協業パートナー・今後の展開を初心者にも分かりやすく整理します。
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世界でARグラス市場が急拡大。日本市場は「供給不足」で成長余地あり
jig.jpが発表した資料によると、ARグラス市場は2025年から2035年にかけて年平均成長率19.1%で成長し、2035年には約1,153億ドル規模に到達する見込みです(Future Market Insights調査より)。
Ray-Ban Meta などの成功をきっかけに、眼鏡型デバイスが「日常的な情報インターフェース」として普及フェーズに入りつつあります。
一方、日本国内の市場については、以下の3点を同時に満たす製品がまだ存在していません。
・軽量性(長時間装着できること)
・ファッション性(普段使いできるデザイン)
・日本語ローカライズ(UI・サポート)
そのため国内では潜在需要がある一方、競争環境が整っておらず、早期参入した企業が独自ポジションを確立できる状況にあります。
「日本初」のプラスチックウェイブガイド光学技術を採用
今回jig.jpが参入するARグラス事業では、Cellid株式会社が持つ国内唯一のウェイブガイド光学技術を採用し、さらにレンズ素材として「プラスチックウェイブガイド」を使用する点が大きな特徴です。
プラスチックを用いることで、以下の利点が期待できます。
・軽量化
・安全性の向上
・量産性によるコスト最適化
ARグラスにおいてウェイブガイドは、視界に情報を重ねて表示するための基幹技術。これをプラスチックで実現するのは日本初であり、jig.jpは「普段掛ける眼鏡の延長として使えるARグラス」を目指すとしています。
鯖江の眼鏡フレームメーカー「ボストンクラブ」と協業
デザインとフレーム製造は、眼鏡の世界的産地である鯖江のボストンクラブ社が担当。これにより、日常のファッションに馴染む高品質なフレームと、ARグラスとしての耐久性・フィット感を両立させる狙いがあります。
鯖江発のプロダクトとして世界市場を視野に入れている点も特徴で、jig.jpは「鯖江ブランドを世界へ発信する」とコメントしています。
搭載予定機能:翻訳、テレプロンプト、通知、スケジュール、生成AI連携
jig.jpはソフトウェア企業としての強みを活かし、以下のような「日常生活で使える機能」を搭載予定としています。
・翻訳表示
・テレプロンプト機能
・スマホの通知表示
・スケジュール表示
・生成AIとの連携機能
「生活を便利にする眼鏡型デバイス」という方向性を重視しており、Apple Vision Proのような高負荷用途ではなく、日常ユースに最適化された軽量ARグラスを目指しています。
市場は高い期待感を示し、株価は急反発
株探ニュースによれば、ARグラス事業の発表後、jig.jpの株価は急反発。XR・ウェアラブル領域の成長性と、鯖江の光学技術を組み合わせた独自性が評価され、個人投資家を中心に物色が強まったとされています。
国内企業によるARグラスの本格開発はまだ少ないため、「国産ARグラスの台頭」への期待も買い材料になった形です。
発売時期は2026年4月以降を予定
本格販売は2026年4月以降とされており、価格帯やモデルラインナップなどは今後の発表となります。
jig.jpは「2026年3月期業績への影響は精査中」としており、詳細情報は今後順次公開される見込みです。
Source:株式会社jig.jp プレスリリース
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