検索
         
  1. スマートウォッチライフTOP
  2. NEWS
  3. Apple Watch のペーサー機能を「アメリカで最も景色が美しいマラソンレース」で試してみた

Apple Watch のペーサー機能を「アメリカで最も景色が美しいマラソンレース」で試してみた

NEWS

公開日: 最終更新日:

 

10月16日、米国オレゴン州フッドリバーで行われたマラソンレース、Columbia Gorge Marathonに参加してきました。

コースの大部分がワシントン州との州境をなすコロンビア川に沿った州立公園内にあるこのレース、大会キャッチフレーズが「アメリカで最も景色が美しいマラソンレース」となっています。

レース公式ウェブサイト:https://www.columbiagorgemarathon.com/ 

とはいっても、どこかの機関からそのように認定されたというわけではなく、主催者側が勝手にそう名乗っているだけのようですが、確かにスタートからゴールまでずっと美しい自然と景観に囲まれたコースでした。

専用ペーサー代わりとしてのApple Watch

コロンビア川と平行する国道30号線。コースの1部にもなっている

今回は私にとってはいわば「ファンラン」です。タイムは狙わず、景色を楽しみながらゆっくり走り、翌日は観光を楽しむためにあまり筋肉痛にならない程度に頑張ろう。そんな贅沢なことを考えて、わざわざカリフォルニアから飛行機に乗ってオレゴンまでやってきたというわけです。

それでもせっかく42キロという距離を走るのだから、何かしら後に役立つテーマを決めて走ろうと考えてしまうのは、貧乏性のなせる業でしょうか。それがレース全体を通してペースと心拍数をできる限り一定に保つということでした。

長距離ランナーの練習方法のひとつにLSD (Long Slow Distance)と呼ばれるものがあります。

長い距離や時間をゆっくりとした一定のペースで走り続けることで、持久力と心肺能力を高めることができるとされています。容易に想像がつくでしょうが、普通にやると単調で退屈なトレーニングです。そのLSDでも全米一美しい(はず)のコースなら楽しめるはずだ、という目論見でした。

Apple Watch、正確にはその最新版オペレーティングシステムwatchOS9によって追加されたばかりのいくつかの機能が私の目的に合致しているように思えました。

普段のランでは単にワークアウトから「屋外ランニング フリーゴール」を選び、文字通り自由気ままに走った後の結果としてデータを活用してきました。今回のレースに際しては、走っている最中にApple Watchのペーサー機能をリアルタイムで活用し、その指示に従ってみることにしたのです。

具体的には下のふたつです。

•ペース(1マイル10分)を設定し、それを上回るか、下回るときは通知を受け取る
•心拍数ゾーン(127-136 bpm)を設定し、それを上回るか、下回るときは通知を受け取る

Apple Watchにあるランニングの編集機能で距離と通知項目を選択できる。詳細は下記参照

参照:Apple社ヘルプページ:「Apple Watch をつけてランニングする」
このペースは私にとってはゆっくりとしたジョグ程度ですし、心拍数ゾーンは最も脂肪燃焼に適しているとされる範囲です。これを最後まで守れば4時間20分ほどで余裕を持ってゴールし、完走者に振る舞われる無料のビールを美味しく頂けるはずでした。それが甘すぎる考えであったことは後で判明します。

予期しなかった(できるのにしなかった)ハードル

コースの1部。特に交通規制はなかったが、通る車はごくわずかだった。

悪い予感は早くもスタートする前から芽生えました。フルマラソンの参加者はゴール前の広場からバスに乗せられて、2キロほど先にあるスタート地点まで運ばれるということでした。それ自体はよくあることなのですが、問題はこのバスがどんどん山の方に向かって急な坂道を登って行ったことです。

コロンビア川はまさに大河です。フッドリバー付近では川幅は数百メートルくらいにはなっているでしょう。その大きな川に沿ったコースということで、私はたとえば多摩川の河川敷のような平坦なコースを直前まで想像していたのですが、何やら山間レースの様相を呈してきたようです。

そしてすぐに自分が大きな勘違いをしていたことを思い知らされました。スタート直後からだらだらとした長い登り坂で始まり、その後は細かいアップダウンが連続して現れたのです。登りでなければ下り、下りでなければ登り、というわけで、平坦な部分はほとんどありません。

折り返し地点の近く

私はトレイルランもよく走りますので、いつもならこうしたアップダウンはむしろ得意とするところです。しかし、一定のペースで走るという今回の目的に限っては、まったく向いていないコースを選んでしまったことが分かりました。

当たり前のことですが、登り坂になると走るペースは遅くなります。下り坂になると速くなります。無理にペースを合わせようとすれば、今度は心拍数が極端に上下することになります。そのようなわけで、Apple Watchから頻繁に「目標ペースを上回っています」か「下回っています」という通知を受け取る羽目になりました。その度に時計がプルプルと震え、ご丁寧にも日本語の音声でそう教えてくれるのです。

頻繁に見る羽目になったApple Watchの通知画面(音声あり)

もっとも、そんなことは事前にコースマップをよく見ておけば分かっていたことです。公式ウェブサイトの「GPS Map」によると、このコースの獲得標高は1,878フィート(572.4m)となっています。東京スカイツリー(634m)ほどではありませんが、東京タワー(333m)より高いのです。

賢明な、というか一般的なマラソンランナーは走る前にコースの情報を調べます。私のようにキャッチフレーズとウェブサイトの写真に惹かれて走るレースを決めたりはしません。それでなくても、大会名に”Gorge”(峡谷)という単語が入っているのですから、当然のようにアップダウンは覚悟するべきだったのです。

今さら言うまでもないことですし、誇るわけでもありませんが、私は特別に愚かなランナーなのです。

LSDのようにゆっくりと一定のペースでマラソンを完走してみようとするならば、東京マラソン(獲得標高60m)のような平坦なコースを選ぶべきなのです。今回私が試そうとしたApple Watchのペーサー機能もそのようなコースでこそ威力を発揮するはずです。

そのようなわけで、設定していたペースをまったく守ることができず、予定していた4時間20分から大幅に遅れてゴールしたわけですが、オレゴンのきれいな景色を楽しみながら走るというそもそもの目的は十分以上に果たすことができました。

折り返し地点の展望台から一望するコロンビア川

フルマラソンの完走者は154人、ハーフマラソンは約1,000人という小さく親密なレースでした。何しろ開催地のフッドリバーは人口約8,000人の小さな町なのです。1977年から青森県鶴田町と姉妹都市になっているそうです。ボランティアの皆さんと地元の人たちの温かい声援がとても励みになりました。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事


   

RANKING

  1. Apple公式の整備済Apple Watchが追加。SE/Series 10/Ultra 2の在庫一覧(12月19日16時)

  2. Keychronの定番メカニカルキーボードが最大45%OFF、年末限定セールがスタート

  3. 疾患を持つ人はスマートウォッチをどう使っている?601人調査で見えた“健康管理のリアル”

  4. 記録・文字起こし・要約・ToDo生成まで腕で完結。AIウォッチ「iFLYTEK AIWATCH」がMakuakeで先行予約開始

  5. Gmail「POP受信」2026年1月終了!Xserverなど外部メール利用者が取るべき【4つの対策】を徹底解説

  6. ChatGPTに西洋占星術の結果を分析させると「当たりすぎて怖い」? その“的中感”の正体を徹底解説

  7. ChatGPTの能力を“最大化”するプロンプト設計術10選:誰でも回答品質を劇的に引き上げられる理由

  8. Apple Watch Ultra専用「26mm幅チタンバンド」が登場。623HVの高硬度加工で傷に強い“MASSIVE”モデルが数量限定で予約開始

  9. Google翻訳がGeminiで大幅進化。自然な文章理解と“リアルタイム音声翻訳”のベータ提供を開始

  10. Apple Watch Series 10ジェットブラックで塗装剥がれが相次ぐ:海外でも報道、交換まで数週間〜数ヶ月のケースも

   

NEW CONTENTS

  1. ウェアラブルの心拍変動と睡眠で双極性障害の気分変動を予測できる可能性、Fitbit活用研究が国際誌に掲載

  2. 京セラ、ウェアラブル空中ディスプレイを実現するメタレンズを開発 CES 2026で初公開へ

  3. シャオミ、約5秒で速暖する「Xiaomi 卓上ヒーター」を3,980円で発売 省スペース設計で脱衣所やデスク周りにも

  4. Garmin、衛星通信コミュニケーター最新モデル「inReach Mini 3 Plus」を12月17日に発売

  5. ベンチにスマホを置いたら充電が始まった? SNSで話題の“謎ベンチ”の正体とは

  6. 最大61%OFFも!Narwalのロボット掃除機が年末年始セールを開催。公式サイトにて

  7. 埼玉のAnker Storeで他社製モバイルバッテリーも回収へ 経産省委託の実証実験がスタート(2025年12月22日~)

  8. 米国移民税関執行局が妊婦にスマートウォッチ監視を実施──出産中も追跡される現実

  9. Beatsとトラヴィス・スコットが新キャンペーン「DARE TO DREAM」を発表|Powerbeats Fitと未発表楽曲をフィーチャー

  10. 記録・文字起こし・要約・ToDo生成まで腕で完結。AIウォッチ「iFLYTEK AIWATCH」がMakuakeで先行予約開始