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Apple Watchやスマートウォッチのダイエット活用法を解説! 注目すべきは「日常生活全体の消費エネルギー」

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歩数を計測してくれるだけでなく、運動時の消費カロリーや1日全体の消費カロリーの概算値も計測してくれるスマートウォッチ。Apple Watchのような高性能な機種ほどそうした機能は優秀なため、ダイエットを目的に高性能なスマートウォッチの導入を検討している人もいるでしょう。

Apple Watchは仕事中の階段の上り下りから、子どもとの遊び、家の掃除まで、あらゆる動きで費されるカロリーを計測し、リング状で表示してくれる。

そして、ダイエットにスマートウォッチを活用するならば、消費カロリーについての基礎知識と、体重の増減との関係についても学んでおきたいところ。今回の記事ではそうしたポイントについて、米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)で、スポーツや健康に関する幅広い知見を持つ角谷剛氏が解説します。

人は運動をしなくても痩せられる

ダイエットの基本は、食べたり飲んだりして摂取したエネルギー(摂取エネルギー)を上回るエネルギーを消費することです。余分なエネルギーは脂肪となって身体に蓄積されるからです。体重を減らしたければ、

摂取エネルギー < 消費エネルギー

とならなくてはいけません。ここまではほぼ常識に属することなので、あえて説明するまでもないでしょう。

ただ、ダイエットに熱心な人の中には、「消費エネルギーを増やすためには運動をしなければいけない」と強迫観念のような重荷を感じている人もいるようですが、それも誤解です。まず人の身体はじっとしていても、生命を維持するためにエネルギーを消費します。これを「基礎代謝」と呼びます。つまり、基礎代謝量を越えるだけのエネルギーを飲み食いで摂取しない限りは、人はあえて運動をする必要はなく、食事の時間以外は寝ているだけでも痩せるはずなのです。

普通の量を食べると基礎代謝量は自然と超える

なお、1日あたりの基礎代謝量は性別、年齢、身長、体重の組み合わせによって推測値を計算することができます(*1)。

*1. ハリス・ベネディクト方程式(改良版):
•男性: 13.397×体重kg+4.799×身長cm−5.677×年齢+88.362
•女性: 9.247×体重kg+3.098×身長cm−4.33×年齢+447.593

例えば、男性、54歳、160センチ、60キロの筆者の基礎代謝量は約1,353カロリーです。筆者は特に大食いというわけではないと思いますが、それでも普通に1日3食を食べると、どうしても2,000カロリーくらいにはなり、基礎代謝量を約650カロリーほど超過します。痩せるためには、毎日それ以上のエネルギーを消費しなくてはいけないということです。


筆者のFitbitダッシュボードに表示されたある日の消費エネルギー推移。睡眠など活動していない時間帯も絶えず基礎代謝は行われている。

家事や通勤の消費エネルギーはランニング以上?

歩数の計測はあらゆるスマートウォッチに搭載されている基本機能の一つ

スマートウォッチが一般的になる以前、健康やダイエットのために万歩計を使用する人が多くいました。痩せるためには(あるいは健康になるには)1日に1万歩が必要だと広く信じられていた時期もありました。確かにそれだけ歩けばかなりのエネルギーを消費することは間違いありません。

スマートウォッチにも1日あたりの歩数を測定してくれるものが多く、万歩計の代わりになるだけではなく、それ以外の運動で消費するエネルギーと合算してくれますので、毎日の消費エネルギー量をより総合的に把握することができます。

そこで見逃せないのが、家事や通勤などの日常動作です。ランニングや筋トレなどの「意識的に行う運動」は、時間当たりのエネルギー消費量が意外と少ないものです。たとえば30分くらいジョギングしたとしても、平均的な体格の男性なら200~300カロリーくらいにしかなりません。

『スマートウォッチライフ』の編集部員が速歩きも交えて約30分だらだらと走ったとき、Apple Watchが計測した消費カロリーは実際200kcal程度だった

しかし、悲観することはありません。最近のある研究(*2)によれば、車を洗う、階段を上る、買い物袋を抱えて歩くなどの日常動作を「HIIPA=高強度の偶発的な身体的活動」と定義し、そうした動作を1日に4~5回、合計時間にして5分~10分程度行うだけで十分な健康効果があるそうです。逆に言えば、世の中が便利になりすぎたせいで、たったそれだけの運動量をこなさない現代人が多いということかもしれません。

筆者のFitbitダッシュボードに表示されたある日の歩数。意識して走った時間以外にも、日常生活で歩数は蓄積されていく。

1日中スマートウォッチを着用して生活することを面倒がる人もいますが、数日でもそれを行ってみると、自分がどれだけのエネルギーを消費しているかを把握することができます。普段はそれほど神経質になる必要はありませんが、ダイエットに真剣に取り組んでいる時期はスマートウォッチを活用してみてはいかがでしょうか。

参考文献:
*2.
“Short and sporadic bouts in the 2018 US physical activity guidelines: is high-intensity incidental physical activity the new HIIT?”. British Journal of Sports Medicine.
https://bjsm.bmj.com/content/early/2019/02/15/bjsports-2018-100397

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

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