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投手のウェアラブル機器へダグアウトから球種を指示。米大学野球の試みでサイン交換が消滅へ!?

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2022.02.26

「弱気なサインに首をふり 得意の魔球を投げこむだけよ」

ピンクレディーの名曲『サウスポー』に歌われているように、野球というゲームを象徴するシーンの1つに、投球の前にピッチャーがキャッチャーの手元を覗き込み、次に投げる球種のサインを交換する場面があります。

ところが、先週末に開幕したばかりの米大学野球の公式戦で、この伝統を過去のものにしてしまうかもしれない、野球史上初めての試みが行われました。

ピッチャーを含む守備側ナインの全員がグローブをはめた側の手首に腕時計状のウェアラブル機器を着用し、ダグアウトにいる監督やコーチから次の球種を指示する番号を受け取る、というものです。

試合時間短縮とサイン盗み防止が目的

バンダービルト大の試合動画:

バンダービルト大を始めとして、いくつかのチームがこのウェアラブル機器を使った球種サイン伝達を公式戦で開始しました。

全米大学体育協会(NCAA)が2022年シーズンから使用を許可したことを受けた判断です。

ダグアウトからの指示が同時に守備側の全選手に届くため、キャッチャーからサインを出すことがなくなりました。当然、バッテリー間で合意するまで何回もサインの交換をするシーンも姿を消すことになります。

コミュニケーションは1方向のみ(ダグアウトから選手へ)が許され、ピッチャーからキャッチャーや他の選手へサインを伝えることはできません。

 

ここでは手首に巻く機器が使用されていますが、NCAAはイヤホンのような形状も許可しているということです。

この新たな試みの目的は大きく分けて2つあります。1つはサイン交換をなくすことによる試合時間の短縮、もう1つはサイン盗みを防止することです。

伝統的なサイン盗みと言えば、2塁走者がキャッチャーの手元を覗き込むという手法でした。ところが、数年前にメジャーリーグを大きく揺るがしたヒューストン・アストロズのサイン盗み疑惑事件では、外野席に取り付けられたビデオカメラの映像をベンチ裏で解析し、打者にバケツを叩いて次の球種を知らせるという方法が取られたと言われています。

つまり、ランナーが塁上にいようといまいと、キャッチャーのサインを盗むことが技術的には可能なことが分かってしまったのです。

そうした手口を防ぐためには、バッテリー間のサインは複雑化せざるを得ず、ただでさえ長い野球の試合時間がさらに長くなることが指摘されてきました。

このウェアラブル機器を使った球種サイン伝達はそうした背景から生まれました。メジャーリーグや日本プロ野球で採用されるようになるかは現時点では分かりません。

日本の野球界には伝統的にキャッチャーの頭脳的な配球リード能力が重視される傾向がありますので、より抵抗が大きいかもしれません。しかし野球人気の回復のためには試合時間短縮が急務であることは日米でプロアマ問わず共通しています。その意味では、非常に意義のある試みだと言えるでしょう。

前述しました通り、米大学野球の2022年シーズンは開幕したばかりです。サンプル数が揃い、試合時間が短縮されることが明確なデータで証明されたとしたら、プロのレベルでも導入が検討される可能性は大いに考えられます。

最後にもう1つ加えるとすれば、このウェアラブル機器による球種伝達はバッテリー間だけではなく、内外野を守る選手の効率も向上させるかもしれません。

次の球種が内角高めをえぐるストレートなのか、あるいは外角低めに逃げるカーブなのかで、各選手の守備位置や重心の置き方は変わってくるからです。これまではキャッチャーのミットの動きなどから推測するしかなかったわけですが、この新方法によって次の球種が正確に分かるとなれば、それは守備選手にとっても非常に価値のある情報になるでしょう。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

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