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Apple Watchはトライアスロンには向かない(現状では)。だけど、2022年秋には大きな改善がある?

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公開日: 最終更新日:

アクアスロン(Aquathlon)という競技を見聞きしたことはあるでしょうか?

海や湖などでの水泳と陸上でのランニングを組み合わせたものです。

早い話が、トライアスロンから自転車の部分を除いたものです。

トライアスロンにいつかは挑戦したいと思っている人、あるいは苦手な種目を克服したいと思っている人が、このアクアスロンを選ぶようです。私は前者です。

自転車は道具にお金がかかるし、その道具の手入れをするのも苦手、という側面もあります。

泳ぐことと走ることだけなら、要するに体力と根性だけでも話は済みますし、幸い私にはその2つは有り余っているのです。

何はともあれ、私はこの夏、地元の海水浴場で行われたアクアスロンのシリーズに挑戦しました。毎週木曜日の夕方に、まず海で1km、その後で5km走るというもので、ごくごく初心者向けの短い距離のレースです。

大会ホームページ:https://www.coveathlon.com/ 

ちなみにオリンピックで行われるトライアスロンは水泳1.5km、自転車40km、ラン10kmです。超人たちが競うアイアンマンレースになると、水泳3.8km、自転車180.2km、ラン42.2kmですので、私が参加しているシリーズを初心者向けと呼ぶ意味は分かってもらえると思います。

「トランジッション」で露呈したApple Watchの弱点

さて、それでもレースに出るからには、やはりそれなりの準備が必要になります。

私自身はランナーですので、5㎞走の部分は問題ありませんが、水泳はまったくの素人です。

プールでも連続して1㎞泳ぐのはかなりきついのですが、海で泳ぐとなると、途中で休むわけにはいきません。そんなことをしていたら溺れてしまいます。

そこで、自宅から3㎞ほど離れたプールまで走っていき、プールで1㎞泳いで、また走って帰ってくる、というトレーニングを始めました。手首にはもちろんApple Watchを着用して、ペースや心拍数などのデータを取ることにしました。

Apple Watchでは一度に記録するワークアウトの種類をひとつ選ばないといけません。

従って、まず走り始める前に「屋外ランニング」を選び、プールに着いた時点で一旦ワークアウトの完了ボタンを押し、新たなワークアウトの種類に「プールスイミング」を選ぶことになります。泳ぎ終わった時点でもう一度、今度は逆の順番でワークアウトの完了と開始を行います。

面倒と言えば、面倒なのですが、どうせ練習ですし、一刻を争うわけではありません。シューズやらソックスやらを着脱しているときに、Apple Watchのボタン操作という手間が加わるくらいは、特に問題があるとは思いませんでした。

ところが、ある日の練習でこんなことがありました。水泳を終えてプールから上がり、ランへ移行しようとしたときに、Apple Watchが操作できなくなっていることに気がついたのです。Apple Watchは厳密な意味では防水ではなく、水中でのワークアウトを始めると自動的にロックがかかってしまうのです。防水ロックを解除するためには、画面の横にあるツマミ(Digital Crown)を回し、「排水」を行わなくてはいけません。

アップル社サポートページの説明:防水ロックの使い方と Apple Watch から排水する方法

上の説明では「画面に『ロック解除』と表示されるまで回し続けてください」とあります。

問題は、どれだけ回したらロックが解除されるかが分からないことです。10秒かもしれないし、30秒かもしれません。その間あの小さなツマミを指で回し続けるのは、率直に言って、とてもイライラする作業です。しかも、こちらは泳ぎ終わった直後で、ただでさえヘトヘトの状態なのですから。しかし、この防水ロック解除を終わらせるまでは、次のワークアウトを記録することができないのです。

何回か試した後、防水ロックの解除はApple Watchを一旦手首から外してからツマミを回すと比較的早く終わることが分かってきました。しかし、そうなると今度はApple Watchを着脱する手間が増えることになります。

水泳だけを行う場合は問題にならないかもしれません。ゆっくり時間をかけて、後でデータを見ればよいので。しかし、アクアスロンでもトライアスロンでも、泳いだ後に次の種目へ移ろうとしている場合には、そうはいきません。

トライアスロンでは、水泳、自転車、ラン、といった種目から種目へと移る時間のことを「トランジション」と呼び、これも競技時間の一部です。従って、選手たちはこの時間を短縮するために様々な工夫をこらします。どうすれば素早くウェットスーツを脱ぐことができるか、シューズを履き替えることができるか、そのために用具の置き方にまでこだわる選手は多いですし、着替えの練習もまた大切なレース準備のひとつです。

そのときに、いつ終わるか分からない「防水ロックの解除」に手間取っているわけにはいきません。この1点だけでも、現状のApple Watchがトライアスリートたちにとって魅力的な選択肢ではありえないことは明らかです。

watchOS 9に追加される「マルチ・スポーツ」機能

そのようなわけで、今のところ、トライアスリートたちはGarminなどのスポーツウォッチを好むらしいのですが、アップル社はそれにも対応しようとしているようです。

現在Apple Watchのオペレーティングシステムは最新バージョンがwatchOS 8.7。次バージョンのwatchOS 9は現在ベータ版の状況ですが、2022年の秋ごろに一般向けに公開される予定です。

そのwatchOS 9にはワークアウトの種類に「マルチ・スポーツ」が追加され、そこでは水泳、自転車、ランという異なった動作パターンをセンターで自動検知してくれるそうなのです。そうなると、トライアスリートは種目から種目へのトランジションで、Apple Watchの操作をしなくてもよくなります。

元々、Apple Watchは1種目ずつなら、同一方向に向けて同じ動作を連続して行うタイプの有酸素運動を把握することに最適化されていると私は考えています。マルチ・スポーツ機能がきちんと動けば、トライアスリートたちを新たな潜在的なユーザーとして呼びこむことができるのではないでしょうか。

但しですが、性格が悪い私は、もう1点だけ疑問を投げかけたいと思います。それはApple Watchのバッテリー駆動時間です。アップル社のサポートページによると、「GPSを使用した屋外ワークアウトで最大7時間」とあります。

アップル社サポートページの説明:Apple Watchのバッテリー

そうすると、オリンピックサイズのトライアスロンはともかく、アイアンマンレースにはApple Watchはやはり使えません。ハワイ島で毎年行われるアイアンマン世界選手権大会では歴代最速記録でも7時間51分13秒です。「普通の」超人でも12時間以上かかることが珍しくないスポーツなのです。

バッテリーの駆動時間は多分にハードの問題だと思いますので、少なくとも次回のオペレーションシステムのアップグレードでは解決しないのではないでしょうか。

それともApple Watchそのものの次バージョン、Apple Watch Series 8ではバッテリーの駆動時間も大幅に改善されるのでしょうか。こちらの販売開始も2022年の秋頃と予想されています。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani

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