SOXAI RINGが決済機能の実装を見送った背景から見る“スマートリングの現実”
2025年5月12日、日本発のスマートリングブランド「SOXAI」は、自社製品「SOXAI RING」へのタッチ決済機能の実装を見送る決定を発表しました。
今後はバイタルセンシング技術の強化とヘルスケア機能への注力に舵を切るとのことです。
実は、こうした動きはSOXAIに限った話ではありません。現在販売されている多くのスマートリングにおいても、通知機能やタッチ決済機能は未搭載なのが現状です。
なぜ、スマートリングはこの2大機能を搭載しにくいのでしょうか?その理由と、現状の「決済対応リング」の実例を詳しく解説します。
なぜスマートリングに通知・決済機能が搭載されないのか?
・サイズとバッテリーの制約
スマートリングは非常に小型で軽量な設計が求められるため、バッテリー容量がごくわずか。
通知機能に不可欠なバイブレーターやLED、決済用のNFCチップは電力消費が大きく、物理的なスペースも必要です。
・用途が明確に分かれている
多くのユーザーがスマートリングに求めているのは、健康データの自動トラッキング。
通知や決済といった機能は、すでにスマートウォッチやスマホが担っており、リングにはあえて求めないという声もあります。
・コストと製品戦略の問題
通知・決済機能を搭載するには、コスト増や製造難度の上昇が避けられません。
その分、販売価格も高騰し「軽くてシンプルな健康ガジェット」というスマートリングの魅力を損ねてしまう可能性があります。
・セキュリティと法規制のハードル
特に決済機能は、セキュリティ認証や金融規制などクリアすべき課題が多い分野。
SOXAIが決済実装を断念したのも、こうした「外部要因による実装障壁の高さ」が大きな理由の一つです。
それでも存在する「決済対応スマートリング」たち
主なモデルと対応範囲
ブランド名 | 製品名 | 対応決済方式 | 対応地域 | 備考 |
---|---|---|---|---|
EVERING(日本) | EVERING | Visaタッチ決済 | 日本国内 | NFC搭載、充電不要、プリペイド式 |
McLEAR(UK) | McLEAR Ring | Visaタッチ決済 | 英国・日本 | EVERINGの元モデル |
Token(米国) | Token Ring | Mastercard、FIDO対応 | 北米中心 | セキュリティ特化型、生体認証搭載 |
K Ring(EU) | K Ring | Mastercard対応 | 欧州 | 充電不要、コンパクトな設計 |
Pagopace(独) | Pagopace Ring | Mastercard(Curve経由) | ドイツ〜EU圏内 | Curveカードで複数カードを統合可能 |
これらの製品は主に決済に特化したリングであり、健康管理機能や通知機能は持たないことがほとんどです。
一部モデルはスマホ連携も不要で、完全に独立した決済ガジェットとして機能します。
スマートウォッチとの役割分担が明確に
機能 | スマートリング | スマートウォッチ |
---|---|---|
健康トラッキング | ◎(軽くて就寝時も快適) | ◎(高精度な計測可能) |
通知機能 | △(非搭載が多い) | ◎(バイブ・画面通知あり) |
決済機能 | △(一部モデルのみ) | ◎(Apple Pay等に対応) |
バッテリー持ち | ◎(5〜7日持続) | △(1〜2日が多い) |
サイズ感 | ◎(指輪型で目立たない) | △(やや大きめ) |
今後の展望:統合型リングの登場に期待?
現時点では「健康トラッキング」「決済」それぞれに特化したスマートリングが中心ですが、今後は両者を統合した“万能型リング”の登場**も期待されています。
AppleやGoogleなど、巨大プラットフォーマーがスマートリング市場に本格参入すれば、通知・決済・健康管理をすべて搭載したリングが登場する可能性も。
今後3〜5年で、スマートリングはさらに多機能化・高性能化を遂げていくことが予想されます。
まとめ:リングは「何を求めるか」で選ぶ時代へ
SOXAIが決済機能の実装を見送った決定は、単なる“撤退”ではなく、スマートリングの役割を明確にし直した戦略的な判断と言えます。
スマートリングは、スマートウォッチやスマホとは異なる文脈で進化しており、
「通知」「決済」などの多機能性ではなく、「快適に日常に溶け込む健康パートナー」としての魅力を高めつつあります。
自分が求める機能に応じて、最適なデバイスを選ぶ時代がすでに始まっています。
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!
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