Pixel Watch強化とFitbit整理の舞台裏
2021年にFitbitを買収したGoogle。その後もFitbitブランドはしばらく存続していたが、最近ではPixel Watchの存在感が急速に増し、Fitbitの新製品は減少傾向にある。
その背景には、Googleのハードウェア戦略の「統合」がある。
PixelスマートフォンやPixel Budsとの連携を深め、Pixelブランド全体で統一されたエコシステムを築こうとしているのだ。
その中でFitbitは、独立した製品ブランドというよりも、「Pixel Watchに健康機能を提供する技術基盤」というポジションへと変わりつつある。
実際、Pixel Watchシリーズでは「Fitbit搭載」の表示とともに、アクティビティ記録、心拍数モニタリング、睡眠スコアなどがFitbit基盤で展開されている。
Google製品の宿命:「整理と吸収」
Googleはこれまでにも、
・Google Play Music → YouTube Music
・Nest × Google Home → Google Nestへ統合
など、重複製品の整理やブランド統一を積極的に進めてきた。
スマートウォッチ市場でも例外ではなく、
・Fitbit:フィットネス特化だがブランド力は限定的
・Pixel Watch:Androidスマートウォッチのフラッグシップ
という住み分けの中で、「Pixel Watchに統合した方が強い」という判断に至ったと考えられる。
Fitbitが日本で“今ひとつ”だった理由
かつては世界的にヒットしたFitbitだが、日本では大きな成功を収めたとは言い難い。
主な理由は以下の通りだ。
・ブランド認知の弱さ
Apple WatchやGarminに比べ、テレビCMや量販店での展開が限られ、一般層への訴求力が弱かった。
・中途半端な価格帯
安さを武器にする中華系スマートバンド(XiaomiやAmazfit)と、ブランド力を持つApple Watchに挟まれ、「高くも安くもない」価格設定が選ばれにくい要因に。
・フィットネス重視の文化が根付きにくい
健康志向は高まりつつあるが、日本ではまだ「ウェアラブル=便利ガジェット」という認識が主流。
「フィットネス専用機」の魅力が広がりにくかったとも言える。
これからの「Fitbit」はPixelの中で生き続ける
Fitbitが消えてしまうわけではない。むしろ、Googleが本当に望んでいたのは「Fitbitの技術力」であり、「ブランド力」ではなかった。
今後は、Pixel Watchの中でその精緻なヘルスケアテクノロジーが活用され、Googleのウェアラブル戦略の中核を担っていくだろう。
まとめ
項目 | 内容 |
---|---|
Googleの戦略 | Pixel Watchへの集中とFitbitの機能的吸収 |
ブランド戦略 | 複数ブランドの乱立を避け、Pixelに統合 |
日本市場でのFitbitの壁 | 認知度、価格、Suica非対応などで苦戦 |
今後の方向性 | FitbitはPixel Watchの健康機能の中で生きる |
今後は「Pixel Watch by Fitbit」が新たなスタンダードに?
Googleは、Apple Watchの牙城を崩すための一手として、ブランドの“統合”という武器を選んだ。
それは一見、Fitbitの終焉のようにも見えるが――その魂は、Pixel Watchの中で静かに進化を続けている。
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!
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