日清食品ホールディングス株式会社と慶應義塾大学医学部が行った共同研究により、Apple Watchを活用した運動の促進が心理的不安の軽減に寄与することが明らかになりました。本記事では研究の概要や背景、得られた成果を紹介します。
運動で「不安」や「うつ傾向」が改善。Apple Watchを用いた定量的研究
この共同研究は、社員の健康増進や「Well-being(ウェルビーイング)」向上を目的に、約250名の社員にApple Watch(Series 7、8)を貸与し、2024年8月〜11月の約4カ月間にわたり心電図データや運動量を日々収集する形で実施されました。
期間は「普段通りの生活期」と「運動量を増やす期」の2つに分けられ、前後でアンケート調査を行い、
・心理的不安の度合い(状態不安/特性不安)
・うつ傾向
・プレゼンティーイズム(出勤しているが本来のパフォーマンスを発揮できない状態)
といった指標が測定されました。
「運動が不安を軽減する」ことを統計的に実証
慶應大学による統計解析の結果、運動量の目標を達成した週の数が多い社員ほど心理的不安が有意に軽減されることが確認されました。
特に、45歳以上の社員では効果がより顕著に現れたことも報告されています。また、以下の傾向も見られました。
・自律神経活動の安定
・うつ傾向の改善
・プレゼンティーイズム値の上昇(=業務パフォーマンスの向上)
出典:日清食品グループ ニュースリリース(2025年7月28日発表)
慶應義塾大学 勝俣良紀専任講師のコメント
「ウェアラブルデバイスによる定量的な運動量測定が、不安・うつ傾向への好影響、自律神経活動の安定をもたらすことが確認されました。Apple WatchのようなIoTデバイスが、企業の健康経営における実用的なツールとなり得る好例です」
「健康経営」を経営の柱に据える日清食品グループ
日清食品グループでは、「美健賢食(美しく健康な体は賢い食生活から)」の理念のもと、2018年に「健康経営宣言」を制定。社員の健康保持・増進を戦略的に推進しており、本研究の成果も今後の施策に活用されます。
Apple Watchのようなスマートウォッチを用いた研究が、“科学的根拠に基づく企業の健康支援”としてさらに広がることが期待されます。
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