先日、移動中にグリーン車に乗っていたときのことです。
隣の席に座っていた方がノートPCを開いた瞬間、思わず視線が止まりました。
デスクトップの端から端まで、ファイルとフォルダでびっしり。
壁紙が見える余地はほとんどなく、アイコンが画面全体を埋め尽くしている状態でした。
いわゆる「散らかりきったデスクトップ」です。
ただ、その人の手元を見ると、迷いはありません。
次に開くファイルを一瞬で見つけ、作業は驚くほどスムーズに進んでいました。
「デスクトップが散らかっている=仕事ができない」という見方は、
本当に正しいのだろうか。
そのとき考えたこの疑問について、
のちに関連する考え方や研究、仕事術の文脈などをあらためて調べてみました。
そのうえで整理すると、デスクトップが散らかる背景には、単なる性格や習慣以上の要因があることが見えてきます。
以下では、その内容をもとに、いくつかの視点から分析してみます。
デスクトップは「性格」よりも「思考の使い方」を映す

PCのデスクトップがファイルやフォルダで埋まっている状態は、
単なる整理整頓の得意・不得意だけでは説明できません。
そこには、その人がどのように考え、どのように仕事を進めているかという
思考スタイルや認知特性が色濃く反映されています。
特に多いのが、視覚情報を重視するタイプです。
・目に見える場所にないと忘れてしまう
・存在を視界に入れておくことで思考を維持できる
・「次にやること」を配置で把握している
このタイプにとって、デスクトップは保存場所ではなく、
思考の作業台であり、外部化された記憶装置です。
マルチタスク型の人ほど、デスクトップは埋まりやすい

グリーン車で見かけたその人も、おそらく複数の仕事を同時に抱えているタイプだったのでしょう。
デスクトップが埋まっている人には、共通する傾向があります。
それは、複数の案件やテーマを同時に走らせる「同時並行型」の仕事スタイルです。
・どの仕事にもすぐアクセスしたい
・今は使わないが、忘れたくない
・一度閉じると再開に時間がかかる
こうした理由から、デスクトップは自然と
「進行中の仕事一覧」のような状態になります。
これは効率を軽視しているのではなく、
切り替え速度と初動の速さを重視した結果とも言えます。
「とりあえず置く」は、怠慢ではなく判断の優先順位
散らかったデスクトップの背景には、
「とりあえずここに置く」という判断の積み重ねがあります。
一見すると雑に見えますが、実際には、
・今は作業を止めたくない
・整理よりアウトプットを優先したい
・考えるリズムを崩したくない
といった合理的な判断が働いていることが少なくありません。
特に完璧主義の人ほど、
「どうせ整理するなら、ちゃんと分類したい」
「中途半端な整理はしたくない」
という心理から、整理そのものを先送りしがちです。
カオスに見えて、本人の中では秩序がある

デスクトップが散らかっている人は、
厳密なルールよりも直感を重視する傾向があります。
・多少雑でも、自分が分かっていれば問題ない
・配置や並びで文脈を覚えている
・厳格な分類より、思考の流れを優先する
第三者から見るとカオスでも、
本人にとっては「カオスの中の秩序」が成立している場合も多いのです。
ただし、見過ごせない「認知負荷」というコスト
とはいえ、デスクトップが埋め尽くされた状態に
まったく問題がないわけではありません。
最大のリスクは、認知負荷(脳の疲れ)です。
PCを起動するたびに大量の視覚情報が流れ込むと、
意識していなくても脳は処理を始めてしまいます。
・集中力が立ち上がりにくい
・疲れているときほど散らかりが気になる
・思考の初動が遅れる
このコストは少しずつ積み重なり、
長期的にはパフォーマンスに影響を与えます。
結論:デスクトップでは、仕事の質は測れない

グリーン車で見かけた、あの埋め尽くされたデスクトップ。
あれを見て「仕事ができない人だ」と判断するのは、やはり短絡的でしょう。
デスクトップが散らかっている人は、必ずしも仕事ができないわけではありません。
むしろ多くの場合、
・思考が速い
・複数のことを同時に考えている
・視覚的に世界を把握している
という特性を持っています。
大切なのは、
「整っているか」ではなく「機能しているか」。
片付けること自体を目的にするのではなく、
自分の思考に合った使い方になっているか。
そこを見直すことこそが、本質的な改善につながります。
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