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スマートウォッチやスマートリングといったウェアラブル端末は、すっかり私たちの生活に定着しました。米国のデジタルヘルス企業Rock Healthが8,000人を対象に行った最新調査によると、米国成人の60%が何らかのウェアラブル・接続デバイスを所有し、スマートウォッチやスマートリングに限っても46%が所有しているといいます。そしていま、その関心は「日々の健康管理」から一歩進み、診察室=医療の現場へと広がりつつあります。海外メディアMD+DIの分析記事をもとに、ウェアラブルがいま置かれている状況を整理します。
米国成人の46%がウェアラブルを所有|10年で33ポイント増
調査では、スマートウォッチやスマートリングなどのウェアラブルを所有する米国成人は46%。これは10年前(2015年)の13%から33ポイントもの増加です。歩数計と「1日1万歩」から始まったウェアラブルは、いまや睡眠・心拍・ストレスまでを継続的に測る精緻なエコシステムへと進化しました。一方で、ここ数年は初めて購入する人の伸びが鈍化し、普及そのものは踊り場に入りつつあるとも指摘されています。
“ほぼ常時装着”が新常識|活動・睡眠・心拍を継続記録
いまのウェアラブルユーザーは、気が向いたときだけ着ける軽い利用者ではありません。所有者の83%が週5日以上デバイスを装着し、59%は「常に、またはほぼ常に」着けっぱなしで、外すのは充電のときだけだといいます。用途も運動の記録(35%)にとどまらず、睡眠(26%)、心拍数(21%)へと多様化。単なる運動用アクセサリーから、回復スコアや心拍変動によるストレスの推定まで行う「continuousな健康モニタリング」へと役割を変えています。平均所有台数は1人あたり1.5台で、スマートウォッチに体組成計や血圧計、スマートリングを組み合わせる人も増えています。
根強いブランドロイヤルティ|蓄積データが乗り換えの壁に
一度ブランドを選ぶと、ユーザーはなかなか離れません。所有者の47%が同じウェアラブルを3年以上使い続け、48%は最初に買った端末をそのまま使用、27%は同じブランドの新モデルへ買い替えています。ブランドそのものを乗り換えた人はわずか23%でした。乗り換えの動機は「新機能」や「アプリ連携の良さ」を求めてのものが中心ですが、定着の背景には蓄積された健康データがあります。プラットフォームを変えると数年分の長期データを手放すことになりかねず、これが強力な“囲い込み”として働いているのです。
普及の偏り|本当に必要な層ほど持っていない
普及が進む一方で、所有者の顔ぶれには偏りも残ります。非所有者と比べ、所有者は若く、裕福で、都市部に住み、健康状態が良く、民間保険に入っている傾向があります。男女差は小さいものの、デバイス別に見るとスマートリングはミレニアル世代が59%を占め、スマートウォッチは女性に、CGM(持続血糖測定)やスマートリングは男性にやや偏るといった違いも。そして所有者ほど自分の健康を「非常に良い」と答え、健康状態が芳しくない人ほど未所有という逆説が見られます。受動的なモニタリングの恩恵を最も受けられるはずの層に、端末が届いていないのが現状です。
OuraとWhoopが市場を牽引|巨額調達と相次ぐIPO
市場拡大の象徴が、スマートリングのOuraとフィットネスバンドのWhoopです。Whoopは2025年にFDAから警告を受けたものの開発の勢いは衰えず、3月にはシリーズGで5億7,500万ドルを調達し、評価額は100億ドル超に。Ouraもこの2年で売上を4倍に伸ばし、累計550万個以上のリングを販売、2026年には約20億ドルの売上を見込みます。昨年10月には9億ドル超を調達して評価額は約110億ドルに達し、IPO申請も済ませました。従来比40%小型化した最新モデルの登場も話題で、その詳細は当サイトでも紹介しています。
ウェアラブルが診察室へ|データを医師と共有する人が59%
普及の拡大とともに、デバイスが生み出すデータは医療の現場へと入り込みつつあります。所有者の59%が、すでにウェアラブルのデータを医療従事者と話題にした経験を持ち、30%は定期的に、29%は少なくとも一度は相談しています。さらに20%が「相談したいが、まだできていない」と回答。ウェアラブルは、通院と通院のあいだの体の状態という、従来の診察では捉えられない連続的な情報を持っているからです。ただし医療側の体制は追いついておらず、患者ポータルでApple HealthKitやGoogle Health連携を有効にしていない医療機関も多く、見落としの責任問題や報酬体系の不在が、導入のブレーキになっています。
「消費者向け」と「臨床向け」の境界が溶ける|FDAも規制緩和
「消費者向け」と「臨床向け」ウェアラブルの区別は、急速に曖昧になっています。消費者向け端末が医療サービスを取り込む一方、もともと医療用だった機器が日常のウェルネス用に再パッケージ化されているのです。象徴的なのがCGMで、調査では所有者の53%が糖尿病の診断を受けている一方、残る47%は診断のない“健康に関心のある層”。DexcomやAbbottは非糖尿病者向けのOTC(市販)CGMも投入しています。こうした流れを、2026年1月にFDAが発表したウェアラブル医療機器の規制を限定する新方針が後押し。Apple・Whoop・Fitbit・Ouraのような企業に、より緩やかな規制を適用する内容で、Oura CEOのTom Hale氏もLinkedInで「トレンドや変化を示すウェアラブル機能は、診断ツールや通院の代わりにならずとも、責任ある形で健康をサポートできる」と歓迎の姿勢を示しています。
まとめ|“測る”から“変える”へ
10年前のウェアラブルをめぐる問いは「消費者は受け入れるか」でした。その答えは明確にイエスです。残された問いはインパクト、つまりこれらの端末が個人の自己最適化を超えて、健康そのものを本当に良くできるのかという点にあります。普及の偏りをどう埋め、データの集め方・使われ方への信頼をどう得ていくか。ウェアラブルが「測るだけの道具」から「健康を変えるインフラ」へと進化できるか――次の10年はそこにかかっています。健康管理に役立つウェアラブルを探している人は、当サイトの比較記事もあわせてご覧ください。
Source: MD+DI(Medical Device + Diagnostics Industry)
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