睡眠不足は年間18兆円の損失|SHAが「ちょい足し睡眠」提案、昼30分パワーナップを職場文化に。スマートウォッチで眠りを見える化

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SHA 睡眠ヘルスケア協議会が推進する「ちょい足し睡眠プロジェクト」のロゴ

「もう少し眠れたら、日中の集中力も変わるのに」——そう感じている人は少なくないはずです。一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会(SHA)は、2026年7月9日に自由民主党本部で開催された「スリープテック展示会」で、睡眠不足を解決するための「ちょい足し睡眠プロジェクト」と、企業向け施策「ライトオフタイム」を発信しました。

日本の睡眠不足による経済損失は、年間で18兆円にのぼると試算されています。睡眠を計測できるスマートウォッチやスマートリングが身近になったいま、自分の眠りを「見える化」して少しずつ整えていくこのテーマは、多くの人にとって見逃せないものになっています。発表の内容を、やさしく整理していきます。

年間18兆円の損失|「ちょい足し睡眠プロジェクト」が目指すもの

SHA 睡眠ヘルスケア協議会が推進する「ちょい足し睡眠プロジェクト」のロゴ

睡眠は、健康維持だけでなく、メンタルヘルスや仕事・学習のパフォーマンス向上にも欠かせない生活の土台です。ところが日本の睡眠時間は依然として世界最低水準にとどまり、睡眠不足による経済損失は年間18兆円にものぼると試算されています。背景には「十分に眠ることは怠惰である」という社会的な意識も少なからず残っているといいます。

そこでSHAは、睡眠を我慢や努力の対象ではなく「自由に楽しく、少しだけ睡眠を足す」という前向きな行動として捉え直すことを提案しています。日々の睡眠時間を無理なく延ばしながら、より良い眠りへ誘う睡眠グッズを活用する文化を根づかせ、日本を「十分な睡眠時間がとれる睡眠先進国」へと変えていくことが狙いです。

この方向性は、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」で掲げられた目標とも歩調を合わせています。同ガイドでは、十分な睡眠時間を確保できている人の割合を、令和14年度までに現在の54.5%から60%へ引き上げることを目指しています。

第一弾施策「ライトオフタイム」|昼の30分を職場文化に

プロジェクトの第一弾として推進されているのが「ライトオフタイム」です。これは、12時から15時までの就業時間内(昼休憩を除く)に30分程度、オフィスの照明を落としてリラックスできる環境を整え、従業員が自席や休憩スペースで短時間の昼寝(パワーナップ)を取ることを推奨する取り組みです。

SHAはこれを単なる休憩制度ではなく、「睡眠の重要性に対する意識改革」と「豊かな働き方」の実現につながる新しい職場文化として提案しています。健康経営や働き方改革の新たな選択肢として期待される取り組みです。

展示会には平井卓也デジタル社会推進本部長、牧島かれん同本部長代理、鈴木貴子広報本部長、鈴木俊一幹事長らが訪れ、座ったままの仮眠に適したクッションや、仮眠用のヘッドフォン、温熱アイマスクなどを試しながら、勤務中に睡眠を「ちょい足し」する効果を体感したとのことです。

なぜ日中の短時間睡眠が効くのか|睡眠圧とパワーナップ

会場では、日中の眠気に関する知見も紹介されました。ビジネスパーソンが感じる強い眠気の要因としては、日常的な睡眠不足、食後の血糖値の乱高下、睡眠時無呼吸症候群などの潜在的な睡眠障害などが挙げられています。

また、人間には起きている時間が長くなるほど眠気が蓄積する「睡眠圧」という生理現象があり、その蓄積は集中力や生産性の低下と関連するとされています。こうした日中のパフォーマンス低下への対策として有効とされるのが、短時間の戦略的仮眠「パワーナップ」です。

SHAは、20〜30分以内のパワーナップを推奨しています。起床から6〜7時間後の時間帯に、座ったまま20〜30分程度の仮眠を取ると、深い睡眠に入り込みすぎることなくすっきりと目覚められ、午後の集中力や生産性の向上が期待できるといいます。仮眠前にコーヒーなどでカフェインを摂ると、約30分後に効果が現れ、目覚めのすっきり感につながるそうです。

今日からできる「ちょい足し睡眠」の小さな習慣

「ちょい足し睡眠」は、睡眠時間を増やすことだけが目的ではありません。毎日の生活に、睡眠の質を高める小さな工夫を少しずつ足していく考え方です。SHAは、たとえば次のような身近な行動を挙げています。

・夕方以降はノンカフェイン飲料を選ぶ
・就寝前に39〜41℃の湯船に10〜15分入浴する
・夜は暖色系の照明を活用する
・朝に20分程度、日光を浴びる
・寝る前に5分間の深呼吸を行う
・食事は野菜から食べて血糖値の急上昇を防ぐ
・昼休みに20〜30分以内のパワーナップを実践する

どれも特別な準備は要らず、今日から取り入れられるものばかりです。こうした小さな積み重ねが、無理のない睡眠改善につながっていきます。

スマートウォッチが「ちょい足し睡眠」の相棒になる

「少しだけ睡眠を足す」といっても、自分がいま何時間眠れているのか、眠りの質はどうなのかが分からなければ、どこを足せばいいのか見えてきません。ここで頼りになるのが、睡眠を自動で計測してくれるスマートウォッチやスマートリングです。

最近のモデルは、睡眠時間だけでなく、浅い眠り・深い眠り・レム睡眠といった睡眠ステージや、睡眠スコア、就寝・起床リズムの規則性まで記録してくれます。SHAが要因として挙げた睡眠時無呼吸についても、睡眠中の呼吸の乱れを傾向としてモニタリングできる製品が登場しています。実際にどこまで分かるのかは、RingConn Gen 3の実機レビューで睡眠計測や睡眠時呼吸のモニタリングの様子を紹介しています。

さらに、デバイスを身につけて眠ることで「睡眠時間を足す」効果を狙う研究も進んでいます。手首・足首の振動で睡眠時間が伸びるかを検証したApollo Neuroの大規模データ研究は、まさに「ちょい足し睡眠」を科学する試みといえます。自分の眠りを数値で把握し、小さな工夫の効果を確かめながら続けられるのが、スマートデバイスを使う一番のメリットです。

まとめ

SHAの「ちょい足し睡眠プロジェクト」と「ライトオフタイム」は、睡眠を我慢の対象ではなく、少しずつ足していける前向きな習慣として捉え直す提案です。昼の20〜30分のパワーナップから、夜の入浴や照明の工夫まで、今日から始められるヒントが詰まっています。

そして、その一歩を後押ししてくれるのが、眠りを見える化するスマートウォッチやスマートリングです。まずは自分の睡眠を計測してみることが、年間18兆円ともいわれる睡眠不足の課題を、自分ごととして変えていく入り口になるはずです。

Source: 一般社団法人睡眠ヘルスケア協議会(SHA) プレスリリース

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