Table of Contents
2014年、Google は Android Wear(現 Wear OS)を発表し、スマートウォッチ市場の汎用OSプラットフォームとして大きな期待を集めました。あれから10年、Wear OS は最初の隆盛期を経て、いま大きな転換点を迎えています。
主要ブランドの撤退・独自OS化が相次ぐ一方で、復活組や新規参入の動きも見られる――この記事では、2024〜2026年にかけて続く Wear OS 陣営の盛衰を、SWLでこれまで報じてきたニュースを軸に整理します。
撤退・独自OS化が相次ぐWear OS陣営
① FOSSILグループ:スマートウォッチ事業から完全撤退(2024)
2024年初頭、米国のFOSSILグループ(FOSSIL/SKAGEN/MICHELE/MISFIT/EMPORIO ARMANI/Michael Kors/Diesel 等)は スマートウォッチ事業からの完全撤退 を発表しました。
撤退の決定打となったのは次のような要因です。
・Apple Watch の独占的地位:特に北米・日本市場で Apple Watch のブランド力が絶大で、FOSSIL のような中間価格帯(2〜5万円)の選択肢が霞んでしまった
・Google Pixel Watch との競合:Wear OS プラットフォーム提供者である Google 自身が Pixel Watch を開発・販売し、他社との差別化が難しくなった
・開発コストに見合わない収益性:ハードウェアの進化が求められる中で、ファッションブランド単体でテクノロジー投資を続けるのは限界だった
・「オシャレだけ」では選ばれない時代へ:消費者は健康管理・日常の最適化を求め、外見だけでは選ばれなくなった
一方で、新興ブランド Nothing(CMF Watch シリーズ)が「ミニマルデザイン × コスパ × エコシステム統一」で若年層を取り込み、ファッション×テックの新しい形を示しています。
【関連記事】FOSSILはなぜスマートウォッチから撤退したのか? その答えは「Nothing」が知っている
② CASIO:Wear OS路線の終息(2024-25)
カシオは2024年12月、WSDシリーズ向け Wear OS アプリのサポートを2025年8月で終了すると発表。さらに G-SHOCK 初の Wear OS モデル「GSW-H1000」についても、2025年11月より「Wear OS by Google」が Google Play から配信終了となりました。
カシオは Wear OS 路線から離脱したものの、撤退ではなく 「方向転換」 と捉えるのが適切です。タフネス・高耐久・アウトドアユースに振り切った独自スマート機能搭載モデル(G-SQUAD GBD-H2000、RANGEMAN GPR-H1000 等)に注力する戦略へと舵を切りました。
【関連記事】カシオはスマートウォッチ市場から撤退したの? 現在の方針とスマート機能を持つ最新モデルを解説
③ SUUNTO:スポーツ特化OSへ統一
フィンランドの SUUNTO は「SUUNTO 7」で Wear OS を採用した後、独自OS路線へ転換しました。SUUNTO Race / Vertical / Ocean / Run など最新モデルでは、自社アプリと統合されたトレーニング特化型システムを採用し、Garmin との直接競合を狙う独自路線を確立しています。
④ TAG Heuer:Wear OSを離れ「TAG Heuer OS」を自社開発(2025-10)
2025年10月、スイスの高級時計ブランド タグ・ホイヤーは、第5世代スマートウォッチ「Connected Calibre E5」を正式発表し、これまでの Wear OS 路線を離れて完全自社開発の 「TAG Heuer OS」 へ移行しました。
新OSは Android Open Source Project(AOSP)をベースとしつつ、Google Play や Google Pay 連携を捨て、タグ・ホイヤー独自のラグジュアリー体験に最適化。同時に Apple の MFi 認証を取得し、iPhone との連携を従来比5倍に高速化しています。
ブランドが Wear OS の「多機能・汎用性」より「ブランド体験の一貫性」を選んだ象徴的な動きです。
【関連記事】タグ・ホイヤーがWear OSから独自開発へ!「TAG Heuer OS」を正式発表
【関連記事】TAG Heuer OS登場でWear OS勢力がさらに縮小――CASIO、Suunto、FOSSILグループに続く”脱Google”の流れ
⑤ Mobvoi/TicWatch:米国市場から事実上の消滅(2025末)
かつて Wear OS の代表的な独立系メーカーとして高い存在感を放っていた Mobvoi の「TicWatch」シリーズが、2025年末から2026年初頭にかけて 米国市場から事実上消滅 しつつあります。
Amazon US では多くの製品が「currently unavailable」状態となり、Mobvoi グローバル公式サイトからもスマートウォッチカテゴリ自体が削除。前面に出ているのはトレッドミルやAIボイスレコーダー「TicNote」です。
最後の新製品は2024年10月の TicWatch Atlas で、それ以降1年以上にわたって新モデルの発表はありません。Mobvoi は9to5Googleの取材に「essential support のみ継続」と回答しており、Wear OS 6 への対応すら見通しが立っていません。
日本市場でも、Mobvoi公式サイトで現役販売中の TicWatch は E3 のみ となり、積極展開は終了フェーズにあります。
【関連記事】Mobvoiのスマートウォッチ「TicWatch」が事実上終了か? 米国市場から消えるWear OS名門メーカー
新規参入・復活組も登場
⑥ Motorola Moto 360 が2025年に復活
撤退組ばかりではなく、明るい話題もあります。Motorola のスマートウォッチ「Moto 360」が 2025年に再登場 することが、米テックメディア Android Headlines の独占報道で明らかになりました。
新型 Moto 360 はクラシックな丸形デザインを維持しつつ、OnePlus Watch 3 のような2時方向クラウン+4時方向ボタンの現代的なスタイルを採用。5色展開で2025年中の発売が見込まれています。
注目点はソフトウェア面で、ウォッチフェイスのUIが Wear OS に酷似していることから、Motorola 独自の Moto Watch OS(RTOS)と Wear OS の デュアル構成 になる可能性が報じられています。OnePlus Watch 3 と同様、「高機能性とバッテリー持続性の両立」を狙った構成です。
【関連記事】Motorolaのスマートウォッチが2025年に復活!Wear OS対応の可能性も──Android Headlinesが独占公開
⑦ Xiaomi Watch 5 EU版で Wear OS 搭載の噂(2026年初頭)
中国版が Xiaomi 独自OSで展開されている「Xiaomi Watch 5」について、2026年2月時点で 欧州版は Wear OS 搭載になる という有力な噂が報じられました。
47mm AMOLED、930mAh の大容量バッテリーで 最大6日間駆動、EMG(筋電)センサーなど、Wear OS 機としては異例の長時間駆動を実現する可能性があります。Xiaomi Watch 2 Pro の後継として、Wear OS の選択肢を一気に広げる存在になりそうです。
時期的には2026年3月の MWC 前後の発表が有力視されています。
【関連記事】Xiaomi Watch 5、EU版はWear OS搭載の噂! 価格・サイズ・仕様まとめ
Wear OS の生き残り組と「2強+α」のエコシステム
撤退・離脱が相次ぐ中で、Wear OS の現役プレイヤーは大きく次の通り絞られてきています。
・Google Pixel Watch シリーズ(Pixel Watch 4 / 3)— Google純正・Wear OS の「リファレンスモデル」。Fitbit統合のヘルスケア機能、Pixel スマートフォンとの連携、最新OSの最速対応が強み
・Samsung Galaxy Watch シリーズ(Watch 8 / Watch 8 Classic / Watch Ultra 2025)— Google と共同で Wear OS 4以降を開発。「One UI Watch」によるAndroidスマホとのシームレス統合と圧倒的な販売力で陣営の中心的存在
・モンブラン SUMMIT 3 — ラグジュアリー枠で Wear OS を継続採用する唯一のブランド。高級時計デザインと Google サービスの利便性を両立する独自ポジション
・TicWatch E3 — 日本市場限定で残存。新規開発は望み薄
・OnePlus Watch 3 / Xiaomi Watch(EU版予定) — 新興/海外限定の参入組
・Motorola Moto 360(2025予定) — Wear OS デュアル構成の可能性
PCMag や9to5Googleの分析でも指摘されている通り、Wear OS は今後 Google(Pixel Watch)と Samsung(Galaxy Watch)を中心とした極めて限定的なエコシステム に収束していく可能性が高そうです。
これに Motorola の復活と Xiaomi の参入が加わって「2強+α」体制になるのか、それともさらに集約が進むのかが、2026年〜2027年の注目ポイントです。
なぜ Wear OS から離脱する動きが増えているのか
ブランドが Wear OS から離脱する背景には、いくつかの構造的な要因があります。
・Google と Samsung の提携強化:Wear OS 3 以降は Google と Samsung が共同開発を強化し、独立系メーカーへの最新版提供が遅れがちに(Mobvoi は Wear OS 3 配信に約1年を要し、現在も多くの TicWatch が Wear OS 5 すら未対応)
・バッテリー消費の構造的課題:Wear OS は機能が豊富な反面、バッテリー持続時間で独自OS系(Garmin、SUUNTO、CASIO 等)に大きく劣る
・ブランド体験との不整合:TAG Heuer、CASIO 等が指摘する通り、汎用 Wear OS では「ブランド独自の世界観」を表現しにくい
・市場の成熟と Apple Watch の存在感:スマートウォッチ市場全体で Apple Watch が圧倒的シェアを持つ中、ファッション系・スポーツ系は独自路線で差別化を図る選択をした
・ファッション層は新興ブランドに流れた:FOSSIL が狙ったポジションを Nothing/CMF が「ミニマルデザイン × コスパ × エコシステム統一」で代替し、ファッション×テックの新しい形を確立した
これらが重なり、Wear OS は「全方位カバーするオープンOS」から「Google + Samsung 中心の Android 純正ウォッチOS」へと役割を絞り込みつつあります。
まとめ:Wear OS は転換点、Pixel と Galaxy が主軸の時代へ
2024年以降の Wear OS 陣営は、FOSSIL の完全撤退に始まり、CASIO の路線変更、SUUNTO の独自OS統一、TAG Heuer の独自OS化、Mobvoi の事実上の消滅と、ニュースが続いてきました。
一方で Motorola の Moto 360 復活、Xiaomi Watch 5 EU版での Wear OS 採用予定など、新しい動きもゼロではありません。
結論としては、Wear OS は Google Pixel Watch と Samsung Galaxy Watch を主軸とする「Android純正ウォッチOS」へと収束しつつある 段階にあります。それ以外のブランドは、独自OS で差別化する道を選ぶか、撤退するか、という二者択一を迫られている状況です。
Android ユーザーがスマートウォッチを選ぶときの選択肢は、よりシンプルかつ明確になりつつある――それが2026年時点の Wear OS の現在地と言えるでしょう。
あわせて読みたい関連記事
WearOS現役モデルを「いま買うならどれ?」で整理するなら、こちらの選び方ガイドが網羅的です。
Wear OSスマートウォッチおすすめ10選【2026年版】Galaxy・Pixel・TicWatch・モンブランの選び方
FOSSIL 完全撤退の経緯と Nothing の躍進の対比はこちら。
FOSSILはなぜスマートウォッチから撤退したのか? その答えは「Nothing」が知っている
TAG Heuer の独自OS化と Wear OS 勢力縮小の詳細はこちら。
TAG Heuer OS登場でWear OS勢力がさらに縮小――CASIO、Suunto、FOSSILグループに続く”脱Google”の流れ
TAG Heuer OS そのものの設計思想と特徴を知るならこちら。
タグ・ホイヤーがWear OSから独自開発へ!「TAG Heuer OS」を正式発表
Mobvoi/TicWatch の米国市場撤退の詳細はこちら。
Mobvoiのスマートウォッチ「TicWatch」が事実上終了か?
CASIO の Wear OS 路線終息と方向転換の経緯はこちら。
カシオはスマートウォッチ市場から撤退したの? 現在の方針とスマート機能を持つ最新モデルを解説
Motorola Moto 360 復活のリーク詳細はこちら。
Motorolaのスマートウォッチが2025年に復活!Wear OS対応の可能性も
Xiaomi Watch 5 EU版の Wear OS 搭載噂はこちら。
Xiaomi Watch 5、EU版はWear OS搭載の噂! 価格・サイズ・仕様まとめ
はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、
記事の探し方ガイド
から目的別に読めます。











