経済評論家・勝間和代さんの最新刊『仕事と人生を変える 勝間家電』(ダイヤモンド社)が発売1週間で大増刷となり、話題を集めています。
本書は、忙しい人が「自分の時間を取り戻す」ための家電・ガジェット・テクノロジーを紹介する一冊。
これまでに2000以上の家電を試してきた勝間さんが、自腹で選んだ“最強の時短ツール”を公開しています。
Smart Watch Life編集部では、本書の発売を記念して勝間和代さんに独占インタビューを実施。
全3回シリーズの第3回となる本記事では、「AIが秘書になる日常」をテーマに、Gemini・Pixel・デスクトップモードの使いこなしと、これからの“ポストPC時代”の働き方についてうかがいました。
【第1回、2回のインタビューはこちら】
“テクノロジーを使えない=人生がハードモード”という現実:勝間和代が明かす「時間を買う」家電活用術
「スマートウォッチは買ってよかった家電ナンバーワン」――勝間和代が語る、健康・決済・通知を最適化する日常
「AIなしで生きている人が信じられない」

Pixel WatchはGeminiも腕元で使用可能。写真は編集部のPixel Watch 4
――新しいテクノロジーで、勝間さんが注目されているものは何でしょうか。
勝間: 完全に人工知能(AI)系ですね。私はスマホには依存していませんが、Geminiにはかなり依存しています。毎日AIと10回や20回は会話していますし、「みんなよくAIなしで生きているな」と思います。
――前回のインタビューでは「手元でスマホなしにGeminiを使えるので、道路で見かけたよく分からない標識なんかも教えてもらったりしている」と仰ってましたね。そうやって様々な疑問をぶつけてる感じですか?
勝間: そうですね。さっき少し転んだときも「これって大丈夫?」とGeminiに聞いたら、「足首をひねっていないなら最悪でも軽い捻挫。すぐ冷やせ」と言われたので、ドラッグストアで湿布を買いました(笑)。ついでに「同じことを防ぐには?」と聞いたら、「基本的に後ずさりはNG。振り向いて体をひねって後方を確認して、できれば方向転換して降りなさい」と。つまり情報取得と安全確認が大事――その通りだなと。
――AIはそういう「専門家に相談するまでもないこと」でも理路整然と返すのが良いですね。
勝間: すぐ聞けるのが肝ですね。私はPixelの背面2回タップでGeminiが立ち上がる設定にしています。
――音声AIの領域については、iPhoneやApple WatchはまだGoogleのGeminiと比べて弱い印象です。
勝間: あとAlexaも私は一瞬でクビにして、スマートホーム製品も使わなくなりましたね。Geminiのほうが圧倒的に便利です。
AIは“魔法”ではない――勝間和代が語る、人工知能の本質
――素朴な疑問をぶつける以外に、どんな使い方をされていますか。
勝間: この先の行動を相談することもあります。先日、那須の茶臼岳に登山に行ったとき、雪も降るような厳しい悪天候になったんです。そこで諦めて「この付近でどこかいいところない?」と聞いたら、那須塩原のきつめの4キロコースの遊歩道をスッと案内してくれた。すごくよかったですね。
――AIは日に日に賢くなっていますよね。
勝間:ただみんな人工知能を勘違いしているんですよ。このこは言語の行列計算機に過ぎなくて中身は空っぽなんです。ただ、文字で処理できるものはすべて行列と確率計算で構成されているから、「それっぽい応え」を莫大なWebから探し出して返してくれる。それでテキストも画像も生成してくれるわけです。
――「調べる」だけでなく、言語でできる処理が広く任せられるようになった、と。
勝間: そう。プログラミング言語の一種みたいなもので、翻訳も含めて“言語で処理できること”は大体いける。ただ、それ以上ではないという理解が健全です。
AIを“共同執筆者”として使う時代

愛用のスマホPixel 10シリーズは背面タップでGeminiを呼び出せるようにしているそう
――AIは原稿執筆にも使っていますか?
勝間: 使っています。ザーッとGoogleドキュメントで文章を書いた後、誤字脱字や文法・用語の不統一をAIに直してもらうんです。分かりにくい部分も整えてもらっています。
――では、ここ数年で仕事の仕方も変わったでしょうね。
勝間: ChatGPTの登場から始まって、ここ2年くらいで大きく変わりましたね。昔は反応も超遅かったですけど、今は何でもバッと返ってくれます。私がGeminiが好きなのは「速い」ところ。コンピューター資源を潤沢に使っているので、体感の使用感が軽いです。なので今は基本的に対話型生成AIはGemini一択です。Geminiでできないことがあったら考えますけど、大体はできますね。だからPCは持ち歩かなくなりました。
スマホがPCを代替する「デスクトップモード」
最近ピクセルにもデスクトップモードがついたので、キーボードのモニターがセットになっている2万円ぐらいのドックを買ってみました。Pixel をこれでタイプ C につなげるとなんとなくノートパソコンぽくなります。ちょっと面白い。 pic.twitter.com/fxx0kJxWJC
— 勝間和代 (@kazuyo_k) September 19, 2025
――では仕事としては、細かな作業が必要なときだけPCを使う……という運用でしょうか。
勝間: 最近は細かい作業自体が少ないですね。先日、スプレッドシートで久々に細かい作業をしたくらいです。いま私が好きなのは、Google Pixelにモバイルモニターをつなげて「デスクトップモード」で使うこと。モバイルモニターは、ノートPCのキーボードとディスプレイとUSB端子だけの筐体(中身のマザーボードなし)で、Type-Cケーブルで接続するとPixelがそのままノートPCになるんです。2万5,000円くらいの製品を買って、すごく楽しく使っています。
――持ち歩けるくらい軽量のものなんですか?
勝間: 1kgくらいあるので持ち歩きはしていません。基本的に自分のデスクに出しっぱなしで、Pixelをつなぐだけで“PixelっぽいPC”になるアイテムとして使っています。Androidのネイティブアプリも、Chromeのアプリも全部動きますから。
――それがあればPCそのものが要らなくなるわけですね。
勝間: Chromeベースは全部動くので、要らないですね。なので私はもうMicrosoft 365は解約したくてしょうがないんです(笑)。年間契約で結構な額を払っていますけど、「ろくに使っていないじゃん、私」と。
――今後は「デスクトップモード対応のスマホがあるからPCは持たない」という人も増えるかもしれませんね。
勝間: そうなると思います。このデスクトップモードはHUAWEIやSamsungは以前から使えて、Pixelは機能的には可能でもユーザーに解放されていなかったんです。それが少し前から開発者オプションで使えるようになった。たまに画面が飛んで落ちるんですけど、PCを再起動するとイラっとするのと違って、スマホは再起動が速いから気にならないですね。私はPCを「ダイナソー」って呼んでます(笑)。
――買う人も減っていくでしょうか?
勝間: 私はもう買わないと思います。例外は特殊な使い方をする人向けのGPU搭載のハイエンドPC。私の場合は、講演の長時間配信はゲーミングPCに有線で接続して使うと安心感があります。
――ハイエンドなデスクトップPCは動画編集やゲームなど限られた用途の人向けのものになっていくかもしれないですね。
勝間: そうですね。それ以外の人にはもうオーバースペックで、デスクトップモードとAIで仕事もプライベートも大半のことをこなせるようになるでしょう。
書籍情報

勝間和代
『仕事と人生を変える 勝間家電』
ダイヤモンド社刊











