スマートウォッチには、心拍センサーやGPSだけでなく、実はとても重要な「環境センサー」も搭載されています。
その代表例が、アウトドア向けスマートウォッチによく搭載されている「気圧高度センサー(気圧高度計)」です。
登山やハイキング、トレイルランニングなどで「獲得標高」や「現在の標高」が分かるのは、このセンサーのおかげ。
今回は、GarminとSuuntoの公式解説をもとに、気圧高度センサーがどのような仕組みで動いているのかを、できるだけ分かりやすく解説します。
気圧高度センサーは「気圧」から高さを割り出す

気圧高度センサーは、その名の通り空気の圧力(気圧)を測定するセンサーです。
空気は高い場所に行くほど薄くなり、気圧は下がります。逆に、低い場所では気圧が高くなります。
この「気圧と高さの関係」を利用して、現在の標高を推定するのが気圧高度計の基本的な仕組みです。
GPSでも標高は測れますが、GPSの高度情報は誤差が大きく、細かな上下動の把握は苦手です。
一方、気圧高度センサーは短時間の細かな標高変化に強いため、アウトドアウォッチでは非常に重要な役割を担っています。
「高度」と「天気」を見分ける必要がある理由

ここで一つ重要なポイントがあります。
気圧は、高度の変化だけでなく、天候の変化でも変わるという点です。
たとえば、同じ場所に立ったままでも、低気圧が近づけば気圧は下がりますし、高気圧になれば気圧は上がります。
つまり、気圧が変わったからといって、それが「登った・下った」のか、「天気が変わった」のかを判断しないと、正しい高度は分かりません。
そこでGarminやSuuntoのアウトドアウォッチには、高度計モード/気圧計モード/自動モードという考え方が用意されています。
高度計モード・気圧計モード・自動モードとは

Garmin tactix 8の計測画面。真ん中の画面で高度が表示されている
GarminやSuuntoのアウトドアウォッチでは、気圧センサーの使い方を次の3つのモードで制御しています。
高度計モード
気圧の変化をすべて「標高の変化」として解釈します。登山やトレイルランニングなど、上下動が多いアクティビティに適しています。
気圧計モード
気圧の変化をすべて「天候や周囲気圧の変化」として解釈します。標高がほとんど変わらない場所での活動に向いています。
自動モード(デフォルト)
ウォッチが移動状況や変化のパターンを監視し、高度変化なのか天候変化なのかを自動で判断して切り替えます。
多くのユーザーが意識せず使っているのは、この自動モードです。
自動モードはどうやって判断しているのか

Suuntoの公式解説によると、ウォッチは気圧の変化量と変化の速さをもとに判断しています。
たとえば、短時間で上下方向の移動が続く場合は「高度の変化」と判断し、高度計プロファイルを使用します。
一方、長時間ほぼ同じ高度に留まっている状態で気圧が変化した場合は、「天気の変化」と解釈し、気圧計プロファイルに切り替わります。
Suuntoでは、12分以内に5m未満の垂直移動しかない場合など、非常に細かな条件まで考慮されています。
気圧高度センサーの精度に影響する要因
Garminは、気圧高度計の測定に影響を与える要因として、以下のような点を挙げています。
・急激な天候の変化
・同じ場所に長時間留まること
・屋内と屋外など、加圧・温度管理された環境の出入り
・センサーポート内の水や汚れ
特に、気圧センサーの開口部に水や汚れが詰まると、実際より高い/低い標高として計測される原因になります。
アウトドアウォッチを使う際は、使用後に軽く洗い流すなど、センサー周りのケアも重要です。
校正が必要になるケースもある
Garminでは、より高い精度を保つために、既知の標高での定期的な校正を推奨しています。
特に、長時間同じ場所に滞在したあとや、天候が急変したあとには、高度表示がズレてくることがあります。
こうした場合に手動で校正することで、誤差をリセットできます。
気圧高度センサーは「判断力」が重要なセンサー
気圧高度センサーは、単に数値を測るだけのセンサーではありません。
高度なのか、天候なのか、その変化の意味を文脈で判断する必要がある、非常に頭のいいセンサーです。
GarminやSuuntoのアウトドアウォッチが高く評価されている理由の一つは、この自動判断ロジックが長年改良されてきた点にあります。
登山やアウトドアアクティビティで「獲得標高」や「現在地の把握」が安心して使えるのは、こうした仕組みが裏で支えているからこそです。
Source:Garmin サポートセンター / Suunto 公式解説
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●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
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