「睡眠は長ければいい」というわけではありません。最近の大規模研究で明らかになったのは、「何時間眠るか」よりも「毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きること」のほうが、健康維持や長寿のためにより重要だという事実です。
英国の研究チームが約6万人を平均6年間追跡した結果、「睡眠リズムが整っている人ほど、死亡・がん・心血管疾患のリスクが低い」ことが確認されました。
英国6万人を対象にした大規模研究で判明

この研究は2023年の英国のコホート調査「UK Biobank」に登録した約6万人(平均年齢61歳)を対象に行われました。 研究チームは参加者に加速度計(リストバンド型デバイス)を装着させ、睡眠と覚醒のリズムを7日間にわたり測定。そのデータから「Sleep Regularity Index(SRI)=睡眠規則性指数」を算出しました。
SRIとは、「毎日どのくらい一定した時間に寝て起きているか」を数値化したもの。 睡眠時間の長さではなく、睡眠パターンの安定性を評価できる指標です。
その後、平均6.3年間(最大7.8年)の追跡調査を行い、死亡・がん・心代謝疾患(心疾患や糖尿病など)との関連を解析しました。
不規則な睡眠は死亡リスクを最大57%上昇させる
結果として、睡眠リズムの整っている(SRIが高い)グループは、最も不規則なグループと比べて次のようなリスク低下が確認されました。
・すべての原因による死亡リスク:20〜48%低下
・がんによる死亡リスク:16〜39%低下
・心代謝疾患による死亡リスク:22〜57%低下
つまり、「毎日同じ時間に寝て起きる」という睡眠リズムの規則性は、睡眠時間そのものよりも、死亡リスクを予測する上で強力な健康指標になることが明らかになったのです。
なぜ“睡眠のリズム”が健康に影響するのか

人間の体は24時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)に従って働いています。 このリズムが乱れると、ホルモン分泌や体温、代謝などに悪影響が出て、糖代謝異常、高血圧、がんなどのリスクが上昇することが知られています。
このため、「睡眠時間が短い」よりも、「寝る時間がバラバラ」「休日に寝だめをする」など、リズムの乱れのほうが体に大きなストレスを与える場合があるのです。
たとえ睡眠時間が6時間でも、毎日同じ時間に寝て同じ時間に起きる習慣を保てば、体内時計が安定し、結果的に健康リスクを減らせる可能性があります。
スマートウォッチで“睡眠リズム”を見える化しよう

こうした睡眠の規則性を改善するには、まず自分の生活リズムを「見える化」することが大切です。 スマートウォッチを活用すれば、就寝時間・起床時間のブレ、睡眠時間、睡眠の質を自動で記録・分析できます。
特にApple WatchやHUAWEI、Fitbit、Garminなどの最新モデルでは、就寝・起床時間の変動をグラフで可視化できる機能があり、自分の“睡眠リズム”を日々チェックすることが可能です。
「寝る時間を意識して、毎日ほぼ同じ時刻にベッドに入る」――。 このシンプルな習慣が、長期的に見ればがん・心疾患・早期死亡のリスクを下げる大切な第一歩になるかもしれません。
Source:Windred DP et al., Sleep 2024 47(1): zsad253
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