Apple Watchで「睡眠負債」を見える化! AutoSleepなどのアプリで睡眠の質を改善しよう

スマートウォッチの使い方、基礎知識

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「睡眠負債」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。日々の睡眠不足が少しずつ積み重なり、心身に支障をきたしている状態を指す言葉です。借金のようにジワジワたまっていくのに、本人は気づきにくい——それが睡眠負債の怖いところです。

そして、この“見えない借金”は、Apple Watchをはじめとするスマートウォッチで「見える化」できます。かつては「AutoSleep」などのサードパーティ製アプリで睡眠を記録するのが一般的でしたが、いまはApple Watch純正の「睡眠」アプリだけでも、睡眠時間や睡眠ステージ(レム・コア・深い睡眠)を自動で記録できるようになりました。

この記事では、睡眠負債とは何かをあらためて整理したうえで、スマートウォッチでどう把握し、どう改善していくかを解説します。

この記事の要約:

睡眠負債とは:慢性的な睡眠不足が蓄積し、心身に支障をきたしている状態。
引き起こす問題:眠気・意欲低下・記憶力減退などの精神機能の低下、ホルモン分泌の乱れ、食欲増加、生活習慣病(糖尿病・心筋梗塞など)のリスク増加。
日本人の睡眠:諸外国と比べて睡眠時間が短く、特に女性が慢性的に寝不足になりやすい。
スマートウォッチでの計測:Apple Watch純正アプリで睡眠を記録でき、アプリやブランドによっては「睡眠負債」に近い指標も把握できる。

睡眠負債とは何か?

眠っている人のイメージ

睡眠負債とは「慢性的な睡眠不足が続いている状態」、さらに踏み込んで言えば「その睡眠不足が蓄積されて心身へ支障をきたしている状態」を指します。

つまり、「1日だけ夜更かしして寝る時間が短くなった状態」というより、「毎日の睡眠時間が必要な時間より少しずつ短く、その足りない分=負債がジワジワ積み重なっている状態」です。

毎月の収支が少しずつマイナスで、借金が5万、10万、15万……と増えていく状態と考えると、その恐ろしさが分かると思います。しかも毎日の不足がわずかだと、本人もその不足に気づきにくいのです。

睡眠負債が重なると何が起こるのか

睡眠不足・睡眠障害と生活習慣病の関係を示した図

「睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」より

では睡眠負債が増えていくと、心身にどのような変化が起こるのでしょうか。

まず、慢性的な睡眠不足は日中の眠気や意欲低下、記憶力減退など、精神機能の低下を引き起こします。仕事や日常生活に支障が出てしまうわけですね。

「6時間睡眠が2週間続くと、1晩徹夜したあとと同じレベルまで脳のパフォーマンスが低下する」「4時間睡眠が続くと、1週間後には2晩徹夜明けと同じくらい低下する」という研究結果もあります※1。さらに、体内のホルモン分泌や自律神経機能にも大きな影響を及ぼすことが知られています。

たとえば健康な人でも、一日10時間たっぷり眠った日に比べ、寝不足(4時間睡眠)をたった二日間続けただけで、食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減り、逆に食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が高まるため、食欲が増大することが分かっています。ごくわずかの寝不足が、私たちの食行動にまで影響するのです。

そして慢性的な寝不足状態にある人は、糖尿病や心筋梗塞・狭心症などの冠動脈疾患といった生活習慣病にかかりやすいことも明らかになっています。上の図は、厚生労働省の健康情報サイトに掲載された、睡眠不足・睡眠障害と生活習慣病の関係を表したものです。

日本人は慢性的に睡眠不足!

日本人と諸外国の睡眠時間を比較した図

「睡眠と生活習慣病との深い関係 | e-ヘルスネット(厚生労働省)」より

同じく厚労省のサイトに掲載された統計を見ると、日本人の睡眠時間は諸外国と比べても短いことが分かります。慢性的な睡眠不足に悩まされている人が多い、というわけです。

「仕事で忙しく働く男性が睡眠不足」というイメージがあるかもしれませんが、実際には女性のほうが睡眠は不足しているとのこと。同サイトには「とりわけ女性は家事や育児の負担が大きいため男性よりもさらに睡眠時間が短く、平日・週末を問わず慢性的な寝不足状態にある」との記述があります。

専門家の意見

睡眠研究の第一人者であるマシュー・ウォーカー博士(カリフォルニア大学バークレー校教授)は、著書『Why We Sleep(邦題:睡眠こそ最強の解決策である)』の中で、睡眠不足は認知機能や身体の健康に大きな悪影響を及ぼし、特に慢性的な睡眠不足は免疫機能の低下、肥満、心血管疾患のリスクを高める要因になり得ると指摘しています。

こうした指摘は、前述の厚生労働省の情報とも重なります。睡眠負債は「なんとなく眠い」で済む話ではなく、長期的な健康リスクにつながる問題だと考えておいたほうがよさそうです。

なお、スマートウォッチによる睡眠計測の精度は年々向上しており、睡眠時間だけでなく、睡眠ステージ(レム・深い睡眠など)や夜間の覚醒もかなりの精度で記録できるようになっています。

睡眠負債はスマートウォッチで「見える化」できる

Apple Watch純正「睡眠」アプリの睡眠インサイト表示

1日だけの寝不足なら「翌日は長めに寝よう」と対策しやすいですが、慢性的な睡眠不足は、本人が把握するのが難しいものです。少しずつ忙しくなって睡眠時間が30分、1時間と削られても、気づかない人は多いでしょう。

そこで役立つのが、Apple Watchなどのスマートウォッチによる睡眠計測です。いまはApple Watch純正の「睡眠」アプリだけでも、就寝・起床時刻、睡眠時間、睡眠ステージ(レム・コア・深い睡眠)が自動で記録され、iPhoneの「ヘルスケア」アプリで昨日・先週との比較もひと目で確認できます。まずは純正アプリで、自分の平均睡眠時間の推移を眺めるだけでも、負債の傾向はつかめます。

サードパーティ製アプリで睡眠負債(睡眠バンク)を数値化した表示例

一方で、「睡眠負債」を“借金●時間”のように具体的な数値で見せてくれるのは、サードパーティ製アプリや一部ブランドの独自指標です。たとえばApple Watch向けの「AutoSleep」には、睡眠の貯金・借金を示す「睡眠バンク」という指標があり、寝不足が続くと「負債」として表示されます。GarminやFitbit、Oura、Galaxy Watchなども、回復度やレディネスといった独自スコアで“足りているか”を示してくれます。純正でざっくり把握し、より細かく管理したい人はこうしたアプリ・指標を足す、という使い分けがおすすめです。AutoSleepの詳しい使い方は、Apple Watchの睡眠アプリ「AutoSleep」解説記事もあわせてどうぞ。

また、睡眠の質は心拍変動(HRV)にも表れます。睡眠時間とあわせてHRVの推移も見ると、疲労や回復の状態をより立体的に把握できます。

※1:Vol.36:ナメてませんか「睡眠負債」国民の2割 30-40代の3人に1人は睡眠負債をためている | 医療法人 澄心会 豊橋ハートセンター

睡眠負債を解消するための具体的な対策

スマートウォッチを活用して睡眠負債を解消するための、具体的な対策を挙げます。

睡眠リズムを固定する:Apple Watch純正の「睡眠」アプリで就寝・起床の目標時刻を設定し、週末も含めて一定のリズムを保つと、体内時計が安定します。
データを定期的に振り返る:睡眠時間・就寝起床時刻・睡眠ステージの割合などを週単位で確認し、削れている日の傾向を把握しましょう。
より詳しく見たいならアプリや独自スコアを活用:「睡眠負債」を数値で追いたい場合は、AutoSleepなどのサードパーティ製アプリや、各ブランドの回復系スコアが役立ちます。
短い昼寝を取り入れる:睡眠負債は、20分程度の短い昼寝で部分的に補えます。スマートウォッチのタイマー機能を使うと習慣化しやすくなります。
就寝前の光を抑える:就寝前は「睡眠モード(睡眠フォーカス)」を設定して画面の光や通知を抑えると、寝つきや睡眠の質の改善につながります。

まとめ

睡眠負債は、少しずつ積み重なり、気づかないうちに心身をむしばむ“見えない借金”です。だからこそ、スマートウォッチで日々の睡眠を可視化する意味があります。

まずはApple Watch純正の「睡眠」アプリで睡眠時間の推移を眺めることから始め、必要に応じてサードパーティ製アプリや回復系スコアを足していく。そして、定期的な睡眠リズムづくりとデータの振り返りを組み合わせれば、睡眠負債は着実に減らせます。手首のデバイスを味方に、健康的な睡眠を取り戻しましょう。

関連記事・関連リンク

睡眠の質を左右する自律神経の指標については、こちらで詳しく解説しています。

スマートウォッチ&リングで計測できる心拍変動(HRV)の見方・活かし方

睡眠と生活習慣の関係を“データで理解”したい方は、異なる視点のリサーチも併読すると全体像がつかみやすくなります。

大麻は睡眠の質を向上させるか? フィットネストラッカーのデータを解析した米国の調査結果

基本の操作や設定もおさらいしておくと、計測の抜け漏れや誤記録を減らせます。使い方のまとめはこちらから。

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●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者8000人程度)でも各種レビューを行っています!

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