検索
         
  1. スマートウォッチライフTOP
  2. NEWS
  3. 大麻は睡眠の質を向上させるか?フィットネストラッカーのデータを解析した米国の調査結果

大麻は睡眠の質を向上させるか?フィットネストラッカーのデータを解析した米国の調査結果

NEWS

2022.05.14

米国で人気急上昇中のフィットネストラッカーであるWHOOPはユーザーからのデータを基に解析した様々な興味深い調査レポートを公式ホームページで公開し続けています。

4月20日付の記事(*1)は「大麻が睡眠、安静時心拍数、そして心拍変動に与える影響」(筆者訳)という刺激的なものでした。

あわせて読みたい

ディスプレイも時計機能もナシで本体は無料。サブスク型のフィットネス・トラッカー『WHOOP4』がアメリカで注目を浴びるワケ

全米で18州、人口の約44%には大麻は合法

誤解のないように説明しますと、2022年現在、米国内の18州で大麻の娯楽用摂取が合法化されています。それに加えて、首都ワシントンがあるコロンビア特別区とグアム準州でも合法化されています。『US News』の記事(*2)によると、2020年の国勢調査で3億2950万人とされた総人口のうち、約44%にあたる1億4500万人が大麻を合法的に使用できる州か地域に住んでいるのだそうです。

大麻が日本では厳しく禁じられていることは承知していますし、そのことの是非について論じようとは思いません。ただ、WHOOPの調査が反社会的というわけではない(少なくとも米国内では)ということだけは述べておきます。

主観とは大きく異なった客観的データ

WHOOPがこの調査を行う数年前、コロラド大学ボルダー校の研究グループが大麻と運動の関係についての調査を発表したことがありました(*3)。

この研究では娯楽用の大麻が合法化された5つの州から600人以上の男女を対象に様々な聞き取り調査を行いました。回答者の80%以上の人がエクササイズの前後に大麻を摂取していました。エクササイズがより楽しくなったと回答したのはそのうちの70%、回復が早まると回答したのが78%、モチベーションが上がったと回答したのは52%、ということでした。主観的には、大麻はまるで魔法のクスリのように、人々の健康に寄与しているはずでした。

WHOOPが今回行った調査は、主観を排し、ユーザーから提供されたデータの解析のみを行ったものです。大麻を日常的に使用するユーザーの睡眠、安静時心拍数、心拍変動などのデータが、大麻を使用する日としない日で、どう変化するかについてを比較したものです。以下にその要点を列挙します。

●大麻を日常的に使用する(直近90日間で10回以上)ユーザーは男性が10.8%、女性は9%
●最も使用率が高いのは30-39歳の男性(12.7%)
●最も使用率が高い曜日は土曜日(47.6%)、最も低い曜日は月曜日(40%未満)
●大麻を使用した日の平均睡眠時間は使用しない日より0.4分のみ多い
●睡眠の質とパターンは大麻を使用した日は約1%低下する
●安静時心拍数の平均は大麻を使用した日(60bpm)と使用しない日(59bpm)でほぼ同じだが、使用しない日の数値はやや望ましい
●心拍反動の平均は大麻を使用した日(56.7 ms)と使用しない日(59.5 ms)で、ほぼ同じだが、使用しない日の数値はやや望ましい

WHOOPは結論として、「大麻を使用しても翌日の回復度にほとんど変化は生じない」としています。むしろ、「安静時心拍数と心拍変動の数値評価は大麻を使用するとやや悪化する」とも述べています。手っ取り早く言えば、大麻を吸っても、よく眠れるわけではないし、疲れが取れるわけでもないようです。

大麻解禁を主張するグループにとっては「不都合な真実」かもしれません。はっきりと有害であることが証明されているタバコやアルコールに比べると、大麻はまだマシな方だと言えるのではないかと、私自身は考えます。

もっとも、WHOOPのユーザーは一般的な標準からすると健康に関心の深い、活動的な人たちの集まりです。WHOOPはサブスクリプション形式で、月額20~30ドルと決して安いモノではありませんので、経済的にもある程度の余裕がある層だとも推測できます。

そもそも大麻の解禁は娯楽ではなく医療目的から始まりました。メンタルヘルスの改善などのもっと切実な理由で大麻を必要としている人々については、この調査結果から読み取ることはできません。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookはhttps://www.facebook.com/WriterKakutani

*1. Impact of Marijuana on Sleep, Resting Heart Rate & HRV
 https://www.whoop.com/thelocker/impact-of-marijuana-sleep-resting-heart-rate-hrv/
*2. States Where Recreational Marijuana Is Legal
 https://www.usnews.com/news/best-states/slideshows/where-is-pot-legal
*3. The New Runner’s High? Examining Relationships Between Cannabis Use and Exercise Behavior in States With Legalized Cannabis
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fpubh.2019.00099/full

あわせて読みたい


アップル社がApple Payのロシア国内大手決済カードを介した利用を停止


テクノロジーを悪用するストーカー犯罪。女性の車にApple Watchを取り付けた男性が逮捕

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事


RANKING

  1. 左手にApple Watch、右手にFitbitを着けっぱなしで過ごした4日間のデータ比較。スタンフォード大の研究は正しいか

  2. Xiaomi Smart Band 8と 8 Activeの違いを比較使用レビュー

  3. Google Pixel Watch 2とGalaxy Watch6を専門サイトが徹底比較! 勝つのはどっち?

  4. 【動画あり】HUAWEI WATCH GT 4使用レビュー。超多機能かつオシャレなスマートウォッチ

  5. 米国のFDAがウェアラブル機器の血糖値モニター利用に警告。Apple Watchへの影響は?

  6. 「スワイプ」「フリック」「ドラッグ」「スクロール」の違い、説明できる?

  7. オシャレな女性向けApple Watchバンド25選!【2023年秋冬版】流行中の「くすみカラー」「クリアカラー」のバンドも紹介

  8. Galaxy watch6の「Classic」と「通常モデル」の違い8選【専門サイト解説】【選び方が分かる!】

  9. 歩数計測で役立つ加速度センサーって何? スマートウォッチやスマホに搭載!

  10. Google Pixel Watch 2使用レビュー。Android向けスマートウォッチの最高峰モデル!

NEW CONTENTS

  1. 左手にApple Watch、右手にFitbitを着けっぱなしで過ごした4日間のデータ比較。スタンフォード大の研究は正しいか

  2. Simplismより発売。Apple Watch Series 9 / SE(第2世代)対応画面の保護アクセサリーに注目!

  3. 米国のFDAがウェアラブル機器の血糖値モニター利用に警告。Apple Watchへの影響は?

  4. 「Xiaomi Watch S3」新発売。ベゼルで遊ぶファッションスマートウォッチ

  5. スマートウォッチ「Redmi Watch 4」 発売。見やすい大画面に、20日間長持ちバッテリー

  6. 「Xiaomi Smart Band 8 Pro」新発売。大画面の万能スマートバンド

  7. GarminランニングGPSウォッチの最新入門モデル『Forerunner 165/165 Music』を2月29日(木)に発売

  8. NOMADの2トーンカラーのApple Watch スポーツバンド、TokyoTool がアジア圏で単独販売

  9. Apple Watch Ultra 専用、精緻な二重構造のプロテクトケースの新色をアシカンが新発売

  10. NOMAD社のスポーティーなApple Watch 専用バンドの限定カラー、TokyoToolで独占販売

TAG

タグをさらに表示