京セラ株式会社は、メタサーフェス光制御技術を応用し、波長ごとに集光位置を制御できる「メタレンズ」の開発に成功したと発表しました。本技術を活用することで、光学系の大幅な小型・軽量化と、奥行き感のある映像表現を両立した「ウェアラブル空中ディスプレイ」の試作機を開発。2026年1月に米国ラスベガスで開催されるCES 2026にて初公開される予定です。
従来レンズを大幅に薄型化できる「メタレンズ」とは

従来の凹凸レンズ(左)と、京セラが開発したメタレンズ(右)
メタレンズは、ガラス表面に光の波長よりも小さな柱状構造「メタアトム」を配置することで光を制御する、メタサーフェス技術を用いた次世代レンズです。従来の光学レンズでは1cm以上の厚みが必要でしたが、京セラのメタレンズでは1mm以下の薄さを実現しています。
さらに、単一のメタレンズに複数の光学特性を統合できるため、従来必要だった複数の光学部品を削減でき、デバイス全体の小型・軽量化に大きく貢献します。

メタアトムイメージ
色ごとに異なる奥行きを表現する立体的な映像表示
京セラ独自のメタアトム設計により、光の色(波長)ごとに結像位置が変化する特性を持つメタレンズを開発。例えば、緑色の映像は奥に、赤色の映像は手前に表示するといったように、色ごとに異なる高さに映像を浮かび上がらせることが可能です。
これにより、ウェアラブルサイズの光学系でも、自然な奥行き感を持つ立体的な空中映像を表示できるようになりました。
「ウェアラブル空中ディスプレイ」試作機を開発

今回開発されたメタレンズと、京セラがこれまで培ってきた高精細な空中映像結像技術を組み合わせることで、身に着けられるサイズまで小型・軽量化したウェアラブル空中ディスプレイの試作機が実現しました。
この技術は、従来のディスプレイとは異なり、空中に映像を結像させることで、直感的で没入感の高い情報表示を可能にします。
今後の展開と応用分野
京セラでは今後、波長制御の自由度をさらに高めることで、より多色・高精細な空中映像表示への進化を目指すとしています。また、微細構造設計を高度化することで、実写のように滑らかな立体映像を空中に投影する技術への発展も期待されています。
メタレンズの薄型・軽量という特長は、VR・ARグラスの小型化や装着性向上、カメラやプロジェクターなど各種光学機器の省スペース化にも応用可能で、コンシューマー向けから産業用途まで幅広い展開が見込まれます。
Source:京セラ株式会社 プレスリリース
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