Table of Contents
熱中症対策ウェアラブル「hamon band」シリーズを手がけるミツフジは、2026年10月29日、代表取締役の三寺歩さんがシンガポールで開かれた「日本・シンガポール共創プラットフォーム(JSCCP)2026年度第1回セミナー」に登壇したと発表しました。セミナーは10月28日に開かれ、主催は経済産業省と日本貿易振興機構(ジェトロ)です。
三寺さんは、脈波から深部体温の変化を推定するミツフジの技術を紹介しました。そのうえで、シンガポールを拠点に、暑さの中で働く人の安全を守る取り組みをASEAN各国へ広げていく方針を示しています。ミツフジは10月に京都で開かれた展示会にも出展しており、国内に続いて海外でも発信を強めています。
脈波から深部体温の変化を推定する技術をシンガポールで紹介

深部体温とは、皮膚の表面ではなく体の内部の温度のことです。暑い場所で体を動かし続けると、深部体温が上がって熱中症の危険が高まります。ただ、体の内部の温度を作業中に直接測るのは難しく、本人も体調の変化に気づきにくいのが悩みどころです。
ミツフジのウェアラブルデバイスは、産業医科大学と共同開発したアルゴリズムで、手首で測る脈波から深部体温の変化を推定します。暑さによる危険が高まると、着用者に知らせる仕組みです。通信機能を持つ機種では、管理者が離れた場所から状況を確かめることもできます。
三寺さんは登壇の冒頭でミツフジの事業と海外展開を紹介し、続いてリストバンド型・スマートウォッチ型の「hamon band」シリーズと「MITSUFUJI 03(ミツフジ ゼロサン)」を説明しました。なお、これらの製品は医療機器ではありません。
パネルディスカッションでは、株式会社IGPIグループ パートナーの坂田幸樹氏をモデレーターに、Tokyo Artisan Intelligence株式会社 CEO・CTOの中原啓貴氏と、日本の法人向け市場で培った知見をシンガポールで生かすうえでの課題や、必要な支援について話し合いました。
アジア太平洋では働く人の74.7%が過度な暑さにさらされている
ミツフジが背景として挙げているのが、暑さの中で働くリスクの高まりです。国際労働機関(ILO)が2024年に公表した報告書によると、職場で過度な暑さにさらされている労働者は、2020年時点で世界に約24億1,000万人いて、労働者全体の71%にあたります。これに起因する労働災害は年間約2,285万件、死亡者は約1万9,000人と推計されています。
アジア太平洋地域では、過度な暑さにさらされている労働者の割合が74.7%で、世界平均を上回っています。また、暑さによる労働災害の8割は熱波の期間以外に起きているとされ、真夏の猛暑日だけ気をつければよいわけではありません。
制度の整備も進んでいます。日本では2025年6月1日に改正労働安全衛生規則が施行され、一定の暑さの中で作業をさせる事業者に、熱中症のおそれがある作業者を早く見つけて悪化を防ぐ体制づくりなどが義務付けられました。早期発見の手段として、ウェアラブルデバイスの活用も例に挙げられています。
シンガポールでは、人材開発省(MOM)が2023年10月から、屋外作業での暑さ指数(WBGT)の測定などを事業者に義務付けています。2026年12月1日からは、暑さに関する教育、冷たい飲料水の用意、緊急時の冷却手段の準備、適切な作業着の提供も新たに義務になります。
シンガポールで実証を重ね、ASEAN各国への展開を目指す
ミツフジは今後、シンガポールを拠点に、ST Engineering(Singapore Technologies Engineering Ltd)などの現地企業や研究機関と実証を重ねます。シンガポールの気候や働き方に合わせたウェアラブルデバイスの開発を進め、現地での使い方の事例を積み上げたうえで、ASEAN各国への展開を目指すとしています。
シンガポールは一年を通じて高温多湿で、屋外作業の暑さ対策を事業者に義務付ける制度も整っています。三寺さんは次のようにコメントしています。
「気温の高い状態が一年中続くシンガポールやASEANでは、暑さの中で働く人の安全は、夏だけの課題ではなく毎日の課題です。ミツフジが日本の現場で磨いてきた、深部体温の変化から危険の高まりを知らせる技術は、この地域でこそ価値を発揮すると考えています。シンガポールで現地の企業・研究機関と実証を重ね、ASEAN各国の現場に『無事』を届けていきます。」
ミツフジは1956年に京都・西陣の帯工場として創業した会社で、本社は京都府精華町にあります。銀めっき導電性繊維「AGposs(エージーポス)」を核に、ウェアラブル製品と電磁波シールド素材を手がけ、2021年に「hamon band」を発売しました。コーポレートスローガンは「無事をつくる。」です。
JSCCP 2026年度第1回セミナーの概要
JSCCP(Japan-Singapore Co-Creation Platform)は、2024年の日星官民経済対話での合意を受けて始まった、日本とシンガポールの企業・大学・研究機関のオープンイノベーションを後押しする官民の枠組みです。2026年度は、選んだプロジェクトに対して実証や市場参入に向けた伴走支援を試行しています。
| 名称 | 日本・シンガポール共創プラットフォーム(JSCCP)2026年度第1回セミナー |
|---|---|
| テーマ | The Pre-PoC Journey: Building Business Opportunities in Japan, Singapore & ASEAN |
| 日時 | 2026年10月28日(水)10:00〜13:00(シンガポール時間) |
| 会場 | Sands Expo & Convention Centre(シンガポール・マリーナベイ・サンズ、SWITCH 2026会場内) |
| 主催 | 経済産業省、日本貿易振興機構(ジェトロ) |
| 位置付け | シンガポール企業庁主催のイノベーションイベント「SWITCH 2026」の公式パートナーイベント |
| 参加者数 | 約120名 |
| パネルディスカッション | 坂田幸樹氏(IGPIグループ、モデレーター)、中原啓貴氏(Tokyo Artisan Intelligence)、三寺歩氏(ミツフジ) |
日本の職場で使われてきた熱中症対策のウェアラブルが、一年中暑い国でどう使われていくのか、今後の実証の結果が楽しみです。hamon bandの製品や、ミツフジのこれまでの取り組みは、下の関連記事で紹介しています。
Source: ミツフジ株式会社 プレスリリース
あわせて読みたい関連記事
ミツフジが10月に京都で展示したhamon band 3機種と冷却ウェアはこちら。
ミツフジが京都スマートシティエキスポ2026に出展|hamon band 3機種と冷却ウェアAir Braveを展示
深部体温の推定に時計機能が加わったhamon band Vの発表記事です。
ロバート秋山さんがキャンペーン隊長2年目に突入!ミツフジの熱中症対策ウェアラブル「hamon band V」が深部体温+時計機能を搭載して登場
日本で2025年6月に義務化された熱中症対策で、企業に求められる対応を整理しました。
【2025年6月施行】熱中症対策の義務化|企業に求められる対応策3選
汗の成分から暑さのリスクを測る、腕時計型センサーの研究も進んでいます。
汗のナトリウムとカリウムを腕時計で測るセンサー|東京理科大が建設現場で2時間45分の実証
熱中症対策の記事をまとめて読むならこちら。
スマートウォッチの最新情報はトップページから。
はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、
記事の探し方ガイド
から目的別に読めます。










