Wear OSスマートウォッチ市場において、かつて高い存在感を放っていたMobvoi(モブボイ)の「TicWatch」シリーズが、事実上終了した可能性が濃厚になっています。
PCMagや9to5Googleといった海外メディアが相次いで報じている通り、主戦場である米国市場では、TicWatchの販売・展開がほぼ完全に止まった状況です。
米国ではTicWatchがAmazon・公式サイトからほぼ消滅

米国市場において、MobvoiのTicWatchシリーズはすでに主要オンラインストアから姿を消しつつあります。
Amazon USでは、TicWatch製品の多くが「currently unavailable(現在在庫なし)」と表示され、再入荷の兆しは見られません。
また、Mobvoiのグローバル公式サイトからもスマートウォッチ専用カテゴリは削除され、現在はトレッドミルやウォーキングパッドといったフィットネス機器が前面に出ています。
最後に発表された新製品は、2024年10月のTicWatch Atlas。それ以降、約1年以上にわたって新モデルの発表はありません。
「essential support」のみ継続という曖昧な表明
Mobvoiは9to5Googleの取材に対し、次のようにコメントしています。
「TicWatchラインアップについて新たに発表できる情報はないが、既存デバイスについてはessential(最低限)のサポートを継続する」
しかし、この「essential support」が具体的に何を意味するのか、対象モデルやOSアップデートの有無については一切説明されていません。
実際、Mobvoiは過去にもソフトウェアアップデートの遅さで批判を受けてきました。Wear OS 3の配信には約1年を要し、現在も多くのTicWatchがWear OS 5すら未対応のままです。
最新のWear OS 6については、対応予定すら明らかにされていません。
Wear OS陣営から相次ぐ撤退、Mobvoiもその流れか
仮にMobvoiがWear OS事業から完全撤退すれば、Wear OS陣営の縮小はさらに進むことになります。
すでに、
・Wear OS陣営の核の一つだったFOSSILグループはスマートウォッチ事業から撤退
・TAG HeuerはWear OSを離れ独自OSへ移行
・CASIOやSUUNTOもWear OSモデルの展開は終了
といった動きが続いています。
この流れについては、Smart Watch Lifeでもこれまで詳しく解説してきました。
・TAG Heuer独自OS登場でWear OS勢力がさらに縮小した背景
補足:日本公式サイトでも残るのはE3のみ
なお補足として、日本のMobvoi公式サイトを確認すると、現在販売されているスマートウォッチはTicWatch E3のみとなっています。
かつて主力だったProシリーズや上位モデルはすべて姿を消しており、日本市場においても積極展開が終了フェーズにあることがうかがえます。
Wear OSは「Pixel Watch中心」の世界へ
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Mobvoiは、デュアルディスプレイによる長時間バッテリーなど、Wear OSに独自の価値を持ち込んだ数少ないメーカーでした。
そのMobvoiが事実上フェードアウトするとなれば、Wear OSは今後、Google(Pixel Watch)とSamsungを中心とした極めて限定的なエコシステムへ収束していく可能性が高そうです。
Wear OSを選ぶ意味、そしてAndroidユーザーのスマートウォッチ選択肢は、今まさに大きな転換点を迎えています。
Source:
PCMag /
9to5Google
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