生成AIが身近になり、仕事やスポーツの現場でも「判断の補助」として活用される場面が増えています。
しかし今回、AIに頼りすぎた結果、現場との信頼関係が崩壊したとされる、象徴的な事例が報じられました。
ロシアやポルトガルのメディアによると、ロシア1部リーグのFCソチで指揮を執っていた元スペイン代表監督、ロベルト・モレノ氏が、ChatGPTへの過度な依存を理由の一つとして解任されていたというのです。
ChatGPTを多用した結果、起きたこと
報道によると、モレノ氏はトレーニング計画や遠征スケジュール、さらには選手獲得の判断にまでChatGPTを活用していました。
特に問題となったのが、極東へのアウェー遠征です。移動条件などをすべてAIに入力して作成したスケジュールでは、選手が約28時間連続で睡眠を取れない内容になっていたとされます。
また、FW補強の場面でも複数候補のデータをChatGPTに入力し、最適と判断された選手を獲得。しかし、その選手は結果を残せず、補強は失敗に終わりました。
こうした判断の積み重ねにより、選手やスタッフの不信感が強まり、最終的にチームは2部降格。クラブは2025年8月にモレノ氏を解任しました。
問題は「AIを使ったこと」ではない
この件で重要なのは、AIを使ったこと自体が問題なのではないという点です。
生成AIは、情報整理や選択肢の比較、思考の補助としては非常に有効なツールです。実際、多くの現場で成果を上げています。
しかし今回のケースでは、
・人間の生理(睡眠や疲労)
・選手の心理や納得感
・チーム内の信頼関係
といった数値化できない要素までAIの判断に委ねてしまったことが、致命的でした。
AIは「判断の代行者」ではない
AIはあくまで「考えるための材料」を増やす存在であり、最終判断を肩代わりする存在ではありません。
特に、人を率いる立場にある指導者やマネージャーにとって、共感や対話、現場感覚は不可欠です。そこを放棄した瞬間、どれほど合理的な判断であっても、現場はついてきません。
今回の一件は、スポーツ界に限らず、ビジネスや日常生活でAIを活用する私たちにとっても、明確な教訓を投げかけています。
AIは主役ではない。主役は、判断の責任を引き受ける人間自身である。
この前提を忘れたとき、AIは便利な味方から、危うい存在へと変わってしまうのかもしれません。
Source:A Bola
あわせて読みたい関連記事
生成AIとの向き合い方を考えるうえで、あわせてチェックしておきたい記事はこちらです。
・AI・生成AIカテゴリ ― 生成AIの最新動向や、仕事・生活での活用例、注意点をまとめて読めます。
・Smart Watch Life トップページ ― スマートウォッチから生成AIまで、最新記事をまとめて確認できます。
はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、
記事の探し方ガイド
から目的別に読めます。











