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木のぬくもりを宿したスマートホーム端末「muiボード」——情報が暮らしにそっと溶け込む“カームテクノロジー”という発想

コラム・業界分析

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天然木でできたHEMSコントローラー「muiボード」。木目のディスプレイが暮らしに静かに溶け込む

スマートホームと聞くと、「便利そうだけれど、どこか冷たい」「設定が難しそう」というイメージを抱く人は少なくないかもしれません。壁に埋め込まれたタッチパネル、次々と届く通知、暗い部屋でも煌々と光るディスプレイ。それらは確かに暮らしを効率化してくれますが、住まいの空気感とは、どこか馴染みきらない存在でもあります。

そんな“当たり前”に静かな問いを投げかけているのが、京都発のmui Lab(ムイ・ラボ)が手がける天然木のスマートホームコントローラー「muiボード」です。スマートウォッチのように身につけて意識するのではなく、家具のように暮らしへ溶け込むこのデバイスは、テクノロジーと住まいの関係を考え直すうえで、とても示唆に富んでいます。

「muiボード」とは——天然木でできたスマートホーム端末

「muiボード」の木製インターフェース。普段は家具の一部のように佇み、必要なときだけ情報を映し出す

「muiボード」は、天然木でできたHEMSコントローラーです。HEMS(Home Energy Management System)とは、家庭内のエネルギー使用を最適化して省エネや節約につなげる仕組みのこと。muiボードはこのHEMSの操作画面でありながら、照明やスピーカー、空調といったIoT家電をメーカーを問わず一元的に制御し、家庭のエネルギー使用量をアプリで見える化します。

技術的にも、スマートホームの共通規格である「Matter」や日本の「ECHONET Lite」に準拠し、省エネ住宅向けの補助金要件にも対応しています。三菱地所や小田急不動産、静岡ガス、北海道ガスといった企業との提携のもと、ハウスメーカーを中心に住宅への導入が進んでいる、れっきとした実用デバイスです。

それでいて、見た目は一枚の木の板。ここに、muiボードの面白さが詰まっています。

情報を“主張しない”という発想——カームテクノロジー

一般的なスマートホームコントローラーは、情報を積極的に表示し、通知することを重視します。「あなたに見てほしい」「操作してほしい」と、デバイスのほうから働きかけてくる設計です。

muiボードは、その逆を行きます。普段は木目の家具としてただ静かに存在し、ユーザーが手を触れて求めたときにだけ、必要な情報をそっと浮かび上がらせる。過剰に注意を引く通知はありません。この「暮らしの中にそっと溶け込む」という思想は、近年スマートホームの世界で注目されるカームテクノロジー(Calm Technology)という考え方に重なります。テクノロジーが主役として前に出るのではなく、生活の背景に静かに控えるという発想です。

天然木を使っているのも、単なる見た目の問題ではありません。手で触れた痕跡や風合いの変化、使い込むほどに増す味わい——家具では当たり前に感じられる「愛着」を、デジタル機器にも宿したい。木の柔らかな手触りを感じながらタッチ操作をするうちに、その人の記憶や体験が道具に刻まれていく。そんな関係性を、muiボードは目指しています。

情報デバイスが「家具」になるとき

家族へのメッセージや見守り機能で日常に寄り添う「muiボード」の暮らしのシーン

muiボードが面白いのは、家電を操作するだけの道具にとどまらない点です。たとえば家族へのひと言を残せる「置き手紙」機能、いまの気持ちを記録して未来に表示する「タイムカプセル」機能、人感センサーを使った部屋の「みまもり」機能など、暮らしのコミュニケーションを育む仕掛けが用意されています。

共働きや子育てで、家族が顔を合わせる時間がどうしても不足しがちな家庭にとって、玄関やリビングの木の板に残された一言が、日常に“ほっと”する瞬間を生む。情報デバイスでありながら、家族のつながりをやさしく支える存在になっているのです。

スマートウォッチが「身につけて、自分の体や予定を意識する」デバイスだとすれば、muiボードは「住まいに溶け込み、家族との時間を静かに支える」デバイス。同じデジタルガジェットでも、立ち位置はずいぶん違います。

木に情報を映すという挑戦が、各賞で高く評価された

こうしたmuiボードの思想とデザインは、第三者からも高く評価されています。muiボードは2025年度のグッドデザイン賞を受賞したほか、第19回キッズデザイン賞、生活情報誌『サンキュ!』による「明るいミライ大賞 for couple」も受け、いわゆるトリプル受賞を達成しています。さらに、第2世代は静かなテクノロジーの国際認証「Calm Tech Certified」も取得しています。

グッドデザイン賞の審査員からは「情報デバイスはアクリルやガラスのパネルに情報を表示するのが一般的だが、本製品はそれを木材にしている点が新しい。ハイテクなイメージではなく、ナチュラルで素朴な感覚の製品にデザインしたことが評価できる」とのコメントが寄せられました。木に情報を映すという一見シンプルな発想が、製品ジャンルの常識を静かに揺さぶっていることが分かります。

製品の詳細はmui Lab公式サイトのmuiボード紹介ページで確認できます。

まとめ——「溶け込む」テクノロジーという選択肢

テクノロジーは、必ずしも私たちの注意を奪い合う必要はありません。muiボードは「情報をどう見せるか」ではなく「情報とどう穏やかに付き合うか」を起点にデザインされた、ひとつの答えです。

スマートウォッチやスマートホーム機器がますます高機能になっていくなかで、あえて“静かさ”や“素朴さ”を選ぶという発想は、これからのデジタルガジェットを考えるうえで、きっと無視できないテーマになっていくはずです。木のぬくもりを宿したこの一枚の板は、私たちと情報の距離感を、もう一度やさしく問い直してくれます。

Source: mui Lab株式会社 プレスリリース

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