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「見えない壁」で転倒予防!? ヒトのライトタッチ現象を利用した「バランス能力向上ウェアラブルデバイス」を横国大・県立広島大の研究グループが開発

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2021.04.21

横浜国立大学工学研究院の島圭介准教授、県立広島大学保健福祉学部の島谷康司教授らの研究グループが、ヒトの「ライトタッチ現象」を利用してバランス能力を向上させる新しい装置を開発しました。

ライトタッチ現象とは、ヒトがカーテンや紙などに指先で軽く触れていると安定して立てたり、転倒しにくくなったりする現象のこと。研究グループでは、何かに触れたときの反力を振動で表現し、指先に与えることで、この現象を再現できることを世界で初めて発見。全く新しい立位・歩行サポート法として小型の「ウェアラブル・ライトタッチ・デバイス」を開発・提案しましています。

実験ではこの装置を装着することで、立位時の姿勢動揺が低減することを確認。日常生活の転倒予防への貢献が期待されます。今後はより効果的にバランス能力を向上させるために個人の身体情報に応じてパーソナライズされる振動刺激法の提案や、転倒リスクの評価や訓練への展開が期待されます。成果は、Natureの姉妹誌であるScientific Reportsに発表されました。

本研究のポイント

・ヒトが何かに触れていると安定するという“ライトタッチ現象”に着目し、何もない空間で物体に触った感覚を振動として指先に与えることでこの現象を再現できることを世界で初めて発見・実証した。
・開発した装置を装着することで、どこにも触らなくてもバランス能力の向上が可能となる。
・立位・歩行中に着用することで転倒予防への貢献や、今後はこの技術を応用した転倒リスクの評価や機能改善訓練への展開が期待できる。

高齢化社会では「転倒予防」が課題の一つに

現代の日本においては高齢化社会が進み問題となっています。高齢者が抱えるリスクとしては転倒があり、これは介護が必要となる要因の1つです。さらに高齢になるにつれて転倒リスクが大きくなる傾向があることから、効果的な転倒予防の必要性が考えられます。

転倒予防としては一般的に杖や歩行器などの歩行補助用具が広く用いられています。補助用具による姿勢の安定化は効果的であるものの、不適切な使用方法や特定の環境下においては運動機能の悪化や転倒リスクが増加するといった見解もあります。

一方、身体を支えるほどの大きな力を外界へ加えずとも、固定点へ指先で軽く触れることが直立姿勢時の動揺を顕著に減少させることが明らかにされています。この現象はLight Touch Contact (LTC)と呼ばれ、これまでに関連する研究が数多く行われています。しかしながら、この効果を得るためには指先が固定点へ触れることが必要不可欠であるため、機械的支持がない場所では行うことができないという問題点があります。

もしあらゆる空間でLTC現象による姿勢保持効果を得ることができれば、立位および歩行時の姿勢補助支援が可能となり、転倒事故防止に貢献できる可能性があります。そこで機械的支持がない場所でも仮想的な物体に触れることで姿勢の安定化を可能とする新しい方法論の提案を試みました。

研究の概要

機械的支持に頼らずあらゆる空間で姿勢の安定化を行う新しい姿勢保持支援法を実現するために、

(1)人間の周りに機械的支持に相当する壁を設置でき、

(2)設置した壁に指先が触れた際の反力を推定可能で、

(3)推定した反力を指先に提示可能なシステム

の構築を試みました。まず(1)人間の周りに機械的支持に相当する壁の設置、および(2)指先が設置した壁に触れた際の力を推定するために、仮想的な慣性、粘性、剛性を有する仮想壁に触れた際の力を、指先の変位、速度、加速度情報を用いて運動方程式に基づき推定します。そして(3)推定した力を指先に触覚として提示する方法として振動刺激を用いたフィードバック法を提案しました。

さらに日常生活で提案手法の使用を可能とするために、仮想壁への指先の接触加速度情報のみを利用して、仮想反力を近似的に推定してフィードバックする小型のウェアラブルデバイスを開発しました。これにより、仮想壁に触れた際の反力を空中で簡易的に提示することが可能となります。

実験手法と成果

20~60代の健康な男女150名に対して開発した小型ウェアラブルデバイスを装着することで立位時の重心動揺が低減するかを検証しました。計測した重心動揺から姿勢の安定性を評価するために8個の評価指標を算出し、全ての年代で開発したデバイスを装着することで評価指標が有意に低減したことを示しました。またA4の紙に軽く触れるLTCと比較すると、同等の効果が得られることを示しました。

さらに、提案手法による姿勢の安定化は手を振った際の触覚フィードバックがない条件や指先に振動刺激を与え続けた条件では生じなかったことから、仮想壁を触った際の反力を振動刺激としてフィードバックさせたことに起因していることが明らかになりました。

今後の展開

本研究グループは、機械的支持がない場所でも仮想的な壁に触れることで姿勢動揺を低下させることが可能な新しい方法論を実現し、全く新しい立位・歩行サポート法として小型転倒予防装置を開発・提案しました。今後はより効果的にバランス能力を向上させるために、個人の身体情報に応じてパーソナライズされる振動刺激法を検討していきます。

また、今回開発したデバイスをさらに小型化することで日常生活において違和感の少ない転倒予防装置の開発を進める予定です。また提案手法を応用することで転倒リスクの評価や訓練への展開することで、新しい転倒予防法を提供が期待されます。

【発表雑誌】

雑誌名:Scientific Reports
論文題目:A Wearable Light-touch Contact Device for Human Balance Support
著者:Keisuke Shima, Koji Shimatani, and Mami Sakata
DOI:https://doi.org/10.1038/s41598-021-85687-4

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