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ウェアラブルデバイスの最終形はマイクロチップの体内埋め込み? スウェーデンでは電車で決済可能も、世界で普及が進まないワケ

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腕元でのキャッシュレス決済や、スマートロックの解除が可能なモデルもあるスマートウォッチ。

キャッシュレス決済については、Visaのタッチ決済対応のプリペイド型スマートリング「EVERING」も登場するなど、「指輪型ウェアラブルデバイス」も今後は普及する可能性があります。

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こうしたデバイスが登場すると、「もうマイクロチップ埋め込みでいいじゃん」という声が挙がるのが定番。

そして海外の一部ですでに始まっている、人体にマイクロチップを埋め込む各種サービスの事例が取り上げられたりします。

その具体的な事例や、海外の政府等の反応、そして技術的には可能なのに今ひとつ普及が進まない背景について、米国在住のライターの角谷剛氏がレポートします。

入室カード、クレジットカード、乗車券の代わりに

2020年6月、ミシガン州議会は「Microchip Protection Act」と呼ばれる法案を成立させました。

「企業経営者は従業員にマイクロチップを体内に埋め込むことを強制してはいけない」という法案です。

同様の内容を持つ法案は米国内の他の12州でも既に成立しており、今後もその数は増えていくと思われます。

マイクロチップを体内に埋め込むとはまるでサイエンス・フィクションのようですが、その技術はずっと以前から存在し、主にペットの所在確認用に使われていました。

米国の食品医薬品局(FDA)が人間の体内にマイクロチップを埋め込むことを承認したのは2004年のことです。当初は医者が患者の健康関連データに素早くアクセスできるようにすることが目的でした。

その後は体内のマイクロチップを別の用途に利用するアイデアは次々と生まれましたが、米国内ではあまり広まりませんでした。

スウェーデンでは鉄道での決済も可能

むしろ先行したのはスウェーデンです。2015年頃から希望者にマイクロチップ埋め込みを行う企業が出始め、オフィスに入室するときや、食堂や自動販売機での支払いが、手をかざすだけでできるようになったのです。

スウェーデンの国有鉄道会社『SJ AB』もマイクロチップでの決済システムを導入し(上動画参照)、そのシステムを利用する乗客は乗車券を持ち歩く必要がなくなりました。

昭和生まれの筆者は通学や通勤に定期券入れを持ち歩いた世代です。

それ以外にも、財布、社員証、アドレス帳などが別々に存在していましたので、ポケットが大変重かったことを覚えています。

Suicaが登場し、携帯電話で使えるようになり、最近ではスマートウォッチでも使える機種が出てきたことを、大変便利な世の中になったと感心しています。

しかしながら、その反面、スマホもスマートウォッチも家に置き忘れたり、バッテリーが切れたり、あるいは紛失や盗難にあえば、それまでです。体内に埋め込んだマイクロチップであれば、その心配はありません。

利便性かプライバシーか

2017年にウィスコンシン州の『Three Square Market』が希望する従業員にマイクロチップを埋め込んだ米国内で初の企業になりました(*上記動画参照)。

チップは従業員IDカードの代わりとなり、オフィスに入館するためのカギが不要になりました。タイムカードの入力やコンピューターへのログイン、そして食堂での支払いもマイクロチップで可能になったそうです。

50人以上の希望者がマイクロチップを埋め込みましたが、推進者の社長はこのチップにはGPSなどの追跡機能はついていないことを社員に確約せざるを得ませんでした。

現在のところ、米国内ではそれ以外にマイクロチップを従業員に埋め込む事例はさほど多くありません。

それにも関わらず、この技術が将来的には義務化され、人々のプライバシーが脅かされることを危惧する声が大きくなっています。

冒頭の「Microchip Protection Act」法案を提案したブロナ・カーレ議員は下のように述べています。

「技術はこれからも進歩し続けるでしょう。経営者は企業の利益と従業員のプライバシーとの間でバランスを取ることが重要です。マイクロチップの体内埋め込みに関しては多くの議論が引き起こされました。企業が効率を高めるために低コストの方法を模索しているからです。マイクロチップが増えるにつれて、労働者のプライバシー保護を要求する声も大きくなっています」

コロナ禍のデマ拡散に見るマイクロチップへの恐怖感

新型コロナウイルスのワクチン接種に反対するトンデモ陰謀論の中には、「ワクチンにはマイクロチップが組み込まれていて、政府が国民のデータを管理するために使用される」というものがありました。

マイクロチップを体内に埋め込むということに対して、本能的に不安感を抱く人はまだまだ多いようです。宗教的、倫理的な理由で反対する層も存在します。

どのようなものであれ、新しい技術が人々に広く受け入れられるまでには時間がかかることは歴史が証明しているのではないでしょうか。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

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