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失われた声をAIで取り戻すウエラブルデバイス「Syrinx」、ダイソン国際エンジニアリングアワードで日本国内最優秀賞受賞

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公開日: 最終更新日:

一般財団法人ジェームズダイソン財団は国際エンジニアリングアワード「James Dyson Award (以下、JDA)」の国内最優秀賞作品を含む上位2作品を発表しました。

JDAは次世代のエンジニアやデザイナーの支援・育成を目的に行われているもので、世界各国から寄せられた作品は1,794点。今年の国内最優秀賞は、東京大学大学院 竹内雅樹氏ら4名チームによる、声を失った方々が再び声を取り戻せるウェアラブルデバイス「Syrinx」に決定しました。

JDA2020 国内最優秀賞「Syrinx」

【概要】
喉に外部から声の素となる振動を与えることで、喉頭を摘出し発声能力を失った人などが再び人と話すことができるようになるウェアラブルデバイス。失う前の声の録音データをもとに、AIで声帯の振動音を生成し、元の声を再現します。また、ハンズフリーで使用可能なため日々の生活動作を妨げることがありません。さらにその外観は、会話のきっかけとなるような洗練されたデザインを有しています。

【製作者】
竹内雅樹氏 東京大学大学院 工学系研究科 電気系工学専攻
Ahn Jaesol氏 東京大学 工学部 電子情報工学科
Lee Kunhak氏 東京大学 工学部 機械工学科
小笠原佑樹氏 東京大学大学院 学際情報学府学祭情報学専攻 先端表現情報学コース

発声能力を失った人などが再び人と話すことができるウェアラブルデバイス

声を使った会話は、コミュニケーションをとるのに最もスピーディーかつ簡単な方法ですが、世界では毎年30万人以上の人たちが、がんなどの理由で声を失っています。そうした背景から、口の動きだけで声を生成するデバイス「電気式人工喉頭」が20年ほど前に開発されましたが、同デバイスは常に片手で喉に押し当てなけがら使用することが必要。生成される声も機械的と、さまざまな課題がありました。

「彼らにもう一度楽しい会話を取り戻して欲しい」。そういった思いから「Syrinx」のプロジェクトがスタートしました。

受賞の竹内氏「今回の受賞はそのための大きな一歩を踏み出した」

今回の受賞を受けて、チームリーダーの竹内氏は「私たちのゴールはSyrinxを製品化して、世界中の声を失った方々に届けることです。今回の受賞はそのための大きな一歩を踏み出したと考えております。そのため、今以上に質のいいものを世に出せるように、今後も開発を続けていきたいと思います」とコメントしています。受賞作品には賞金2,000ポンド(約28万円[1])が贈られます。

[1]参考金額:1ポンド=141円 発表時の為替相場に応じて換算

JDA国内審査員 緒方壽人氏のコメント

「失われた声を取り戻すウェアラブルデバイスとして、実際に当事者のインタビューやテストを行いながら、従来の電気式人工喉頭の問題点に真摯に向き合っている。もとの声に近い発声技術、手が塞がらない使い勝手やデザインなど、技術的にも難しい課題をクリアしながら試作検証を重ねてつくられており、高く評価できる」

JDA国内審査員 川上典李子氏のコメント

「検証が重ねられ、ハンズフリーの設計や声の再現、好みの声に変えられる配慮など、ユーザーの心理にも丁寧に向き合った提案となっていることを高く評価した。必要とされる方々の生活に馴染み、身体の一部となって違和感なく活用できるための精度を高めながら、社会実装に向けて進んでほしい。今後の取り組みに注目している」

JDA2020 国内準優秀賞「Robotic Drink Bar」

また国内準優秀賞は、人手不足をサポートする超低コストなロボットアーム「Robotic Drink Bar」に決定しました。

【概要】
人手不足は年々増加し、今後ロボットを用いた生産性の向上は必要不可欠となってきます。現在でもロボットによる生産性の向上の取り組みが行われていますが、「コストが高い」ということが大きな導入障壁となっています。そこで、人手不足が深刻な飲食・農業といった分野に最適なスペックで導入・運用コストの低いロボットアームを開発しています。このロボットアームを用いて、まずは飲食分野の自動化に取り組みます。自動販売機型での自動化の検証を行い、検証後には自動販売機型や店舗型での展開を考えています。

【製作者】
樋口翔太氏 筑波大学大学院 知能機能システム学位プログラム1年

JDA国内審査員 緒方壽人氏のコメント

「汎用性の高い自由度をもったロボットアームは多様な場面で潜在的なニーズがある。その中で大きな問題となる『コスト』に焦点を当て、高機能ではなくコストを圧倒的に下げようというアプローチは理にかなっている。実際にプロトタイプを開発し検証を行っている点も評価している。『必要な機能性や品質』と『圧倒的な低コスト』のバランスをいかに両立できるかが今後の鍵になると思われる」

JDA国内審査員 八木啓太氏のコメント

「実際に機能するプロトタイプ開発と、その検証・改善プロセスを高く評価している。今後社会実装にむけて、上市に耐えうるQCDの最適化や、量産、商業的課題といった難題が想定されるが、コスト優位性のコンセプトを失わずに、市場でプレゼンスを発揮されることを期待したい」

上記2作品を含む各国作品群は、国際第2次審査へ

この後、上記2作品を含む各国作品群は、国際第2次審査に進みます。その中からTOP20作品が選ばれ、ダイソン創業者ジェームズ ダイソンによる国際最終審査に進みます。選考結果は、TOP20を10月15日に、最終結果を11月19日に発表予定。国際最優秀賞受賞者には、賞金30,000ポンド(約420万円[1])を、受賞者が在籍または卒業した教育機関に寄附金5,000ポンド(約70万円[2])が贈られます。

[2]参考金額:1ポンド=141円 受賞発表時の為替相場に応じて換算予定

JDA2020国内審査員

■緒方壽人氏 デザインエンジニア/Takram ディレクター

ソフトウェア、ハードウェア問わず、デザイン、エンジニアリング、アート、サイエンスまで領域横断的な活動を行うデザインエンジニア。東京大学工学部を卒業後、情報科学芸術大学院大学(IAMAS)、リーディング・エッジ・デザインを経て、ディレクターとしてTakramに参加。

■川上典李子氏 デザインジャーナリスト

「AXIS」編集部を経て1994年に独立。21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクター。国際交流基金主催のデザイン展のキュレーションにも関わり、「London Design Biennale 2016」日本公式展示キュレトリアル・アドバイザー等。武蔵野美術大学、長岡造形大学、桑沢デザイン研究所非常勤講師。

■八木啓太氏 デザインエンジニア/Bsize(ビーサイズ株式会社)代表取締役

2011年、ハードウェアスタートアップBsizeを設立。同年、世界で最も自然光に近いLEDデスクライト“STROKE“を上市し、たったひとりの家電メーカー「ひとりメーカー」として話題に。NHK連続テレビ小説「半分、青い。」で「ひとりメーカー」公証として制作協力。現在は、AI・IoT技術を応用した見守りロボットGPS BoTを展開。JDA2006入賞。その他受賞歴に、Good Design賞、Red Dot賞、iF賞 等

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