経済評論家・勝間和代さんの最新刊『仕事と人生を変える 勝間家電』(ダイヤモンド社)が発売1週間で大増刷となり話題を集めています。
本書は、忙しい人が「自分の時間を取り戻す」ための家電・ガジェット・テクノロジーを紹介する一冊。
これまでに2000以上の家電を試してきた勝間さんが、自腹で選んだ“最強の時短ツール”を公開しています。
Smart Watch Life編集部では、本書の発売を記念して勝間和代さんに独占インタビューを実施。
全3回シリーズの第2回となる本記事では、「スマートウォッチは買ってよかった家電ナンバーワン」という勝間さんの同書の視点から、健康管理・決済・ナビ・通知設計まで、スマートウォッチを“生活のOS”にする実践をうかがいました。
【第1回のインタビューはこちら】“テクノロジーを使えない=人生がハードモード”という現実:勝間和代が明かす「時間を買う」家電活用術
「スマートウォッチは買ってよかった家電ナンバーワン」

スマートウォッチは睡眠などの各種健康データを自動計測してくれる。写真は編集部所有のPixel Watch 4
――『勝間家電』のなかではスマートウォッチを「買ってよかった家電ナンバーワン」に挙げられていました。スマホと比べて何が便利ですか?
勝間: スマホと違って腕に付けて使える点がまず便利です。そして、いわゆる健康管理が全部できます。睡眠管理、運動管理、心拍数などを測れますから。付けているだけで勝手に計測してくれるので、本当に便利になりましたよね。あと毎日、有酸素運動の目標が表示されるので、その目標をなるべく達成するようにするという。
――勝間さんはGoogle Pixel Watchシリーズをお使いですが、たとえば睡眠計測については、睡眠スコア以外に何を見ていますか?
勝間: やはり睡眠時間は見ていますね。Pixel Watchは精度が厳密で、8時間ほど布団の中に入っていても、「あなたは1時間10分は布団の中で起きていましたね?」ってバレるんです(笑)。
――私もスマートウォッチで睡眠計測していますが、高価格帯のものは、夜中に目が覚めた時間も「起床」として検知したりと、非常に精度が高いですよね。
勝間: そうですね。なので、「寝た時間をせめて7時間を超えるようにする」ことを目標にしています。布団に入るのは8時間ぐらいないと、7時間超えないんです。
エナジースコアで“体調の波”を見える化

体の回復状態が100点満点のスコアで分かる「エナジースコア」機能。写真は編集部のPixel Watch 4
勝間: エナジースコアも見ていますね。スコアが低いときは「今日は疲れているから、何もしないようにしよう」と判断する材料にしています。
――エナジースコアは「体の回復状態がひと目でわかる指標」で、100点満点で表示されますよね。
勝間: このエナジースコアは「心拍の変動(HRV)」が大きいか・小さいかが判断材料になる指標です。変動が大きいときは体調がよくて、小さいときは体調が悪い。そして調子が悪いときって、交感神経と副交感神経のバランスがうまくとれていないから、心拍が変動しない……という話を私は以前にお医者さんから聞いていました。なので、その知識は以前からあったんですけど、当時はその心拍変動は専門の機械じゃないと測れなかった。それが今は、こんな腕時計で簡単に測れちゃうのが凄いなと。
――今はPixel Watch以外のスマートウォッチでも計測可能なものが増えていますね。では勝間さんは、数値が低いときは「疲れている」と考えて、意識的に休むようにしていると。
勝間: そうですね。あらためて考えてみれば、そうやってエナジースコアを気にし始めてから、重篤な風邪とかは引かなくなりました。あと先々週にバングラデシュの友達の家に行って、毎日ごろごろして食っちゃ寝していたときは、あっという間に100まで回復していました(笑)。
――休めばちゃんと上がるわけですね。
勝間: そうですね。このスコアは70を超えていると「非常に良好」で、60台とかだと「良好」の評価になるんですけど、データを見返してみても「良好」以下の日は最近ないですね。
――「心拍変動が体の疲れを測る上でキーになっている」というのは、私もスマートウォッチについて調べるようになって知ったことですが、そうした専門的な知識がなくても、100点満点のスコアで身体の状態が分かるのは良い機能だと感じます。
勝間: 分かりやすいですよね。これまでスポーツクラブで口に器具を付けてフゴフゴしなきゃいけなかったり、医者で指を挟んで3〜5分じっとしていなきゃいけなかったものが、今はスマートウォッチで大体できるんです。実際、24時間にわたって心拍を監視していますから、理論的にはいろんなことができるんですよね。だからPixel WatchではFitbitの有料プランを契約しています。
――無料プランでも色々な数値が見れますが、有料にするとさらに良いですか?
勝間: そうですね。より細かいことを教えてくれるので。自分の健康をしっかり監視したい人には有効です。
VO2 Maxで“体の総合力”を測る

――また勝間さんは、運動能力の目安となる最大酸素摂取量(VO2 Max)という指標も重視されているそうですね。
勝間: 最大酸素摂取量はすごく重要な指標だと思っています。世の中の人がこのVO2 Maxを管理しないで生きているというのは怖いと思っています。
――おそらく本格的にランニング等のスポーツをする人以外は、聞いたこともない人が多いと思います。
勝間: VO2 Maxは寿命とむちゃくちゃ相関関係が高いんですよ。しかも一朝一夕には上がらないので、継続して見る価値のある指標です。私は以前はスポーツクラブで測っていましたが、「まさかこれがスマートウォッチで測れるようになったか」と超びっくりして。時計が運動負荷と心拍の変化を全部見ているんだから、これも理論的には測れますよね。結局、筋肉と血液と心肺の総合力なので。
――今はApple Watchをはじめとして、多くの高性能スマートウォッチではVO2 Maxの計測が可能です。
勝間: Garmin(運動計測に強いスマートウォッチの大手ブランド)とかも普通に測れますからね。
「仲間と続ける」――習慣化アプリの活用

5人1組で続ける習慣化アプリ「みんチャレ®」。健康習慣の維持に役立つさまざまなグループがある。写真はアプリのスクリーンショット。© A10 Lab Inc.
――スマートウォッチは睡眠計測、運動計測を行うことで、健康の維持管理ができるデバイスですが、ダイエットなどと同じで「長続きしない」という人が多いです。勝間さんはこの点でも「テクノロジーの力を借りる」という発想で、「みんチャレ®」という習慣継続アプリに課金されていました。1人で頑張るよりも、そういうアプリを使ったほうが……。
勝間: やっぱり続けるのは楽ですね。アプリの流行が始まったころから使っています。
――もともと娘さんがやっていらっしゃったと。
勝間: 娘がダイエットするときに使っていたアプリなんです。Switchのリングフィットを毎日やっていて、一生懸命写真を撮っているから、「何してるの?」と聞いたら教えてくれて。
――やった証拠を送らなきゃいけないんですね。
勝間: そうです、写真を送るんです。それでうちの娘はリングフィットを3周ぐらいしていました(笑)。
――そして勝間さんは今はVRで体を動かしているそうですね。
Pixel Watchが“生活のインターフェース”になる
――健康管理以外ではスマートウォッチをどんな用途で使っていますか?
勝間: 時間の管理ですね。アラームやタイマー、ストップウォッチを使いますし、特にアラームはよく使います。電車の降りる駅の2分前にセットしておけば、それまで忘れていても安心です。
――しかも電車の中でも、音が鳴らないのがいいですよね。
勝間: ぶるっと震えるだけですからね。朝起きるときももちろん使っていますよ。あとGeminiもGoogleマップも、いちいちスマホを開かずスマートウォッチで確認します。腕に表示されるのでこちらの方が便利です。

Pixel Watchのマップ。画面は小さいが、歩く方向や曲がる場所の確認に便利。写真は編集部のPixel Watch 4
――スマホのマップとはどのように使い分けていますか?
勝間: 近所のよく知っているところだと、曲がるところで「ぶぶっ」と振動で教えてくれますし、「もうすぐ交差点」とかを通知してくれるのも便利ですね。私はもともとHUAWEIのスマートウォッチを使っていたんですが、Pixel Watchに乗り換えたのはGoogleマップが使えるからですね。Pixel Watchも1と2は使い物にならなくて、ずっと買っては使うのをやめてを繰り返していました。
――リリース当初のPixel Watchはバッテリーの持ちが悪かったんですよね。スマートウォッチ好きでは有名な話ですが。
勝間: 1と2はひどかったです(笑)。それが3からバッテリーがしっかり持つようになって、いま私は最新の4が届くのを待っています。
キャッシュレス決済も“手首完結”の時代へ

Pixel Watchでは追加したクレジットカードに応じてQUICPayなどの決済手段も利用可能になる。写真は編集部のPixel Watch 4
勝間: あとはQUICPayをメチャクチャ使いますね。たまにサービスエリアとかでQUICPayが使えないと困るくらい頼り切りです。Pixel WatchにはiDも入るみたいですけど、QUICPay対応のクレジットカードを登録しただけでQUICPayを使えるようになったので、私はこっちを使っていますね。
――特定のクレジットカードじゃないとQUICPayやiDなどの決済手段は入らないので、そのあたりはまだ不便です。
勝間: そうですね。Pixel WatchではSuicaも一応使っていますが、オートチャージができないので、不要不急のときはスマホのほうを使っています。スマホには一応iDも入っていますね。
――基本的にステンレスのベルトを使っているんですか?
勝間: はい。やっぱりシリコンだとかゆくなっちゃうので。あと秒で外せるのも便利です。

勝間さんが着用中のPixel Watch 3。針のある文字盤が好みだそう
――重さは気になりませんか?
勝間: 気にならないですね。ずっと付けていると慣れます。フェイスはやっぱりアナログのほうが好きです。デジタルでもいいんですけど、ぱっと見て時間が分かりにくい。だからGARMINのアナログ針付きモデルも少し興味はありますね。
通知を“切る”ことで集中を取り戻す

スマホ2台を持ち歩き、スマートウォッチも身につける勝間さんだが、アプリの通知はほぼ全てをオフにしているという
――スマートウォッチを買っても「通知を見るだけ」で終わってしまい、勝間さんのようには使いこなせない人も多い印象です。
勝間: スマホの通知なんて一個も飛ばしていないですよ。私はスマホの通知は全部オフ派なんです。ショートメッセージで届くのは大体が認証系なので、それは通知を飛ばしてすぐ反応できるようにしています。
――スマートウォッチは「いちいち通知で腕元が震えるのがうっとうしい」という理由で嫌になる人もいますね。
勝間: スマホの通知を全部切れば、ウォッチにも飛ばないですよ。「そもそも何でスマホの通知をオンにするの?」というのが私のポリシー。あんなにわずらわしいもの!
――メールやLINEの通知はスマホにも届かないようにしてるんですか?
勝間: もちろんです。
――その代わり、定期的にチェックするのでしょうか?
勝間: 暇な時間にチェックすればいいんですよ。待ち時間とか、寝る前とか夜とか。でも、「午前中にチェックしろ」と言われて、夕方の5時ごろに返すこともありますけど(笑)。
――ほかにおすすめのスマートウォッチの使い方などはありますか?
勝間:スマホなしに手元でGeminiを使えるので、とにかくなんでもGeminiに聞きます。その辺の道路で見た標識なんかも教えてもらったりしています。
――疑問に思ったことを聞いているわけですね。それもスマホを出すより早いですよね。
勝間: 早いですね。私、歩きスマホとか本当に嫌いなんですよ。あんな怪我のもとになるものはありません。スマホも壊れるし。私はスマホをむき出しで持っているのをよく驚かれるんですけど、落とさないのは歩きスマホをしないから。スマートウォッチは歩きスマホの防止という点でも有効なアイテムだと思います。
書籍情報

勝間和代
『仕事と人生を変える 勝間家電』
ダイヤモンド社刊
本インタビューは全3回シリーズです。
第3回では、AIアシスタント「Gemini」やPixelのデスクトップモードなど、“AIが秘書になる日常”をテーマにお話をうかがいます。
勝間和代さんへのインタビューの1回目の記事と本書の書評記事はこちら!
“テクノロジーを使えない=人生がハードモード”という現実:勝間和代が明かす「時間を買う」家電活用術
『仕事と人生を変える 勝間家電』書評|テクノロジーで「時間」と「健康」を取り戻す実践的ライフハック
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