Appleは2025年12月4日、Apple Watchの新しい健康機能「高血圧パターンの通知」を日本で提供開始しました。
この機能は、日常の装着データから「血圧が高い状態が続いている可能性」を検出してユーザーに知らせるものです。自覚症状がほとんどない高血圧の早期発見につながる可能性があり、すでに米国で提供されていた際には大きな反響を呼んでいました。
高血圧は“気づきにくい病気”――世界13億人に影響
高血圧は心臓発作や脳卒中の主要なリスク因子であり、世界の成人約13億人に影響していると言われています。しかし、多くの人は自覚症状がなく、医療機関の1回の測定だけでは見逃されてしまうことも少なくありません。
Apple Watchの新機能は、光学式心拍センサーを用いて「血流の変化」を長期間解析し、気付きにくい高血圧の可能性にアラートを出してくれます。
どうやって分かる? 光学式センサー+機械学習で30日間の傾向を解析

今回の通知機能は、Apple Watchが取得する血管反応のデータをバックグラウンドで解析し、30日間の傾向をもとに“一貫した高血圧パターン”が見られると通知します。
開発にあたっては、累計10万人以上が参加した研究データをもとにトレーニングされ、さらに2,000人超の臨床研究で性能が検証されたと公式に明らかにされています。
通知が届いた場合は、医療用血圧計での確認と医師への相談が推奨されています。
対応モデルと注意点
本機能に対応するモデルは以下の通りです。
・Apple Watch Series 9 以降
・Apple Watch Ultra 2 以降
また、この機能は22歳未満のユーザー、高血圧の診断歴がある方、妊娠中の方を対象にしたものではありません。
設定は、iPhoneの「ヘルスケア」アプリから行えます。
米国ではどう受け止められた? “予防医療のブレイクスルー”として高評価

今回の日本での提供に先立ち、米国では2025年9月から同機能が利用可能でした。各テックメディアのレビューを総合すると、以下のような評価が目立ちました。
肯定的な評価:早期発見ツールとして“画期的”
CNETは、高血圧が「サイレントキラー」である点に触れ、Apple Watchがそのリスクを“普段どおりの装着だけで可視化できる”ことを「Groundbreaking(画期的)」と報じています。
Time誌も、“自覚症状のない疾患を可視化するウェアラブルとして公共衛生上の意味が大きい”と評価しました。
MacRumorsは、Appleの推計として「初年度に100万人以上の未診断ユーザーに通知が届く可能性」を紹介し、受診を促す効果を高く評価しています。
TechRadarは、カフ式血圧計のような操作が不要で、バックグラウンド解析によりストレスなく使える利便性を強調。“手軽なスクリーニングデバイスとして優れている”としています。
注意点:数値が分からないことへの“不満”も
The VergeやPCMagは、Apple Watchが血圧の数値(mmHg)を直接測定しない点を指摘。“リアルタイムの血圧測定を期待していたユーザーには期待外れ”とする論調を掲載しました。
さらにTime誌が取材した専門医は、「治療中の患者にとっては日々の数値が重要であり、パターン通知だけでは不足する」とコメント。あくまで“未診断者の発見”という役割に価値がある、と整理されています。
なお、現状でその他の血圧が測れる腕時計型のモデル(オムロンやHUAWEI)は、測定時には時計のバンド(=カフ)が膨らむ構造になっており、見た目がApple Watchと比べるとやや不格好です。
Apple Watchはそうした仕組みや機構を持っておらず、リアルタイムの血圧測定はできませんが、その代わりにスマートな見た目を維持している点がやはり魅力といえます。
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グローバル展開が加速:12月3日には新たな提供国が追加
2025年12月3日には、MacRumorsが「UAEやサウジアラビアなどでも利用可能になった」と報道。今回の日本提供も含め、機能のグローバル展開は急速に広がっています。
Apple Watchの健康機能はさらに進化へ
Apple Watchは心電図、不規則な心拍の通知、皮膚温測定など、すでに高度な健康機能を備えています。今回の「高血圧パターン通知」は“見えにくいリスクを日常で察知する”という新しい価値をもたらします。
健康管理をより身近に、そして習慣化されるものへ――Apple Watchの進化は今後も続きそうです。
Source:Apple Newsroom(日本)
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