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公正取引委員会が「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」を公表|独占禁止法の論点とモバイルOS規制を整理

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生成AIをめぐるビジネス競争が激化するなか、日本の公正取引委員会が2026年4月16日、「生成AIに関する実態調査報告書ver.2.0」を公表しました。約30者へのヒアリングや情報提供フォームを通じて収集した最新情報をもとに、AIビジネスの市場構造と独占禁止法上の論点を整理した報告書です。スマートウォッチやウェアラブルデバイスとも密接に関わるモバイルOS上の生成AI規制についても言及されており、テクノロジー全体の動向を把握する上で注目の内容となっています。

公正取引委員会が生成AI市場の実態調査報告書を更新

公正取引委員会は2024年10月にディスカッションペーパー「生成AIを巡る競争」を公表して以来、継続的に調査を続けてきました。2025年6月に公表した「ver.1.0」に続き、今回のver.2.0では市場の概要を最新情報にアップデートしながら、独占禁止法上の論点をより詳細に整理しています。

今回の報告書では大きく以下の3点が追加・強化されました。

・生成AI関連市場の概要の更新
・自動運転市場の概要の新規追加
・独占禁止法上の論点の再整理

生成AI市場は「3層構造」で理解する

報告書では、生成AI関連市場を「インフラストラクチャー」「モデル」「アプリケーション」という3つのレイヤーに分けて分析しています。

インフラストラクチャーレイヤー:計算資源・データ・人材

生成AIを支える基盤として、半導体チップ(計算資源)・データ・専門人材の3分野が挙げられています。半導体チップの分野では、学習段階・推論段階のいずれにおいてもNVIDIA製GPUが引き続き高いシェアを持ち、「一強状態がまだしばらく続く」との見方が示されました。AIクラウドサービス(AWS・Microsoft Azure・Google Cloud)についても大手3社が有力な地位を占める状況が継続する見込みです。

データについては、量だけでなく質が重視される傾向が強まっており、学習データが将来的に枯渇する可能性も指摘されています。そのため合成データの活用や、企業内部に蓄積されたデータの利用への注目が高まっています。

モデルレイヤー:汎用型 vs 特化型の競争

ビッグテック企業を中心に汎用型の大規模言語モデルの開発競争が続いている一方、国内事業者は医療・金融・法律などの特定領域に特化したモデルで差別化を図っています。海外モデルと国内モデルの日本語能力の差は縮小しつつあるものの、高度な日本語能力が求められる専門領域では国内事業者が優位性を発揮できる余地があるとしています。

また、2025年1月に中国のDeepSeek社が高性能な大規模言語モデルを公開し、米国の株式市場にも大きなインパクトを与えました。中国製モデルの台頭について報告書は、経済安全保障の観点から慎重な事業者も存在すると指摘しています。

アプリケーションレイヤー:AIエージェントの定着

生成AIプロダクトの市場は、3つのレイヤーの中でも特に競争が激しい領域とされています。報告書では、国内での生成AIプロダクトの利用が以前より進んでいることや、GoogleのGemini・MicrosoftのCopilot・AppleのApple Intelligenceなど、既存のデジタルサービスへの生成AI統合が広がっていることを整理しています。

また、2025年に「AIエージェント元年」と呼ばれるほど注目を集めたAIエージェントが、現在は日常的な業務やサービスへ本格的に定着しつつあると報告されました。

独占禁止法上の2つの主要論点

モバイルOS上の専用ソフトウェアに関する制限行為

スマートフォン上で動作するオンデバイス生成AIモデルの活用が広がる中、モバイルOS提供事業者が自社アプリには利用できる専用ソフトウェアへのアクセスを他社アプリに対して制限する行為が問題になりえます。報告書では、こうした制限行為が競合事業者の取引機会を減少させる場合は独占禁止法上の問題となるおそれがある、との考え方を示しました。

また2025年12月に全面施行された「スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウェアに係る競争の促進に関する法律(スマホソフトウェア競争促進法)」との関係も整理されており、OS機能の利用を不当に妨げる行為は同法に違反する可能性があるとしています。

既存のデジタルサービスへの生成AI統合

検索サービスやオフィスソフトなど既存のデジタルサービスに生成AIを組み込む行為自体は直ちに問題となるものではありません。しかし、有力な地位にある事業者が生成AIを統合することで競合する生成AIモデルのAPI接続を実質的に制限するような場合は、抱き合わせ販売に該当し独占禁止法上問題となるおそれがあると整理されました。

また報告書は、Microsoftによる自社ソフトウェアライセンスとクラウドサービスを組み合わせた取引条件について、2026年3月に第三者からの情報・意見募集を開始した旨も記載しています。

自動運転分野も新たに調査対象に

今回のver.2.0の大きな特徴のひとつが、自動運転分野の市場概要を新規追加したことです。生成AI技術を既存の技術領域に応用した「フィジカルAI」として注目されており、北米や中国を中心に大規模投資が進んでいます。報告書では、自動運転分野においてもレイヤー別に競争が活発に行われているとしつつ、現時点では競争政策上のボトルネックが存在するとの意見はなかったとしています。

公正取引委員会の今後の方針

報告書の末尾では、日本の生成AI市場規模が2025年時点で6653億円、2029年には1兆9791億円に達する見込みであることも紹介しています。公正取引委員会は独占禁止法上の問題案件に対して引き続き厳正に対処するとともに、EU・英国・米国・フランス・カナダなど各国競争当局との国際連携を強化していく方針を示しています。

生成AIをめぐるルール整備は今後も継続的に進化していきます。スマートウォッチを含むウェアラブルデバイスやスマートガジェット全般にも影響するモバイルOS上の生成AI規制の行方は、引き続き注目していく必要があります。

Source:公正取引委員会(令和8年4月16日)

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