Appleが2026年4月末に発表した2026年度第2四半期(FY26 Q2、2026年1〜3月期)の決算は、売上高・純利益ともに前年同期を大きく上回る好業績でした。ただし、Apple Watchが属する「ウェアラブル、ホームアクセサリー」部門の成長率は全カテゴリ中で最も低く、スマートウォッチ市場の成熟という課題が数字にも表れています。
この記事では、Appleの決算資料をもとに全体業績を整理しつつ、Apple Watchに関わるデータを中心に読み解いていきます。
FY26 Q2 全体業績のサマリー
まず全体の数字を確認しておきましょう。
| 指標 | FY26 Q2 | FY25 Q2 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | $111.2B | $95.4B | +16.6% |
| 粗利益 | $54.8B | $44.9B | +22.1% |
| 純利益 | $29.6B | $24.8B | +19.4% |
| 希薄化後EPS | $2.01 | $1.65 | +21.8% |
売上高1,112億ドル(約16兆円)は前年比+16.6%と2桁成長。粗利益率も49.3%と高水準を維持しており、Appleの収益体質の強さがあらためて確認できる決算でした。
カテゴリ別売上——主役はiPhoneとサービス
カテゴリ別に見ると、成長を牽引したのはiPhoneとサービス部門です。
| カテゴリ | FY26 Q2 | FY25 Q2 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| iPhone | $57.0B | $46.8B | +21.7% |
| Mac | $8.4B | $7.9B | +5.7% |
| iPad | $6.9B | $6.4B | +8.0% |
| ウェアラブル、ホームアクセサリー | $7.9B | $7.5B | +5.0% |
| サービス | $31.0B | $26.6B | +16.3% |
iPhoneが+21.7%と力強く伸びた一方、ウェアラブル部門は+5.0%と全カテゴリ中で最も低い成長率にとどまりました。Macの+5.7%とほぼ同水準で、Appleの成長ドライバーとしての存在感は薄れつつあります。
Apple Watchはどこに入るのか

Appleの決算資料では、Apple Watchの売上は単独で開示されていません。「Wearables, Home and Accessories(ウェアラブル、ホームアクセサリー)」というカテゴリに、Apple Watch・AirPods・HomePod・各種アクセサリー類がまとめて計上されています。
そのため、Apple Watch単体の売上を決算書から直接読み取ることはできませんが、このカテゴリの動向がApple Watchの市場状況を映す鏡になります。
ウェアラブル部門のデータを詳しく見る
Q2単体と上半期(H1)を並べてみると、少し違う景色が見えてきます。
| 期間 | FY26 | FY25 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| Q2単体 | $7.9B | $7.5B | +5.0% |
| 上半期(H1) | $19.4B | $19.3B | +0.6% |
Q2単体では+5.0%と持ち直しているものの、上半期通算ではほぼ横ばい(+0.6%)。年末商戦を含むQ1(2025年10〜12月期)が弱かった反動もあると考えられますが、Apple Watch全体の需要が踊り場を迎えていることは否定しにくい数字です。
成長鈍化の背景にあるもの
ウェアラブル部門の成長率が低下している背景として、いくつかの要因が考えられます。
市場の成熟と買い替えサイクルの長期化
Apple Watchは2015年の発売から10年が経過し、既存ユーザーが多数存在しています。スマートフォンのように毎年買い替える層は少なく、「まだ使えるから」と旧モデルを継続使用するユーザーが増えています。
競合の台頭
GarminやSamsung Galaxy Watch、さらにはスマートリング(Oura Ringなど)といった競合製品が多様化しており、ウェアラブル市場全体のパイをApple Watch以外のデバイスが取り合う構図になっています。
「これ以上何ができるのか」という機能的成熟
心拍数・SpO2・ECG・クラッシュ検知・転倒検出……Apple Watchの健康・安全機能は既に高水準に達しており、新モデルへの買い替えを強力に促す「キラー機能」が出にくくなっています。
アジア市場の急回復はApple Watchにも追い風か
地域別の売上を見ると、明るい材料もあります。
| 地域 | FY26 Q2 | FY25 Q2 | 前年比 |
|---|---|---|---|
| Americas | $45.1B | $40.3B | +11.9% |
| Europe | $28.1B | $24.5B | +14.7% |
| Greater China | $20.5B | $16.0B | +28.1% |
| Japan | $8.4B | $7.3B | +15.1% |
| Rest of Asia Pacific | $9.1B | $7.3B | +25.4% |
Greater China(中国・香港・台湾)が+28.1%、Rest of Asia Pacificが+25.4%と、アジア圏の急回復が目立ちます。日本も+15.1%と全体平均を上回りました。
スマートウォッチの普及率はまだ欧米に比べてアジア圏では低い水準にあるとされており、この成長がApple Watchの普及拡大を後押しする可能性があります。
バランスシートから見えるAppleの次の一手
決算資料のバランスシートには、注目すべき変化が一点あります。無形資産が前期末の約110億ドルから約213億ドルへと、わずか半年で約100億ドル増加しています。これはM&A(企業買収)や大規模な知財取得が行われた可能性を示唆します。
買収先がAIやヘルスケア関連の企業であれば、今後のApple Watchの健康機能や血糖値モニタリング機能などに直結する可能性があります。現時点では詳細は不明ですが、今後の発表が注目されます。
また、自社株買いは上半期で約370億ドルと依然として大規模ですが、前年同期(約495億ドル)からは大きく減少しています。株主還元よりもAI・製品開発への投資を優先する姿勢へのシフトとも読めます。
まとめ——Apple Watch市場は転換点にある

FY26 Q2のApple決算を一言で言えば、「iPhoneとサービスが引っ張る絶好調、ウェアラブルは踊り場」という構図です。
Apple Watch自体の品質や機能が低下しているわけではありません。ただ、成長の余地が見えにくくなっていることは事実であり、次のフェーズへの移行——たとえば血糖値測定などの医療グレード機能の実装、アジア市場での普及加速、Apple Fitness+を軸にしたサービスとの融合——が市場活性化の鍵になりそうです。
Apple Watchをはじめとするウェアラブルデバイスの最新情報は、引き続きSmart Watch Lifeでお伝えしていきます。
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