WHOOPのCEOが「500億時間の健康データ」を語る|心拍変動の急落でがんが見つかった会員の例 FDAと争った血圧機能は継続【海外ニュース】

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黒い背景に緑色の心拍の波形が光るイメージ画像

画面のないフィットネスバンド「WHOOP(フープ)」の創業者でCEOのウィル・アーメド氏が、米国のポッドキャスト番組「All-In」に出演しました。2026年10月29日(米国時間)に公開された回で、アーメド氏は、会員が1日平均23.6時間WHOOPを着けていて、たまったデータは500億時間を超えると話しています。会員数は2026年末に約400万人になる見込みです。

※アイキャッチは心拍の波形のイメージ画像(Unsplash)で、WHOOPの製品画像ではありません。

番組では、心拍変動や睡眠中の心拍の急な変化をきっかけに病院で検査を受け、がんが見つかった会員の例が紹介されました。ただし、これはアーメド氏が会員から受け取った体験談で、WHOOPにがんを見つける機能があるわけではありません。この記事では、番組でのアーメド氏の発言と、米国食品医薬品局(FDA)と対立した血圧機能のその後、同じ日に発表されたレブロン・ジェームズ選手のアンバサダー就任をまとめます。

会員は年末に約400万人の見込み 1日平均23.6時間の装着で500億時間超のデータ

WHOOPは2012年に米ボストンで創業した会社で、画面のないバンドで心拍や睡眠を24時間記録し、アプリで回復度や睡眠の状態を示します。本体の代金ではなく、月額15〜30ドルの会員費で使う仕組みです。

アーメド氏によると、会員が100万人に届くまでに約12年かかりましたが、そこから200万人までは約18か月、300万人までは約6か月でした。2026年末には約400万人になる見込みです。会員は平均で1日23.6時間WHOOPを着けていて、たまった連続データは「500億時間を少し超える」と話しています。アーメド氏は、世界でも有数の大きさの健康データだとしています。

1日中着けたままにできるよう、バッテリーは約14日もち、着けたまま充電できる充電器を用意しています。アーメド氏は、24時間のデータを取ることを創業時からの原則に挙げています。

心拍変動が100から50に急落した会員に精巣がん 睡眠中の心拍上昇からリンパ腫が見つかった例も

番組の中で、アーメド氏は会員から届いた2つの例を紹介しました。1つ目は、ふだんの安静時心拍数が1分間に50ほどの健康な野球選手で、眠っている間の心拍数が120〜130まで上がる日が続いたことから受診し、ステージ4のホジキンリンパ腫と分かったという例です。治療を受けて回復したといいます。

2つ目は、10年近くWHOOPを着けていた会員で、心拍変動(HRV)がずっと100前後で安定していたのに、ある時期から50に急に下がりました。検査を受けたところ、精巣がんが見つかったそうです。司会のジェイソン・カラカニス氏が「心拍変動が精巣がんの前兆になると、以前から知られていたのか」と尋ねると、アーメド氏は「そうは思わない」と答え、これほどの量のデータを体から連続で取れるようになったのは初めてだと話しています。

心拍変動は、心臓の拍動と拍動の間隔のゆらぎのことで、ゆらぎが大きいほど体がよく回復している目安とされます。アーメド氏は、心拍変動は年齢とともに下がり、20代で80〜100、30代で70、40代で50ほど、50〜60代では30以下になることが多いと説明しました。年をとっても心拍変動を下げずに保てれば、体力と健康寿命のよい目安になるといいます。

アーメド氏はさらに、会員がアップロードした血液検査の結果や、WHOOPの血液検査サービス「Advanced Labs」のデータを、腕で測ったデータと組み合わせることで、「バイオマーカーを直接測らなくても、その値が正常範囲から外れていることを、生理学的な信号から予測できるかもしれない兆しが見え始めている」と話しました。例として、コルチゾールが高いと推定できれば、その1つの検査だけを受けるよう勧められるとしています。

ここで紹介された2つの例は、どちらも個人の体験談で、臨床研究の結果として示されたものではありません。WHOOPは心拍や睡眠の変化を知らせる製品で、病気を診断するものではない点は押さえておきたいところです。

血圧機能でFDAが警告書 2026年1月の指針改訂後も機能の提供は続く

番組では、FDAとの対立についても話が出ました。WHOOPは約4年前から、カフを使わずに手首で血圧を推定する研究を始め、会員に呼びかけた「ストレス・睡眠・血圧」の研究には約7万人が参加したといいます。そのデータをもとに、毎日の血圧の推定値を示す「Blood Pressure Insights」を、健康管理(ウェルネス)向けの機能として出しました。

これに対し、FDAは2025年7月14日付でWHOOPに警告書を出しました。血圧の推定は高血圧や低血圧の診断と結びつくため医療機器に当たり、承認を受けずに販売している、という内容です。アーメド氏は番組で「規制が必要だとFDAは考え、警告書を送ってきた。おおやけに意見が対立したが、私たちは主張を曲げなかった」と振り返っています。

その後、FDAは2026年1月6日に、一般的なウェルネス製品についての指針を改訂しました。体に針などを刺さないウェアラブルで血圧などを推定する製品も、病気の診断や治療をうたわなければ、ウェルネス製品として扱われうるという内容です。アーメド氏は、この改訂には「私たちのケースと業界からの意見が反映されたと思う」と話し、Blood Pressure Insightsは今も会員が使えるとしています。

一方で、WHOOPは指を本体に当てて測る心電図(ECG)機能について、FDAの510(k)という認可を受けています。アーメド氏は、臨床試験を経て医療機器として認可を取る機能と、早く出すためにウェルネス機能として出す機能を分けて進めていると説明しました。なお、ここでの規制の話は米国のもので、日本の医療機器の規制とは別です。

レブロン・ジェームズ選手がグローバルアンバサダーに 2015年から着ける最初期の会員

WHOOPは番組の公開と同じ10月29日に、NBAのレブロン・ジェームズ選手がグローバルアンバサダーに就任したと発表しました。ジェームズ選手は2015年からWHOOPを着けていて、最初の100人の会員の1人です。WHOOPへの出資者でもあります。

WHOOPによると、ジェームズ選手は2026年に入ってデータを1日も欠かさず記録していて、睡眠効率は会員全体の上位10%に入ります。発表の中でジェームズ選手は「25歳のときより、今のほうが自分の体をよく知っている。年齢のわりにすごい、ではなく、とにかくすごい選手でいたい」とコメントしています。

アーメド氏は番組で、ジェームズ選手はクリスティアーノ・ロナウド選手やパトリック・マホームズ選手、ルイス・ハミルトン選手、アリーナ・サバレンカ選手らと並ぶアンバサダーになると話しました。

腕に着けたまま24時間データを取り続ける使い方は、WHOOPだけでなく画面のないバンドやスマートリングにも広がっています。WHOOPや、ほかの画面のないウェアラブルの動きは、下の関連記事で紹介しています。

Source: All-In「WHOOP CEO, Will Ahmed: 50B Hours of Health Data, a 4 Million Member Data Moat, & the FDA Fight」、WHOOP プレスリリース(Business Wire)、FDA Warning Letter(2025年7月14日)、FDA General Wellness: Policy for Low Risk Devices(2026年1月改訂)

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