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スマートウォッチにある「医療機器ではない」の注意書き、その背景を解説

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2025.05.30

スマートウォッチの健康機能が注目される中での「ただし書き」

Apple WatchやGarmin、Fitbitなど、現代のスマートウォッチは心拍数や血中酸素濃度、睡眠の質まで測定できるようになっています。

しかし、製品の多くに「この機器は医療機器ではありません」や「診断や治療の目的には使用できません」といった記載があります。

これは単なる注意書きではなく、製品の機能と法律上の立ち位置を明確にするための重要な記載です。

背景1:医療機器は法律により厳格に定義されている

・日本では「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」が医療機器の分類や販売を規制しています
・アメリカではFDA(米国食品医薬品局)が医療機器の承認を行っています
・「医療機器」として認可されるには、精度、安全性、臨床的有用性を証明する必要があり、開発・販売には時間とコストがかかります

そのため、多くのスマートウォッチは「健康管理の参考」としての機能提供にとどめ、法的には「医療機器」ではないと明記する必要があるのです。

背景2:過度な信頼による誤用を防ぐため

・ユーザーが健康データを過信し、必要な医療処置を遅らせるリスクがある
・たとえば、心拍数の異常が出ても「スマートウォッチが正常と言っているから大丈夫」と判断する可能性がある
・実際にはデータのばらつきや測定誤差もあるため、「診断」や「治療判断」に用いるには限界がある

そのため、メーカー側は誤解を防ぐ目的で、「医療機器ではない」と記載し、注意喚起しています。

背景3:一部の機能は認可を受けていることも

Apple Watchのように、一部のモデルや機能(心電図、心房細動の通知など)は特定国で医療機器として認可されています。

日本でもApple Watchの心電図機能は薬機法に基づく承認を受けています。

ただし、その機能に限っての話であり、スマートウォッチ全体の機能や製品自体が「医療機器」となるわけではありません。

認可を受けている代表例

・Apple Watchの心電図アプリ:日本(厚生労働省)や米国(FDA)で承認済
・Samsung Galaxy Watchの血圧測定:一部の国で一部モデルが医療機器として認定

認可された機能でも「診断の代用」とは考えないことが大切

Apple Watchの心電図機能やSamsungの血圧測定機能のように、特定の機能が医療機器として認可を受けている場合でも、それだけで医師の診断や治療の代用になるわけではありません。

・心電図アプリは不整脈(AFib)を検知するきっかけにはなりますが、診断はあくまで医師が行うべきものです
・血圧や心拍数の変動がある場合も、スマートウォッチの通知を参考に医療機関での検査を受けることが前提です
・スマートウォッチで得られるデータは、症状がない場合でも異常のサインに気づける「早期発見の補助ツール」として活用するのが適切です

スマートウォッチは受診の“きっかけ”として活用を

スマートウォッチの通知や異常検出は、ユーザーにとって貴重な気づきの機会になります。しかしそれは「診断結果」ではなく、「医療の入り口」として使うのが本来の役割です。

たとえば、「不整脈の可能性があると表示された」「いつもより心拍数が高い」といった変化を感じたら、放置せずにかかりつけ医や専門医を受診しましょう。

注意! 医療機器のように誤解させる製品にも要注意

近年、ネット通販や一部の海外製品を中心に、「医療機器であるかのような表現」で販売されているスマートウォッチが増えています。

これらには、以下のような問題があります。

・心電図や血圧、さらには血糖値まで測定できるとうたっているが、医療機器認証を取得していない
・医療機器に求められる精度検証や安全性の証明がなされていない
・データの信頼性が不明で、健康や命に関わる判断に使うのは危険

特に、血糖値の測定をうたう製品の多くは、実際には正確な測定ができないにもかかわらず、誤解を招くような表現で販売されています。

こうした製品に注意すべき理由

・正確性のない数値で自己判断すると、医療機関を受診すべきタイミングを逃す
・薬や生活習慣の管理に誤った影響を与える可能性がある
・悪質な業者が健康不安につけ込み、根拠のない商品を販売しているケースも

ユーザー自身が「医療機器として認可されているか」を確認することが、健康を守るうえで非常に重要です。厚生労働省の医療機器データベースや、製品の公式サイトで「薬機法に基づく認証番号」などを確認しましょう。

まとめ:スマートウォッチの健康機能はあくまで「参考指標」

スマートウォッチの健康機能は、日々の健康管理や早期の体調変化の気づきに役立ちますが、医療診断を代替するものではありません。「医療機器ではありません」という記載は、製品の正しい使い方をユーザーに促すためのものです。

今後、スマートウォッチの医療活用は進展する可能性がありますが、現時点では「健康の見守りツール」として活用するのが正しい姿勢と言えるでしょう。

スマートウォッチの健康機能を正しく理解し、日々の健康管理に役立てましょう。

スマートウォッチの健康機能の基礎知識や最新情報はこちら | Smart Watch Life


●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!

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