結論から言うと、日常でできることの9割はSE 3でも十分です。通知・Suica・Siri・ワークアウト・睡眠計測……主要機能はほぼ同じ。しかもSE 3は待望の常時表示に対応しました。ただ、数週間にわたってSeries 11とSE 3を交互に腕に着けて生活してみると、最初は気づきにくい“細部”が、毎日の満足度にじわじわ効いてくる――そんな印象を受けました。
本記事では、「SE 3が最強コスパ」という前提を共有しながら、それでもSeries 11を選ぶ価値が生まれる場面を、実機レビューの手触りと数値を併記して深掘りします。最後に「11を買うべき人/SE 3で十分な人」を明確化したまとめも用意しました。
「できること」はほぼ一緒。なのに使い心地に差が出る理由

まず押さえたいのは、基本機能の体験は両者ほぼ同等ということ。
こちらがSeries 11の搭載機能をまとめた表で、緑色の部分が搭載機能。
一般的なスマートウォッチの機能をフル搭載しているのですが、SEはこの表だと血中酸素濃度の計測ができないだけで、ほかは完全に一緒です。
iPhoneからの通知をチラ見したり、改札でSuicaをタッチしたり、Siriでメモやタイマーを呼び出したり――毎日の小さな動作はSE 3もSeries 11も変わりません。SE 3が常時表示ディスプレイに対応したことで「見た目の便利さ」もぐっと近づきました。
それでも数日単位で使い比べると、「疲れにくさ」「画面の“見やすさ”」「安心感」といった感覚面で差が積み上がります。実際に体験して強く感じたのが、次の3点です。
① バッテリーの「6時間差」は、1日の終盤で効く

カタログ値ではSeries 11が最大24時間、SE 3は最大18時間。
数字だけ見ると些細に思えますが、夜のふるまいが変わります。SE 3は1日しっかり使うと、帰宅〜就寝前にバッテリー残量が心もとない場面が時々ありました(実際にゼロにはならないが「そろそろ充電したいな」という気持ちになる)。
一方でSeries 11は、同じ使い方でも就寝前に30〜40%残っていることが珍しくない。その“余力”が気持ちの余裕に直結します。
上の写真は前夜の10時過ぎに充電後の翌日午後4時頃なのですが、なんと73%も残っているのでびっくりです。
また、充電スピードでも体感差があります。Series 11は約30分で0→80%まで回復。
SE 3は約45分で80%。朝の支度やシャワー中にサッと充電して外に出る――このリズムを取りやすいのは11です。「睡眠計測→朝の短時間充電→出勤」というルーティンがかなり安定しました。
② 画面の“広さ”と“明るさ”が、毎回の視認性を底上げ
| モデル | ケースサイズ | 表示領域(代表値) | 最大輝度 | 最小輝度 |
|---|---|---|---|---|
| Apple Watch Series 11 | 42mm / 46mm | 42mm:989mm² / 46mm:1,220mm²(416×496ピクセル) | 2,000ニト | 1ニト |
| Apple Watch SE 3 | 40mm / 44mm | 40mm:759mm² / 44mm:977mm²(368×448ピクセル) | 1,000ニト | 2ニト |
Series 11はベゼルが細く、純粋に表示領域が広い。
通知の長文や地図の細部、ワークアウト中の数字が一目で入るので、操作回数が減ります。とくに屋外では最大2,000ニトの明るさが頼もしく、直射日光下でもコントラストが崩れにくいです。
SE 3(1,000ニト)でも読める場面は多いのですが、まぶしい環境ほど差が出ると感じました。逆に暗所では、11の最小1ニトが効いて就寝中のまぶしさがさらに抑えられます(SE 3は最小2ニト)。

左が40mmのSE 3で右が46mmのSeries 11。サイズがそもそも違うのを差し引いても表示領域の広さが11は際立つ
横に並べるとSE 3は黒縁が太めで、盤面の“額縁感”がやや強い。装着しているときの所有感や“今っぽさ”という意味でも、11のほうが一段洗練されて見えます。
③ 所有満足度:素材・カラーとヘルス機能の「安心感」

Series11のスペースグレイは高級感のある色
デザイン面は写真以上に“実物の説得力”があります。
Series 11はアルミに加えてチタンケースが選べ、アルミでもスペースグレイやローズゴールドなどの色味がちょうどいい華やかさ。
腕に着けたときの反射や陰影の出方が上質で、SE 3の2色展開(ミッドナイト/スターライト)より「選ぶ楽しさ」があるのも事実です。
機能面での安心材料は、Series 11の「心電図アプリ」「血中酸素ウェルネス」対応。
普段は気にしない項目でも、いざという時に“取れる計測がある”のは心理的に大きいです。

実際にApple Watchで命が救われ方が、この心電図機能を愛用している逸話はApple公式のCMにもなりました。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
Apple Watchが命を救う――重大な心疾患から再起したエンジニアの物語【実話が公式CMに】
主要スペック比較(Series 11 vs SE 3)
| 項目 | Series 11 | SE 3 |
|---|---|---|
| チップ | S10 | S10 |
| ディスプレイ | 常時表示Retina(LTPO OLED)/ 最大2,000ニト / 最小1ニト | 常時表示Retina(LTPO OLED)/ 最大1,000ニト / 最小2ニト |
| ケースサイズ | 46mm / 42mm | 44mm / 40mm |
| 表示領域(代表値) | 46mm:1,220mm²(416×496)/ 42mm:989mm²(374×446) | 44mm:977mm²(368×448)/ 40mm:759mm²(324×394) |
| 素材 | アルミ / チタン | アルミのみ |
| バッテリー | 最大24時間(低電力モード最大38時間) | 最大18時間(低電力モード最大32時間) |
| 充電速度 | 約30分で80% | 約45分で80% |
| 健康機能 | 心電図アプリ / 血中酸素ウェルネス / 皮膚温 / 睡眠時無呼吸通知 | 皮膚温 / 睡眠時無呼吸通知 |
| 耐水 | 50m耐水 | 50m耐水 |
表だけ見ると数行の違いに見えますが、「画面(広さ×明るさ)」と「電池(持ち×回復)」の2軸が積み重なると、日々の行動が微妙に変わります。
通知や地図の一瞥が速くなる、寝る直前に充電ケーブルを探す時間が消える――その小さな差が一週間、ひと月で確かな快適さに変わる。
さらに、“取れる計測が増える”という安心感もSeries 11の価値。SE 3は“必要十分”、Series 11は“余裕まで備える”という関係だと実感しました。
実機で感じたSeries 11の弱点も正直に

サイズが大きいぶん、46mmは袖口で引っかかる場面が少し増えるのは否めません。
トレーナーやジャケットのリブがきつめだと「もたつき」を感じることがありました。
42mmはその点でバランスが良く、私自身は日常使いなら42mm推し。
もう一つは価格で、SE 3との開きは小さくありません。コスパ一点張りで選ぶならSE 3が王道です。
ただ、毎日身につける道具と考えると、Series 11の“体験の余白”に支払う価値は確かにある――これが数週間使っての率直な感想です。
表示領域の具体値:見た目は似ていても「入る情報量」が違う
公式数値をもう一度。Series 11(46mm)は1,220mm² / 416×496ピクセル、SE 3(44mm)は977mm² / 368×448ピクセル。数字の差以上に、縁の細さが効いて、Series 11は盤面いっぱいまで情報が広がります。
カレンダーの細かい予定やナビの矢印、ワークアウトの心拍・ペースを“見るだけで理解できる”瞬間が増えるのは、確かな生産性の向上です。
最終結論|「11を買うべき人」「SE 3で十分な人」

Series 11を買うべき人:出張や外出が多く電池の余裕が欲しい人、炎天下でも視認性の高い明るい画面を求める人、そして心電図や血中酸素まで“取れる”安心感を大事にしたい人。デザインや素材、カラーの選択肢に所有満足を求める人にもおすすめです。サイズは迷ったら42mmが使いやすいバランス。
SE 3で十分な人:Apple Watchの主要体験を最短距離で手に入れたい人。通知・決済・ワークアウト・睡眠――この4点が目的なら、SE 3は軽くて価格も手頃、そして常時表示で“もう十分に便利”。40mmのコンパクトさは装着感がとても良く、「ガジェット然とした見た目」を避けたい人にも向いています。
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