Metaが展開し、世界的にヒットしているスマートグラス「Ray-Ban Meta」。この人気デバイスに、カメラで捉えた人物を特定できる「顔認識機能」が追加される計画があることが、内部文書の流出などにより明らかになりました。
「Name Tag(ネームタグ)」と呼ばれるこの機能は、AIアシスタントを通じて周囲の人物の名前や情報を取得できるというもの。非常に便利なツールになる可能性を秘める一方で、プライバシーの観点から「ディストピアのような監視社会につながる」との懸念が急速に広がっています。
Image source: Smart Watch Life (AI generated)
スマートグラスが「相手の名前」を教えてくれる未来
報道によると、Metaは早ければ2026年内にもスマートグラスへの顔認識機能の導入を検討しています。内部的に「Name Tag」と呼ばれているこの機能は、グラスのカメラが捉えた人物をMetaのAIが解析し、その人物の名前や関連情報を装着者に伝えるという仕組みです。
Metaはこの機能の導入にあたり、まずは視覚障害者の支援を目的としたリリースを検討していたようです。例えば、知人とすれ違った際に名前を教えてくれたり、同僚を見かけたときに以前の会話内容を思い出させてくれたりと、日常生活をサポートする強力なツールになることが期待されています。実際に一部のユーザーからは、「顔と名前を一致させるのが苦手な自分にとっては夢の技術だ」という歓迎の声も上がっています。
「知らない人に特定される」プライバシーへの懸念
しかし、この計画が報じられると、SNSやネット掲示板のRedditなどでは批判的な意見が噴出しました。最も大きな懸念は、「知らない人に自分の正体やSNSアカウントを瞬時に特定されてしまう」という点です。
Metaは現在、認識対象を「Metaのプラットフォーム上でつながっている人」や「Instagramなどで公開アカウントを持っている人」に限定する方向で調整しているとされています。しかし、それでも実質的には膨大な数のユーザーが対象となり、本人の同意なしにプライバシーが暴かれるリスクは拭えません。
実際に2024年には、ハーバード大学の学生がRay-Ban Metaと既存の顔認識ツールを組み合わせ、地下鉄に乗っている見ず知らずの他人の名前や住所を数秒で特定してみせるデモンストレーションを行い、その危険性が世界中で拡散されました。今回のMetaの公式な動きは、こうした「監視の民主化」を加速させるのではないかと危惧されています。
Metaの巧妙なリリース戦略も明らかに
今回流出した内部文書には、リリース時期に関するMetaの冷徹な戦略も記されていました。文書によると、米国などの政治的な混乱が続く時期に合わせて機能をリリースすることで、プライバシー保護団体などの批判の矛先をかわそうとする意図があったとされています。
かつてFacebook上で提供されていた写真の自動タグ付け機能(顔認識)が、プライバシーへの懸念から廃止された経緯があるだけに、Metaが再びこの技術を、今度は「カメラ付きメガネ」というより没入感のあるデバイスで復活させようとしていることに、多くの人々が警戒を強めています。
利便性とプライバシーの境界線
AIメガネが人々の生活を豊かにするのは間違いありませんが、常に「誰かに見られている」「特定されている」という感覚は、私たちの社会生活を大きく変えてしまうかもしれません。
海外のユーザーの間では、こうした監視に対抗するために「顔認識を混乱させるメイク」や「特殊な加工を施した衣服」などの対策を議論する動きまで出ています。Metaが今後、どのように社会的な同意を得ながらこの機能を展開していくのか、その動向に注目が集まっています。
Source:The New York Times
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