「AI」という言葉の乱用に注意!
ここ数年、多くの家電やガジェットが「AI搭載」をうたって販売されています。スマートフォン、スピーカー、監視カメラ、さらには歯ブラシや体重計までもが「AI対応」とアピールする時代です。
しかし実際に使ってみると、「これ、本当にAI?」と首をかしげたくなるようなガジェットが少なくありません。その理由の一つが、そもそも「AI」の定義があいまいであることです。
AIの定義は不明瞭。だから“名乗り放題”
AI(人工知能)という言葉は本来、機械が人間のように「学習」「推論」「判断」する技術を指します。ですが、現状では以下のような機能までもが「AI」として宣伝されてしまっています。
ありがちな「なんちゃってAI」の例
・過去の設定値を記憶して自動調整するだけの機能
・あらかじめ用意されたルール通りに動くだけのプログラム
・単なるセンサーとの連動機能(例:明るさセンサーでディスプレイを自動調整)
・音声コマンドを受けるだけで、学習や改善をしない音声認識機能
これらは「自動化」ではあっても、「AI」とは言い難いレベルのものが多いのが実情です。
なぜそんなガジェットが売られてしまうのか?
理由1:AIという言葉のバズワード化
AIはマーケティング用語として強力な力を持っています。「AI搭載」と書かれているだけで先進的に見え、消費者の購買意欲を刺激するため、多くの企業が積極的にこの言葉を使います。
理由2:「AI搭載」の明確な基準が存在しない
医療機器や食品などと異なり、「AI搭載」と表記するための明確な業界基準や規制は現状ほとんど存在しません。よって、開発側が「AI的」と判断すれば、実際にはシンプルなアルゴリズムでも「AI搭載」と名乗れてしまうのです。
ユーザーとしての見極め方は?
本当に賢いAI機能かどうかを見極めるには、以下のポイントをチェックしましょう。
・「学習機能」や「ユーザーごとの最適化」が明確に記載されているか
・アップデートによって機能が改善される仕組みがあるか
・クラウドと連携してデータを活用しているか
・製品レビューや動画で実際の動作を確認してみる
本当に賢いAI製品も存在する
もちろん、すべてのAIガジェットがハズレというわけではありません。AI技術の進化によって、本物のAIが活躍している製品も確実に増えています。以下はその代表例です。
Google Pixelの音声認識AI
Google Pixelシリーズの音声入力や通話機能では、独自の音声AIエンジンがリアルタイムでノイズ除去・文字起こし・翻訳を行います。これも利用者の発話傾向や背景音のパターンをAIが学習して最適化する仕組みです。従来の単純な音声認識とは異なり、使うほど精度が上がるAIの特徴が活きています。
Dysonの掃除ロボットAI
Dysonのロボット掃除機「Dyson 360 Vis Nav」では、内蔵カメラとセンサーが部屋の形状や汚れの分布を学習し、最適な清掃ルートや吸引強度をAIがリアルタイムで判断します。毎回の走行データを蓄積して進化していくAI制御が搭載されています。
ソニーのAIカメラ技術
ソニーのミラーレス一眼などに搭載される「リアルタイム瞳AF」や「リアルタイムトラッキング」も、AIによる被写体認識技術の成果です。人物の顔・瞳だけでなく、動物や昆虫まで識別し、リアルタイムでフォーカスを最適化します。これは膨大な画像データを学習させたAIモデルによって実現されています。
つまり、「AI搭載」だからすごい、というよりも「どのようなAIか?」に注目する姿勢が大切なのです。
まとめ:「AI搭載」という言葉に惑わされず中身を見よう
「AI搭載」という言葉には魔法のような響きがありますが、すべてが革新的なわけではありません。
本当に価値のあるAI体験を手に入れるためには、機能の中身をしっかり確認する目を持ちましょう。
今後も本サイトでは、AIガジェットの本音レビューや選び方のヒントをお届けしていきます。
●執筆者:スマートウォッチライフ編集部
日本初のスマートウォッチのウェブメディア。編集部には50本以上のスマートウォッチがあり、スマートウォッチ・Apple Watchの選び方や入門者向けの記事を多く配信しています。日本唯一のスマートウォッチ専門ムック本『SmartWatchLife特別編集 最新スマートウォッチ完全ガイド』(コスミック出版)を出版したほか、編集長はスマートウォッチ専門家としてテレビ朝日「グッド!モーニング」や雑誌『anan』(マガジンハウス)にも出演。You Tube「スマートウォッチライフ」(チャンネル登録者7000人程度)でも各種レビューを行っています!
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