「Apple Watch=運動ログを取るもの」だと思っていませんか?
確かに普段はランニングや睡眠の記録に役立ちますが、実はApple Watchの真価が発揮されるのは、体調を崩して寝込んでいるときかもしれません。
先日、38度を超える発熱で数日間ダウンした際、Apple Watchをつけたまま過ごしてみました。そこで分かったのは、このデバイスが単なる活動量計ではなく、回復の進み具合を客観的に確認するためのモニターとして非常に役立つということでした。
今回は、風邪のひき始めから回復期にかけて、Apple Watchのどのデータが実際に助けになったのかを、実体験をもとに紹介します。
なお、データの分析はAIに質問をすると理解度が非常に増すので、その方法は別途下記の記事で解説しています。
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1. 「バイタル」アプリが“体の負荷の変化”を教えてくれる

watchOS 11から搭載された「バイタル」アプリは、今回の療養生活で特に頼りになった機能です。
バイタルアプリでは、睡眠中に以下のような健康指標が自動で記録され、自分自身の通常の状態(通常範囲)と比べて変化があるかどうかが分かるようになっています。
・心拍数
・呼吸数
・手首皮膚温
・血中酸素ウェルネス(対応モデルのみ)
・睡眠時間
重要なのは、これらが医学的な診断を示すものではなく、「普段の自分と比べて違いが出ているか」を教えてくれる指標だという点です。
「通常範囲からのズレ」が教えてくれた現実

発熱から2日目、熱が下がって「もう治ったかもしれない」と感じた日の朝。Apple Watchを見ると、複数の指標が「通常範囲から外れている」という表示が出ていました。
・心拍数が普段より高い
・呼吸数が普段より多い
・手首皮膚温が普段より高い
・睡眠時間が短い
体温計の数値だけを見ると落ち着いていても、Apple Watchのデータからは、体にかかっている負荷がまだ高い可能性が読み取れました。
これによって、「体感は楽でも、今日はまだ無理をしない方がよさそうだ」と冷静に判断できたのは、大きな助けでした。
2. 安静時心拍数は「回復途中かどうか」の目安になる

風邪のとき、個人的に特に参考になったのが安静時心拍数です。
私の場合、普段の安静時心拍数は60前後ですが、発熱中は横になっていても明らかに高い状態が続いていました。これは、発熱や脱水、体の防御反応など、複数の要因によって体に負荷がかかっている可能性を示唆します。
「動いていいか」を考えるための一材料
回復期に「少し外に出ても大丈夫そうか」と考えたときも、まずApple Watchの数値を確認しました。
ただし、ここで見る数値は医学的な基準ではありません。あくまで、自分の普段の状態と比べてどうかを見るためのものです。
心拍数がまだ普段より高い状態なら、「体は完全には落ち着いていないかもしれない」。逆に、普段に近い数値に戻ってきていれば、「回復が進んでいる可能性がある」。
このように、体感だけに頼らず判断するための補助線として使える点が非常に役立ちました。
3. 呼吸数は「無理をしない判断」のヒントになる

呼吸数も、見逃しがちながら参考になる指標です。
今回の風邪では、熱が下がった後もしばらく咳や痰が残りました。Apple Watchのデータを見ると、睡眠中の呼吸数が普段より多い状態が続いていました。
呼吸数の増加は、発熱や体の緊張、体位などさまざまな要因でも起こりますが、体に余計な負荷をかけない方がよいサインの一つとして受け取ることができます。
そのため、「自転車移動は可能そうだが、マスクをしてペースを落とし、口呼吸にならない範囲にしよう」といった無理を避けるための行動調整につなげることができました。
4. 「異常値の数」が減っていくことで、回復の流れが見える
Apple Watchのバイタルアプリで個人的にとても心強かったのが、「異常値(通常範囲からのズレ)の数が、日を追うごとに減っていく様子」を確認できた点です。
バイタルアプリは、その日の状態を単発で評価するだけでなく、週間・月間といった時間軸で振り返ることができます。これにより、「今日はどうか」だけでなく、「確実に回復に向かっているかどうか」を俯瞰して見ることができました。

こちらは、体調を崩していた週の週間表示です。特定の日に、複数の指標が通常指標から大きく外れている様子が分かります。
重要なのは、これが「危険度」や「病名」を示しているわけではないという点です。あくまで、自分の普段の状態と比べて、体にかかる負荷が一時的に大きくなっていた可能性を示しています。
この週は、体感としても「少し動くとすぐに疲れる」「無理をすると一気に消耗する」感覚があり、データと体感が一致していました。

一方、こちらは月間表示です。体調を崩した直後は大きなズレが出ているものの、日を追うごとに通常範囲に収まる日が増えていく様子が確認できます。
この変化を見ることで、「まだ完全ではないけれど、体は確実に元の状態に戻りつつある」ということが分かりました。
数値が一気に正常に戻るわけではなく、揺れながら少しずつ落ち着いていく。その過程が視覚的に分かることで、
・今日は無理をしないほうがよさそうか
・昨日よりは少し楽になってきているか
といった判断を、体感だけに頼らず行えるようになります。
Apple Watchのバイタルアプリは、「今が危険かどうか」を断定するためのものではなく、「回復の方向に進んでいるか」を確認するためのツールとして使うと、非常に相性が良いと感じました。
注意点:Apple Watchは医療機器ではない

ここで重要な点を改めて強調しておきます。
Apple Watchのバイタルデータは医療機器による測定ではありません。診断や治療の代わりになるものではなく、数値だけで体調を判断することは避けるべきです。
強いだるさ、息苦しさ、胸の痛み、意識の変化などがある場合は、Apple Watchの表示に関わらず、迷わず医療機関に相談してください。
逆に、数値が気になる場合でも、自己判断せず、症状や医師の指示を最優先することが大切です。
まとめ:Apple Watchは「判断を助ける補助ツール」
Apple Watchは、健康なときは運動や睡眠の記録に、体調を崩したときは回復の様子を見守るために使えるデバイスです。
数値そのものが答えを出してくれるわけではありませんが、自分では気づきにくい変化を、客観的な数字として示してくれる存在であることは間違いありません。
体調を崩してしまったときこそ、Apple Watchを「頑張るため」ではなく、「無理をしないため」に使う。その視点を持つだけで、回復までの遠回りを減らせると感じました。
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