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SNSで見かける「AI要約で稼いだ話」は危ない! AI時代も変わらない著作権リスクの話

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公開日:

 

最近、Xを眺めているときに、次のような投稿を見かけて、「それってかなり著作権侵害に近いのでは?」と感じることがありました。

・NotebookLMで不動産投資系の書籍(1000円)に書かれたノウハウを要約し、有料ノートとして販売したら1万円の利益が出た

この投稿には多くのリプライや引用ポストが付いていましたが、著作権の問題を心配する声はごくわずかで、それ以外は「素晴らしいですね」「賢いやり方だ」といった肯定的な反応が目立ちました。
正直に言って、読んでいて少し不安を覚えました。

また最近では、NotebookLMにKindleの書籍データをそのまま投入して要約する手法を、ブログやSNSで積極的に紹介している人もいます。
しかしこの方法についても、Kindleの利用規約違反にあたる可能性が指摘されています。

どちらも、生成AIの進化を象徴するような話題であり、「そんな使い方があるのか」「自分もできそうだ」と感じた人は少なくないはずです。
一方で、こうした投稿をきっかけに、著作権や利用規約の観点から見て本当に大丈夫なのかと疑問を持つ人が増えているのも事実でしょう。

本記事では、これらのSNS投稿で語られている行為を出発点として、AIを使った書籍要約のどこにリスクがあり、どこからが危険水域になるのかを、一般読者向けに実務的に整理します。

大前提:AIを使っても著作権の扱いは変わらない

まず押さえておきたいのは、「AIがやったからOK」という考え方は通用しないという点です。
著作権の判断軸は、

・人がやったか、AIがやったか
・最新技術かどうか

ではなく、著作物の表現がどのように利用されたかにあります。

AIが自動で要約したものであっても、

・元の本の内容を詳細に再現している
・それを読めば原著を読まなくて済む状態になっている

のであれば、通常の著作権侵害と同じ土俵で評価される可能性があります。

論点1:NotebookLMにKindle書籍を入れて要約する行為(自分用)

「自分用だから大丈夫」と思われがちな落とし穴

SNSでは「自分で買った本を、自分の理解のためにNotebookLMで要約しているだけ」という声もよく見かけます。
しかし、電子書籍の場合、この行為には紙の本にはない論点が存在します。

DRM(技術的保護手段)の問題

Kindleなどの電子書籍には、コピー防止のためのDRMが施されています。
このDRMを解除してテキスト化し、そのデータをNotebookLMなどのAIに投入する行為は、私的利用目的であっても問題になりやすいと考えられています。

刑事罰が直ちに科されるかどうかは別としても、民事上の責任やトラブルにつながる可能性は否定できません。

利用規約違反という現実的リスク

さらに重要なのが、著作権とは別に存在するAmazon Kindleの利用規約です。
Kindleの規約では、コンテンツの複製、データ抽出、改変などが制限されています。

そのため、

・DRMを解除する
・書籍データを抽出する
・それをAIに読み込ませる

という流れは、著作権以前に規約違反(契約違反)となる可能性があります。

この場合、

・アカウント停止
・購入済みコンテンツへのアクセス制限

といった、かなり現実的なリスクも想定されます。

比較的リスクが低いとされる使い方

一方で、次のような使い方は、相対的にリスクが低いと整理されることが多いです。

・本を画面や紙で自分で読んだうえで
・重要だと思ったポイントを自分の言葉で入力
・AIに整理や構造化を手伝ってもらう

この場合、AIはあくまで思考補助ツールであり、書籍そのものを複製・再配布しているとは評価されにくいためです。

論点2:要約を有料ノートとして販売する行為

SNS投稿で特に問題になりやすいのが、ここです。
「要約して売ったら1万円儲かった」という話は、リスクが一気に跳ね上がるゾーンに入ります。

翻案権侵害の可能性

著作権法では、要約やダイジェスト化といった行為は「翻案」に該当し得ます。
翻案権は、著作者だけが許諾できる権利です。

特に次のような要約は、問題視されやすくなります。

・章ごとに要点が整理されている
・論旨やノウハウが体系的に理解できる
・「このノートを読めば本を買わなくていい」状態になっている

こうした要約は、原著の価値を直接代替すると判断されやすく、翻案権侵害と評価される可能性が高まります。

公衆送信権の問題も加わる

有料ノート、ブログ、SNS、メルマガなど、不特定多数に向けて公開・販売する場合、公衆送信権の問題も重なります。
金額の大小は関係ありません。「1万円しか稼いでいないから大丈夫」という理屈は通りません。

「ファスト映画」と似た構造

映画を短く要約して問題になった「ファスト映画」は、

・原作を短くまとめ
・視聴者が本編を見なくて済み
・営利目的で拡散された

という構造でした。
書籍を要約して有料で販売する行為も、形式が文章になっただけで、構造は非常に近いと言えます。

実務的な安全ラインの整理

比較的安全と考えられる行為(相対的)

・自分で読んだ内容を、自分用にAIで整理する
・感想やレビュー、考察を書く(内容再現が目的ではない)
・引用ルールを守った最小限の引用を行う

リスクが高い行為

・KindleのDRMを解除してNotebookLMに全文投入する
・書籍のノウハウを要約して有料ノートとして販売する
・「本を読まなくていい」完成度の要約を公開する

まとめ:AIでできることと、やっていいことは別

NotebookLMのようなAIツールは非常に便利ですが、「できること」と「許されること」は別問題です。
特に、書籍要約をコンテンツとして販売する行為は、得られる利益に比べて背負うリスクが大きすぎるケースが少なくありません。

SNSで見かける成功談の裏には、語られていないリスクがあります。
「AIを使えばグレーが白になる」わけではないことを理解したうえで、慎重に判断することが重要です。

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追加するタグ候補:AI, AI活用術, 仕事効率化, 用語解説
メタディスクリプション:NotebookLMでKindle書籍を要約し販売すると問題になる?SNSで広がる「AI要約で稼いだ」事例を起点に、著作権・DRM・利用規約・翻案権のリスクを一般読者向けに実務的に整理します。
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