インナーダウンブランド「TAION」を展開する株式会社 D.O.Nは、世界初となる腹部ベルト型センシングウェアラブルデバイス「VITAL BELT(バイタルベルト)」を、CES 2026(米ラスベガス)で発表すると明らかにしました。
ミリ波センシング技術を活用し、皮膚に密着させることなく、衣服の上から呼吸・脈拍・体動といった生体データを取得できる点が大きな特徴です。
腹部でセンシングするという新しい発想

VITAL BELTは、これまで主流だった腕時計型やリング型とは異なり、腹部に装着するベルト型を採用。
ミリ波を近距離照射して体動を検知する独自方式により、皮膚への密着を必要とせず、日常生活の中で自然にバイタルデータを取得できます。
同社によると、ベルト位置でのバイタルセンシングやセンサー取り付け方法については、複数の特許(IP)を取得済みとしています。
医療負荷の増大と超高齢社会を見据えた開発背景
開発の背景には、超高齢社会の進行や医療負荷の増大、セルフケア意識の高まりがあります。
TAIONブランドで10年以上にわたりアパレル開発を行ってきた同社は、「日常的に身体を観るウェアラブル」の必要性に着目し、衣服とテクノロジーを融合させた新たなヘルスケアデバイスとしてVITAL BELTを構想したとしています。
着脱式設計とファッション性も重視
VITAL BELTは、バックル部(センシングデバイス)とベルト部が分離する構造を採用。
センサー部分のみを取り外して充電でき、ベルト自体は通常のベルトとして使用可能です。
また、ベルト部分はデザイン・素材・カラーを自由に着せ替えられる設計となっており、アクセサリー感覚でのカスタマイズも想定されています。ウェアラブルでありながら、ファッションアイテムとしての側面も強く意識された製品です。
他のウェアラブルと組み合わせた高度な健康解析も視野に
同社は、VITAL BELT単体での活用にとどまらず、スマートウォッチやスマートリングなど、腕や指のウェアラブルで取得したデータと組み合わせたクロス解析にも言及しています。
呼吸データを軸に、ストレス兆候や姿勢の乱れなど、身体の小さな変化を早期に捉えることを目指すとしています。
将来的には、腹部という装着位置を活かし、
・胎児や腸内環境の観測
・深部体温にアプローチする細胞活性技術
・脳腸相関を応用したコンディショニング
といった、医療・ウェルネス分野への応用も構想段階として示されています。
専用アプリで呼吸・睡眠データを可視化

専用アプリでは、初回利用時にユーザー認証とキャリブレーションを行い、個人に最適化されたデータ取得を実施。
呼吸・脈拍・睡眠データをもとにした健康管理に加え、将来的にはデータ蓄積を活用した行動提案やレコメンドも検討されているとのことです。
ヨガや瞑想などの呼吸系ウェルネス用途に加え、高齢者の階段昇降を検知して注意喚起を行うなど、安全サポート用途での活用も想定されています。
発売時期と価格
VITAL BELTの発売は2027年予定。
価格はデバイスとベルトのセットで、3万円〜5万円程度が想定されています。カラーはブラックとシルバーの2色展開です。
まとめ
スマートウォッチやスマートリングが成熟期に入りつつある中、腹部という新しい装着位置に着目したVITAL BELTは、ウェアラブル市場に新たな選択肢を提示する存在と言えそうです。
特に「非侵襲」「衣服の上から計測」というアプローチは、今後の高齢者ケアや長時間モニタリング用途で注目を集める可能性があります。
CES 2026での実機展示や今後の実証実験の進展に注目です。
CES 2026で注目されたウェアラブル関連技術
CES 2026では、スマートウォッチやスマートリングをはじめとしたウェアラブル分野でも、日本企業による先端技術の発表が相次いでいます。今回のVITAL BELTとあわせてチェックしておきたい関連記事はこちらです。
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