海外メディアのMPO Magazineによると、2026年4月にサンディエゴで開催された「Heart Rhythm 2026」で、子どもの不整脈をとらえる手段としてApple Watchが従来型のパッチ型心電モニターよりも多くのイベントを記録できたとする研究結果が発表されました。Apple Watchは、パッチ型モニターの2倍にあたる人数の患者で不整脈イベントを捕捉したといいます。
Source:MPO Magazine
小児の不整脈検出を比較した「PAWS」研究
不整脈は、心臓が速すぎたり遅すぎたり、あるいはリズムが乱れて打つ状態を指します。米国の成人だけでなく、子どもにとっても珍しくない症状ですが、ウェアラブル端末による不整脈検出に関する研究のほとんどは成人を対象としており、小児領域でのエビデンスはこれまで限られていました。
そうした背景のもとで実施されたのが、スタンフォード大学医学部の小児科教授Scott Ceresnak氏らが進めた「Pediatric Apple Watch Study(PAWS)」です。研究には、動悸(心臓のドキドキ)の精査のためにパッチ型心電モニターを装着した6〜18歳の小児・思春期の患者107人(平均年齢14歳、女性62%)が参加しました。
参加者にはApple Watch(Series 5以降)が貸与され、6か月間にわたり、不整脈症状を感じたタイミングで自分の意思で心電図(ECG)を記録します。記録されたデータは安全なデジタルプラットフォームへ自動送信され、電気生理学を専門とする医師が、波形の品質、Apple Watchが示した自動診断、そしてパッチ型モニターで記録された不整脈イベントとの一致状況を確認しました。
波形の79%が「読影に十分」と評価
研究チームによると、頻脈性不整脈(心拍が通常より速くなる発作)が起きている最中にApple Watchで記録されたECGのうち、79%が「良好」または「優れている」と評価され、専門医が信頼性をもって読影できる品質だったといいます。
また、Apple Watch側のアルゴリズムが心房細動(AF)を正しく検出した割合は73%、上室性頻拍(SVT)を「高心拍数」として正しくフラグ付けした割合は75%でした。最も注目されたのは、不整脈イベントを記録できた患者数で、Apple Watchはパッチ型モニターの2倍にのぼる患者で不整脈イベントを捕捉しています。
主な結果のまとめ
| 評価項目 | 結果 |
|---|---|
| 頻脈時のECG波形品質(良好・優れている) | 79% |
| 心房細動(AF)の正検出率 | 73% |
| 上室性頻拍(SVT)を高心拍数として正しくフラグ | 75% |
| 不整脈イベントを捕捉した患者数 | パッチ型モニターの2倍 |
子どもの心臓ケアに広がる可能性
Ceresnak氏は「ウェアラブル端末を用いた不整脈の特性評価に関する研究は、これまで成人に集中しており、小児医療には大きな空白があった。今回の研究はApple Watchのような端末が子どもでどのように機能するかを評価した初期の取り組みのひとつであり、得られた結果は、ウェアラブル技術が若い患者の心拍リズム異常の検査・捕捉、そして最終的には管理のあり方を変える可能性を示している」とコメントしています。
すでに多くの患者がApple Watchをはじめとするウェアラブル端末を所有しているため、診察室の外で記録されたECGデータを医師が確認できれば、心拍リズム監視へのアクセス自体が広がる可能性があります。一方で研究チームは、診断特異度の課題は依然残っており、消費者向け端末のデータはあくまで臨床的な文脈の中で解釈すべきだと指摘しています。今後はより大規模な小児集団や、さまざまな臨床現場でのウェアラブルベースのモニタリング評価が求められるとしています。
まとめ
Heart Rhythm 2026で発表されたPAWSの結果は、Apple Watchが小児の不整脈評価でも従来のパッチ型モニターを上回るイベント捕捉数を示したという点で印象的な内容です。あくまで研究段階の知見であり、ECGの自己判断や治療方針の決定には医師による評価が不可欠ですが、子どもの動悸や不整脈のような「いつ起きるかわからない症状」を日常生活の中で記録できる手段として、Apple Watchの心電図機能が果たし得る役割の大きさをあらためて感じさせる発表といえそうです。
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