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スマートリングを着け始めて最初に思うのは、たぶん「思ったより目立たないな」でしょう。その次に来るのが「でも、よく見ると装置だな」です。手元に他のリングを重ねると、質感の違いがはっきり出ます。
この引っかかりに、ジュエリー業界が答えを出し始めています。香港のSCMP Styleが、Oura RingやWhoopを金とダイヤモンドで包み直すブランドの動きを取り上げました。24時間365日、体から外さないものだからこそ、装置ではなく装身具にしてしまおうという発想です。
Image source: SCMP Style
ウェルネス機器が「ジュエリーの対象」になった
スマートフォンや腕時計に宝飾を施す商売は昔からありました。そこに新しく加わったのが、健康を測るウェアラブルです。
いまや指輪、イヤリング、ブレスレットが、ストレスや血糖値、睡眠の質、心血管年齢までを追いかけます。SCMP Styleはこうした機器について、健康を分析する技術は優れていても、見た目の面では物足りなかったと指摘します。その「物足りなさ」が、そのままジュエラーにとっての市場になったわけです。メーカー側も同じ方向を見ており、Dreameはスマートリング参入時にハイジュエリーモデルを予告しています。
Billie Simone Jewelryの創業者兼デザイナーであるチェルシー・ドッジ氏の言葉が、この構図をよく表しています。
「長いあいだ、ウェルネステックは機能と美しさのどちらかを選べと迫ってきました。睡眠を計測するか、手元に愛せるものを着けるか。そのトレードオフは終わりました」
さらに同氏は、この変化を女性が牽引したと語ります。「多くのウェアラブルは、もともと男性的な美意識を前提に設計されていました。Ouraのようなデバイスが24時間365日わたしたちの指に着けられるようになったとき、自然と“これは自分のものだ”と感じられるようにしたくなったんです」
Oura Ringを包む「リングジャケット」という発想
ドッジ氏自身、早くからOura Ringを使っていました。きっかけは、ゴールドモデルの色味が手持ちの本物のゴールドジュエリーと合わなかったことだといいます。ダイヤのエタニティリング2本と重ね付けしてみたことから、特許出願中の「リングジャケット」が生まれました。
これは受注生産で、14金製。ラボグロウンダイヤモンドの有無や仕上げを選べます。おもしろいのはトレードインの仕組みを用意していることで、使っているデバイスを買い替えたときや、Ouraの新モデルが出たときに対応できるようにしてあります。
「ファインジュエリーは、長く残り、変化に対応し、時間を超えて意味を持ち続けるものです。使い捨てや流行り物ではなく、その永続性をウェアラブルのアクセサリーにも持ち込みたかった」と同氏。「わたしにとってラグジュアリーとは、ずっと一緒に生きていくもので、絶えず買い替えるものではありません」
この分野には他のブランドも入ってきています。イタリアのLil Milanはイニシャルを入れられるリングジャケットを、フロリダのHenri Noëlは竹をモチーフにした彫刻的なリングカバーを手がけます。ロサンゼルスのLogan Hollowellは、全面にダイヤを敷き詰めた受注生産の「Pavé Diamond Aura Sleeve 2.0」を出しました。クリップ式のチャームや、ソリテール・ペアシェイプのダイヤをあしらった装飾も出回っています。素材そのもので高級感を出す方向では、チタンを採用したRingConn Gen 3のような製品も出てきました。
Whoopのバンドは、18金とサファイアで
もうひとつジュエラーの目に留まったのがWhoopです。画面がなくバンド型という素っ気なさが、逆に装飾の余地を生んでいます。
アスリートとウェアラブルの結びつきは強まっており、Ouraはサッカーのハリー・ケイン選手らをアンバサダーに起用しています。
バスケットボールのレブロン・ジェームズ選手は、ロンドンのPoubelによる手描きのバスケットボールチャームで自分のWhoopをカスタムしました。ドバイのAilesはダイヤのイニシャルや、バンドに滑らせて装着するWaveチャームといったデザインを展開しています。
同じくドバイのCaleums Jewelleryでは、18金にダイヤとピンク・ブルー・オレンジのサファイアをあしらったWhoopのカバーケースが売れ筋だといいます。ビスポーク品はもはやウェアラブルアートに近く、パヴェのレッドサファイアとブラックダイヤで作られたミニチュアのフェラーリや、ホワイトゴールドのカップに緑の石を敷いた抹茶好き向けのデザインまであるとのこと。
オーナー兼デザイナーのオムラン・アラメリ氏の言葉が印象的です。「24時間365日、体の上にあるものなら、それはデバイスのように感じられるべきではありません。自分のアイデンティティの延長であるべきです」
「これはデバイスの周りに付けるアクセサリーだとは考えていません。ジュエリーが先で、テクノロジーが後です。ウェアラブルは完全に統合されている……目標はシンプルで、自分の見せ方を犠牲にせずに健康へ関心を持てるようにすることです」
日本のユーザーが気にしておきたいところ
読み物として面白い一方で、実際に手を出すなら押さえておきたい点もあります。
ひとつは、これらがいずれもデバイスメーカー純正ではないサードパーティ製品だということ。装着後の不具合や紛失について、デバイス側の保証がどこまで及ぶかは事前に確認しておきたいところです。
もうひとつはサイズです。スマートリングはサイジングがシビアで、装着の緩さが計測に影響することがあります。どの指に着けるかで測りやすさが変わる点もあわせて押さえておきたいところです。外側に何かを重ねる以上、着け心地が変わる可能性は頭に入れておくのが無難でしょう。メーカーが推奨する装着位置が案内されている場合は、それに従うのが確実です。
そのうえで、この動きが示していることははっきりしています。健康を測る機器が「ガジェット」から「毎日身に着けるもの」へ移り、服やアクセサリーと同じ土俵で見られ始めた、ということです。
まとめ
ウェアラブルの評価軸は、測れる項目の多さから、着けていたいと思えるかどうかへ広がりつつあります。今回のジュエリーの動きは、その一番わかりやすい表れです。
もっとも、18金とダイヤで包まれたOura Ringが日本の日常にすぐ馴染むかというと、そこは別の話でしょう。ただ「せっかく毎日着けるのだから、もう少し好きな見た目にしたい」という気持ちは、価格帯を問わず共通です。腕時計側では、ダイヤをあしらったHUAWEIの最高級モデルのように、メーカー自身が宝飾に踏み込む例もすでにあります。国内でもバンドやケースの選択肢が増えていくきっかけになりそうです。
Source: SCMP Style
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