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米国心臓協会(AHA)が2026年11月2日(米国時間)、上の血圧が180を超えて臓器にまで影響が出る「高血圧緊急症」を、起きる最大3日前に見分けられるかもしれないという研究を発表しました。
使ったのは、腕に巻くタイプの家庭用血圧計と、手首に着けるウェアラブル端末の2つです。2つのデータをAIで分析して警告を出す仕組みで、11月6〜9日にシカゴで開かれるAHAの学術集会で報告されます。
スマートウォッチ単体で血圧の急上昇を予測した研究ではなく、カフで測った血圧の値が土台になっています。学会発表の抄録の段階で、論文としての査読はまだ受けていません。手首で血圧を測るスマートウォッチを病院で使う例はこちらです。
恵寿総合病院がスマートウォッチを入院患者に「世界初」の本格運用|HUAWEI WATCH D2で血圧・心拍数・SpO2を電子カルテへ
パキスタンの病院で4,190人を1年間追跡
研究を行ったのは、米メリーランド大学キャピタルリージョン医療センターの内科レジデント、ワリード・ラザク・チョードリー医師らのグループです。対象は、パキスタン・シンド州の1つの病院に通う40〜85歳の成人4,190人(女性46%、男性54%)で、全員が「ステージ2」の高血圧でした。米国の基準で、上が140以上か下が90以上の状態です。
参加者は2025年1月から2026年1月まで、持ち運べるカフ式の血圧計で血圧を測り、手首には光のセンサーを持つ端末を着けて過ごしました。AIが分析したのは次の5つのデータです。
| 測ったもの | 使った機器 |
|---|---|
| 血圧 | カフ式の家庭用血圧計 |
| 心拍数 | 手首のウェアラブル端末 |
| 心拍変動(HRV) | 手首のウェアラブル端末 |
| 睡眠の状態 | 手首のウェアラブル端末 |
| 起床後の血圧の上がり方(モーニングサージ) | カフ式の家庭用血圧計 |
どのメーカーの機器を使ったかは公表されていません。
警告が出なかった人の97.4%は高血圧緊急症にならなかった
1年の間に、312人(全体の約7%)が合わせて418回の高血圧緊急症を起こしました。ここでいう高血圧緊急症は、血圧が180/120を超え、さらに臓器に急なダメージが出た状態を指します。
AIの警告の当たり方は、次のとおりです。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 予測できた時期 | 最大72時間(3日)前 |
| 警告が出た人のうち、実際に起きた割合 | 約32% |
| 警告が出なかった人のうち、起きなかった割合 | 97.4% |
| 警告を受けた医師が24時間以内に薬を調整した場合 | 発生は約61%少なく、救急外来の受診は約45%少なかった |
警告が出ても7割近くは何も起きていないので、警告の数としては空振りのほうが多い計算です。一方で、警告が出なかった人はほとんど起きていません。「大丈夫な人を見分ける」ほうに強い結果と読めます。
もう1つ大事なのは、警告を受け取ったのが本人ではなく医師だったことです。薬の調整まで医師が行ったうえでの「約6割減」なので、ウェアラブルの通知を見て自分で何かを変えた結果ではありません。
睡眠中に血圧が下がらない人はリスクが約5倍
AIの分析では、2つの血圧のパターンが高血圧緊急症と強く結びついていました。
1つ目は、眠っている間に血圧が下がらないことです。ふつうは睡眠中に血圧が下がりますが、下がらなかった人は高血圧緊急症を起こすオッズが5倍近くになっていました。
2つ目は、朝起きたあとの急な上昇です。起床後に上の血圧が35以上上がった人では、オッズが4倍近くになりました。
チョードリー医師は、血圧を続けて記録してパターンを見つけることで、危ない高血圧の前ぶれを早く見つける手助けになるかもしれない、とコメントしています。
日本で使える手首の血圧の機能は2種類
今回の研究のように「血圧のパターンを見て知らせる」機能は、日本でもすでにいくつか使えます。ただし仕組みは大きく2つに分かれます。
1つは、手首のベルトに小さなカフを内蔵して、実際に血圧の値を測るタイプです。HUAWEI WATCH D2は日本で血圧計として管理医療機器の認証を受けていて、石川県の恵寿総合病院では入院患者に着けてもらい、電子カルテに記録する運用も始まっています。
もう1つは、光のセンサーで血管の反応を見て、高血圧の可能性を知らせるタイプです。Apple Watchの「高血圧パターンの通知」がこれにあたり、血圧の数値は出ません。日本ではSeries 9以降などで2025年12月から使えますが、Series 12とUltra 4では日本での提供が2027年の予定になっています。

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Google HealthのHealth Guardianにも血圧の傾向を見る機能があり、日本では「血管ストレス」という名前になる見込みです。日本での提供時期は案内されていません。
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研究の段階で、通知の代わりにはならない
今回の結果は1つの病院の患者を対象にしたもので、ほかの国や、高血圧の治療を受けていない人に同じように当てはまるかは分かっていません。AHAも、学会発表の抄録は査読を受けた論文ではなく、結果は暫定的なものとしています。
研究では、手首の端末は心拍や睡眠を測る役割で、血圧そのものはカフ式の血圧計で測っていました。血圧が気になる人は、まず腕に巻く家庭用血圧計で朝と夜に測り、その記録を主治医に見せるのが確実です。スマートウォッチの通知は、測るきっかけとして使うのがよさそうです。
眠っている間と朝起きたときの血圧の動きが、危ない状態の手がかりになるという点は、毎日着けるスマートウォッチと相性のよい結果です。手首で血圧を測れる製品や、睡眠中の体の変化を知らせる機能については、次の記事でも紹介しています。
Source: American Heart Association、Digital Trends
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