検索
         
  1. スマートウォッチライフTOP
  2. NEWS
  3. watchOS 9に追加されたランニング指標の意味と活用法を徹底解説

watchOS 9に追加されたランニング指標の意味と活用法を徹底解説

NEWS

公開日: 最終更新日:

 

Apple Watch のオペレーティングシステムがwatchOS 9にアップグレードされたことによって、ランナーたちはパワー、ピッチ、歩幅、接地時間、上下動など、新しい指標を数多く手に入れました。

そのwatchOS 9は少し前のバージョンのApple Watchでも使えるものです (Series 4以降もしくはSE。ペアリングするiPhoneにも一部条件あり)。

これらの指標を活用することによって、ランナーたちはペースや距離だけではなく、自分がいかに効率よく走れているか(あるいはエネルギーを浪費しているか)を、ランニング中のApple Watchの画面でも知ることができます。

つまりApple Watchがランナーひとりひとりにランニングフォームを改善するためのフィードバックを与えてくれるのです。

watchOS9以前のApple Watchがランナーに提供してきたのはGPS機能に加えてペースや心拍数といった基本的なデータに限られていましたが、現在はかなり専門的なコーチング機能も備えていると言えるでしょう。

以下、watchOS9によってApple Watchに追加されたワークアウトの機能のうちランニングに関連するものを紹介します。

ランニング・エコノミーを様々な角度で解析する指標群

•パワー(Power):ワット数(w)で表されます。一歩前へ進むために生み出されるパワーのことです。速く走るとパワーは大きくなります。当然ですが疲れます。逆に言いますと、同じペースや心拍数で走るならば、パワーの数値が少なければ少ないほど、効率的なランニングフォームだということです。

•ピッチ(Cadence):1分ごとの歩数(SPM – Steps per Minute)のことです。長距離ランナーにとって最も効率が良い数値は180 SPMだと言われていますが、個人ごとの身長、体重、そしてランニング能力など様々な要素によって異なります。そこで、自分にとって最適のピッチ数をスタートからゴールまで維持できるように練習するわけです。

•歩幅(Stride Length):人は走るときに両足が地面から離れる瞬間があります。その間に前へ移動するので、その移動距離が長ければ長いほど速く走れるわけですが、上のピッチ数が少なくなってしまえばスピードは相殺されてしまいます。極端な話、ジャンプすれば歩幅は広がりますが、それでは走り続けることはできません。フォームが乱れると歩幅も変化します。いかにフォームを一定に保てるかが重要です。

•接地時間(Ground Contact Time):足が地面に着いている時間のことで、ミリ秒(ms)で表されます。一般的なランナーの数値は200ms~300msだと言われていますが、競技ランナーになるほど小さくなります。走るとは足を空中に引き上げてから地面に下ろすことを繰り返す動作です。その際に接地時間が短くなればなるほど、速く走ることができるということです。

•上下動(Vertical Oscillation):走るときに体が垂直に上下する距離のことで、センチメートル(cm)で表されます。一般的なランナーの数値は大体6㎝から13㎝の間だと言われています。走るとは水平方向に移動することなので、縦に動く動作はなるべく小さくしなくてはなりません。従って、この数値が小さければ小さいほど良いランニングフォームということになります。

仮に同じコースを毎日走っているとしましょう。今まではタイムと心拍数、そして消費カロリーくらいしか把握できませんでした。それらの数値はスピードとスタミナの成長度を測るために有用なデータですが、どちらかと言えば結果に類するものです。

新たに追加された指標群によってランニングフォームの効率性を測り、より良い結果を出すためにプロセスを改善する方法を探すことができるのです。

ゆっくりとしたジョグと中距離インターバル走で比較すると

ところで、同じランナーでも速く走るときとゆっくり走るときでは、こうした指標の数値は大きく異なります。

やや極端な例になりますが、私が行った2種類のランニングとそのデータをご参考までに紹介します。

ひとつは5キロ走のペーサーを務めたときのもの。時速10キロ、つまり30分ちょうどで5キロを走り終えるように、最初から最後までApple Watchの画面とにらめっこしながら一定のペースを守って走りました。

もうひとつは287メートルを1分以内で走り、2分間の休息を挟んで5ラウンド繰り返すという中距離インターバル走です。なぜそんな半端な距離かと言いますと、このインターバル走はNBAマイアミ・ヒートがキャンプ前に行っているテストだと紹介した記事を読んだからです。バスケットボールの長さは28.7メートル。それを10回行ったり来たりするだけの距離ということです。

iPhone上「フィットネス」アプリのスクリーンショット
左:5キロペース走、右:中距離インターバル走


*数値は平均値。カッコ内()は最小値及び最大値。

インターバル走では休息で歩いていた時間のデータも含まれますので、それぞれの指標によって最小値か最大値を見てください。短い距離を速く走るときは、心拍数は上がり、パワー数は大きく、ピッチは増え、歩幅は長く、接地時間が短く、そして上下動が小さくなっていることが分かるでしょう。

ところで、watchOS9ではカスタム・ワークアウトの機能も追加されました。インターバル・トレーニングの時間や距離、そしてラウンド数を自由に設定することが可能になったのです。今回の変則的なインターバル走も簡単に設定できました。

Apple Watch「カスタム・ワークアウト」の設定画面

すべてを終了した後のデータをiPhone上「フィットネス」アプリで確認すると、ラウンドごとの指標を見ることができます。

iPhone上「フィットネス」アプリのスクリーンショット
左:サマリー、右:インターバル走ラウンド毎の詳細

同じ距離を同じタイムで繰り返すわけですので、理想は最初から最後までデータが一直線になることです。見ての通り、そうはいきませんでした。

1ラウンド目は様子を見て、2ラウンド目はまだ元気で、3,4ラウンド目は疲れてきて、最終5ラウンドは根性を出して頑張った。インターバル形式のトレーニングではありがちなパターンですが、そうしたことも数字で確認することができます。

このように現在のApple Watchはかなり熱心なランナーのパートナーにもなりうるスマートウォッチであると言えるでしょう。

●執筆者プロフィール 角谷剛(かくたに・ごう)
アメリカ・カリフォルニア在住。米国公認ストレングス・コンディショニング・スペシャリスト(CSCS)、CrossFit Level 1 公認トレーナーの資格を持つほか、現在はカリフォルニア州アーバイン市TVT高校でクロスカントリー走部監督を務める。年に数回、フルマラソンやウルトラマラソンを走る市民ランナーでもある。フルマラソンのベストタイムは3時間26分。公式Facebookは https://www.facebook.com/WriterKakutani

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事


   

RANKING

  1. 「ChatGPTが“嘘をつかなくなる”?」SNSで話題の“ファクトベースAI”プロンプトが凄い!

  2. ChatGPTが“すぐ忘れる”理由と対策──命令をほぼ永続させる3つの方法

  3. ChatGPTを“おだて役”から“辛口参謀”に変える! SNSで話題の「神プロンプト」10選

  4. これでAIのウソが激減! ChatGPTを検証モードに切り替える「事実確認系プロンプト」10選

  5. Xiaomi Smart Band 8 Proが税込4,980円! イオシスで未使用品が約300台限定入荷

  6. 「ChatGPTの“優しさフィルター”を外したら成果が上がった」――海外ユーザーが話題のプロンプトを公開

  7. OPPOが中国で新型スマートウォッチ「OPPO Watch S」を発表!薄型デザインに軍用レベルの耐久性と医療認証ECGを搭載

  8. あのデザインが指先に宿る――「INFOBAR」コラボのスマートリカバリーリングが登場!CAMPFIREでアイデア公開中

  9. 【最新版】モバイルバッテリーのリコール対象製品まとめ(2025年10月)|Anker・Xiaomi・CIOなど主要ブランドも対象に

  10. 【新モデル登場】“Makuake No.1スマートリング”RingConnから「Gen2 Air」日本上陸。10月30日より先行予約スタート!

   

NEW CONTENTS

  1. 【神コスパ】Xiaomiの「90W HyperCharge Power Adapter」が3,480円! 3ポートで90W出力

  2. 紛失防止タグも悪用禁止へ。ストーカー規制法が改正、警察が職権で警告可能に

  3. 小泉進次郎防衛大臣が語る「AIが戦闘の帰趨を左右する時代」――防衛分野でのAI活用方針を説明

  4. チタン製Apple Watchバンド「C01」「C03」がAULUMUから登場。高級感と機能性を融合

  5. キュウリに巻いても心拍を検出! 粗悪スマートウォッチにマレーシア医師会が注意喚起

  6. 「毎日同じ時間に寝る」だけで死亡リスクが最大57%減。最新研究が警鐘

  7. Apple × イッセイ ミヤケ、「iPhone Pocket」を発表。新しい“身につけるiPhone”アクセサリーが登場

  8. 【実例】Galaxy WatchのECG機能が命を救う。 心疾患リスクを検知したブラジル男性の体験

  9. Xiaomi Smart Band 8 Proが税込4,980円! イオシスで未使用品が約300台限定入荷

  10. 「ただ歩くだけ」では足りない。1日15分の“速歩き”が血圧・血糖・メンタルを整える理由