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スマートウォッチを毎日使う読者にとって、モバイルバッテリーは旅先・外出先で欠かせない相棒です。一方で、リチウムイオン電池を採用したモバイルバッテリーは、使い方を誤ると発熱・発火につながるトラブルが年々増加していることも事実。エレコム株式会社は2026年6月17日、「モバイルバッテリーを正しく購入・使用・回収するためのポイント」をまとめたメディア向けプレスリリースを発信し、安全使用の知識普及を呼びかけました。
本記事は、エレコムの発信内容を整理しつつ、SWL読者目線で「スマートウォッチを使う日常のなかで気をつけたいモバイルバッテリーの扱い方」と、新世代電池技術の最新ラインナップをまとめてご紹介します。
なぜ今、モバイルバッテリーの安全性が話題に
近年、空港・電車内・カフェでのモバイルバッテリー発火事故が報じられる機会が増えています。背景にあるのは、リチウムイオン電池の普及そのものです。エレコムによると、リチウムイオン電池は精密な構造を持つ反面、使用方法を誤ると発熱・発火のトラブルにつながる特性を持っており、安価な製品や経年劣化した個体ではそのリスクが高まります。
スマートウォッチユーザーは、Apple WatchやGarmin・Pixel Watch・Galaxy Watchなどを充電するために、自宅とは別に外出用モバイルバッテリーを1〜2台持ち歩くケースが多く、「つい古いまま使い続ける」「真夏のクルマに入れっぱなし」などのシーンは身近に存在します。本リリースは、メーカー側からの啓発として注目に値します。
モバイルバッテリーが発火する3つの主な要因
エレコムが整理した発火要因は、大きく3つに分けられます。
1. バッテリーの劣化
リチウムイオン電池が劣化したときに起こる「電解質の酸化」は、発火の原因のひとつ。電解質が酸化すると内部からガスが発生して膨らみ、そこに衝撃が加わると事故に至るケースがあります。膨張だけでは爆発に至らないとされていますが、膨らんだバッテリーは要注意のサインです。
2. モバイルバッテリーの品質の低さ
モバイルバッテリーは精密機械で、品質の低い部品を使った安価な製品はトラブルが起こる可能性が高くなります。特に重要なのが、充電時にバッテリーが発熱した場合に給電スピードを落として温度を制御する「安全装置」。安価なバッテリーでは安全装置が機能しない、あるいはそもそも搭載されていないケースもあります。
3. 外部からの衝撃・圧力・水濡れ
落下・圧迫・水濡れによって精密な内部構造が損傷すると、ショート・発火につながります。リュックの中で本を押しつけ続ける、雨で濡らす、机から落とす、といった日常の小さな事故も油断できません。
購入時にチェックすべき3つのポイント

エレコムが提示する購入時のチェックリストはシンプルです。
・PSEマークを必ずチェックし、信頼できる販売元で購入する
・適正価格かどうかを確認する(極端に安いものは要注意)
・新品かどうかを確認する(中古や開封済みは劣化リスクあり)
家電量販店や信頼できるECサイト経由なら基本的にPSEマーク済みが多いものの、SNS広告経由や個人輸入の格安製品では確認が抜けるケースもあります。スマートウォッチユーザーは「Apple Watch磁気充電対応」「Qi対応」など機能面で選びがちですが、まずは安全認証から確認するクセをつけたいところです。
安全に使うための日常チェックリスト

毎日の使い方で気をつけるポイントとして、以下が挙げられています。
・充電しっぱなしにしない:100%まで満充電を繰り返す「過充電」、残量ゼロまで使い切る「過放電」、AC充電器につなぎっぱなしは、いずれも劣化を早めます
・強い衝撃や高温はNG:真夏のクルマ車内に放置するのは特に危険。落下衝撃で内部破損→ショート・発火のリスクも
・約2年以上の使用で買い替え検討:見た目に変化がなくても、充放電回数約300〜500回または約2年以上経ったバッテリーは安全のため新しいものへ
・挙動の変化に敏感に:充電が遅くなった、充電回数が増えた、いつもと違う発熱を感じる、といった違和感があれば早めの買い替えを
スマートウォッチ充電用に常時持ち歩いているモバイルバッテリーは、Apple Watch程度なら容量を使い切らない使い方が多く「意外と長持ちしてしまう」がゆえに、3〜4年放置されているケースも珍しくありません。”見た目には問題なくても2年ルール”は意識しておきたい目安です。
使い終わったあとの正しい処分方法
古くなったバッテリーは可燃ごみに出してはいけません。エレコムは以下の3つの回収ルートを案内しています。
・お住まいの自治体へ相談
・JBRC加盟の回収協力店へ持ち込む(JBRC加盟店検索)
・エレコムデザインショップへ持ち込む(JBRC加盟企業製であれば自社以外も無償回収)
回収時は、電池残量を0%にしてから、入出力ポートやケーブル部分(ケーブル一体型の場合)に絶縁シールを貼って持ち込むのが安全です。ショート防止のための小さな手間ですが、回収現場の事故防止につながります。
エレコムの自社検査基準 — 何をどう試験しているか
本リリースのもう一つの読みどころは、エレコムが公開している自社検査体制です。設計・生産委託先協力工場だけでなく、電池メーカーや一部主要部品メーカーまでを含む複数部門の工場監査、大阪本社/横浜YTC/深センFTCの3拠点での日本人エンジニアによる設計検証、USB-PD・Qiといった充電規格について認証機関同等の高度測定機器を自社保有しての全製品確認などが挙げられています。
モバイルバッテリーの個別検査は、過充電・過放電・外部短絡(ショート)・落下衝撃の4項目を全製品で実施。製品によっては独自試験として、耐熱/耐冷・高度・振動・圧壊までを行うとのこと。「誰がどんな試験をしているか」が公開されていることは、購入時の安心材料の一つになります。
より安全性の高い新世代バッテリー — リン酸鉄/ナトリウムイオン/半固体
エレコムは、従来のリチウムイオン電池より安全性を高めた新世代バッテリーを段階的に投入しています。
2022年:リン酸鉄リチウムイオン(他社先駆けで発売)
熱安定性が高く、発火しにくい正極材として知られるリン酸鉄系。代表モデルは DE-C39-12000シリーズ(12,000mAh/税込6,980円)と DE-C41-30000シリーズ(30,000mAh/税込14,900円)。
2025年:世界初のナトリウムイオンモバイルバッテリー(市場調査「世界初」検証)
特徴は4つ:
・温度範囲 -35〜50℃で、雪山や猛暑日などの過酷な環境下でも充電可能
・釘を刺しても発火しにくい高い安全性
・一般的なモバイルバッテリーの約10倍・5,000回使用可能な長寿命
・コバルト・リチウムを使わない低い環境負荷(人権・採掘リスクを回避)
代表モデル:DE-C55L-9000シリーズ(9,000mAh/税込9,980円)。

2026年:半固体リチウムイオンモバイルバッテリー
従来のリチウムイオン電池が電解液中でリチウムイオンを動かすのに対し、半固体電池は電解質をゲル化することで液漏れリスクと可燃性成分の揮発を抑え、内部ショート時も発火しにくい構造を実現。さらにこのシリーズには、買い替え目安時期を知らせる「Health Monitor機能」が搭載されています。

ラインナップは、DE-C87-20000BK(20,000mAh/15,980円)、DE-C85-5000シリーズ(5,000mAh/6,280円)、DE-C86-10000シリーズ(10,000mAh/8,480円)、ケーブル一体型の DE-C83-5000シリーズ(5,000mAh/5,980円)と DE-C84-10000シリーズ(10,000mAh/8,280円)と、容量と形状のバリエーションも豊富です。
いずれも従来モデルより高価格帯でサイズや重量はやや大きいという課題はありますが、「安全性」と「長寿命」を最優先するなら有力な選択肢になります。
SWL編集部の見立て — スマートウォッチユーザーの安全運用
スマートウォッチを毎日充電している人にとって、モバイルバッテリーは「気づいたら2〜3年使い続けている」存在になりがちです。Apple Watch・Garmin・Pixel Watch・Galaxy Watchなどの本体は2年程度で世代交代するのに、充電に使うモバイルバッテリーだけは古いまま、というのはよくある光景です。
今回のエレコムのリリースは、新製品発表ではなく「安全使用の啓発リリース」という性格で、メーカーが顧客に向けて「正しい買い方・使い方・捨て方」を呼びかけている点が興味深いです。スマートウォッチ用に新調したバッテリーが届いたら、古い方は残量0%にして端子に絶縁シールを貼り、JBRC加盟店かエレコムデザインショップへ。次の1台を選ぶときには、PSE認証+安全装置の有無、そして新世代電池(リン酸鉄/ナトリウムイオン/半固体)も視野に入れて選ぶ、というのが今どきの選び方になりそうです。
Source: エレコム株式会社 プレスリリース
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