なぜスマートウォッチはUSB-Cを使わないのか? 各社バラバラな独自充電器の理由と、日本での実情

コラム・業界分析

公開日:

机に置かれた白いApple Watch磁気充電ケーブルのアップ

スマートフォンの充電ケーブルは、iPhoneがLightningからUSB-Cへ移行したこともあり、いまやUSB-Cにほぼ統一されました。ところがスマートウォッチは事情が違います。各メーカーが磁石やポゴピンで本体にくっつく独自の充電器を採用していて、たとえばApple WatchをGalaxy Watchの充電器で充電することはできません。同じメーカーでもモデルごとに充電器が違うことすらあります。なぜスマートウォッチはスマホのようにUSB-Cを使わないのか——海外メディアBGRがその理由を解説したコラムも材料に、解説をしていきます。

なぜスマートウォッチはUSB-Cを使わないのか

いちばん大きな理由は防水性です。本体にUSB-Cポートという穴を開けると、水の侵入経路になり、防水性能を保つのが難しくなります。水泳で使えることが売りのモデルにとっては致命的です。

次にスペースの問題。スマートウォッチ、とくに薄型のモデルは、そもそもUSB-Cポートを入れる物理的な余裕がありません。小さな筐体を最大限に使うには、ポートを省いたほうが有利なのです。

さらに、スマートウォッチは形もサイズもモデルごとに大きく異なります。ブランドや機種が違ってもおおむね似た形のスマートフォンとは対照的で、この多様さゆえに、各社が自社製品に合わせた独自の充電方式を採用するのも理解できる、というわけです。

バラバラな充電器がもたらす問題

メーカーごとに専用充電器という状況は、利用者にとって不便です。古い充電器が新しい機種で使えなかったり、ブランドを乗り換えるとまず使えなかったりします。BGRの記事では、同じブランド内でもモデルごとに充電器が異なる例として、Fitbitが「最悪の例」として挙げられています。

そして見過ごせないのが環境への影響です。使えなくなった充電器は電子廃棄物(e-waste)となり、適切にリサイクルされないまま汚染や資源のむだにつながっています。共通規格があれば、消費者にも環境にもメリットが大きいはずです。

統一は簡単ではない

とはいえ、標準化は一筋縄ではいきません。USB-Cが使えない以上、スマホのときのような「これに揃えればいい」という明確な標準が存在しないのです。ワイヤレス充電は有力な候補ですが、充電が遅かったり、置く位置がシビアだったりと扱いにくい面があります。Qi2のような新しい規格は前進ではあるものの、採用するかどうかは各社のデザインや使い勝手の判断次第で、すべてのメーカーが乗り気なわけではありません。

専門家も、スマホのように法律で共通充電器を強制するのは現時点では得策ではないと指摘します。調査会社IDCのリサーチマネージャーJitesh Ubrani氏はAndroid Centralに対し、「今の時点で充電規格を規制すれば、イノベーションを阻害し、複数の充電器がある状態よりもかえって消費者や政府に害を与えかねない」と述べています。

日本で見てきた状況:USB-C直挿しはほぼ皆無

実際、日本で手に入るスマートウォッチを見ても、この傾向ははっきりしています。Apple Watchをはじめ各社が独自の充電器を用意しており、同じブランドでもモデルごとに専用ケーブルが付属するケースが少なくありません。

数少ない工夫として、Amazfitは本体に磁石でくっつく小さな充電アダプター側にUSB-Cケーブルを挿す方式を採用しており、手持ちのUSB-Cケーブルを使い回せる点は便利です。とはいえ、これも「アダプターを介する」形であって、時計本体にUSB-Cを直接挿せる製品は、今のところほとんど見当たらないというのが実感です。

まとめ

スマートウォッチがUSB-Cを直接採用しないのは、防水性や本体サイズ、形状の多様さといった、それなりに合理的な理由があります。一方で、充電器の規格が乱立している現状は利用者にとって不便で、電子廃棄物という観点でも課題が残ります。USB-Cそのものは難しくても、Qi2のようなワイヤレス標準が広がるなど、速くて信頼でき、誰でも使いやすい共通の充電方法が定着すれば、買い替えや乗り換えのストレスはぐっと減りそうです。

Source: BGR(一次情報:Android Central/IDC)

あわせて読みたい関連記事

スマートウォッチの充電まわりの記事もチェックしてみてください。

RORRY CharmGo D4-10000 実機レビュー|45W+Apple Watch磁気充電内蔵の全部入りカラビナバッテリー

薄さ8.5mmでApple Watchも充電できるMATECHのQi2モバイルバッテリー「MagOn Watch Slim 5000」

Qi2.2対応&冷却ファン搭載の3in1充電スタンド|スマホもスマートウォッチも最大25Wで同時充電

Amazfitの実機レビューはこちら。

Amazfit Helio Strapレビュー|画面なし・ストラップ型の装着感・睡眠計測・回復スコアを実機チェック

Apple Watch充電器関連の記事一覧を見る

 はじめての方・記事の探し方に迷った方へ
記事が多くて迷ったら、 記事の探し方ガイド から目的別に読めます。

※本記事のリンクから商品を購入すると、売上の一部が販売プラットフォームより当サイトに還元されることがあります。掲載されている情報は執筆時点の情報になります。
     

関連記事