旅先の「よく眠れた」は1か月続くのか|SOXAI RINGが7週間測った“スリープツーリズム”の効果、寝つきは16.2分→12.5分に

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SOXAI RINGを用いたスリープツーリズム実証実験のメインビジュアル。富山県立山町のヘルジアンウッドで実施された

旅先でぐっすり眠れた、という経験は誰にでもあると思います。ただ、それが本当に「よく眠れた」のか、非日常の高揚感による気のせいなのかは、自分ではなかなか分かりません。まして、その効果が家に帰ってからも続いているのかどうかは、なおさらです。

国産スマートリングのSOXAIが、その疑問に数字で答える実証実験に参画しました。結果として、滞在後も約1か月にわたって「寝つき」の改善が続いていたことが確認されています。

「スリープツーリズム」とは何か

今回検証されたのは、良質な睡眠を目的とした旅行という滞在スタイルです。世界的にウェルネスツーリズムの市場が広がるなか、旅の価値が「見る・消費する」から「整える・回復する」へ移りつつある、という流れの延長にあります。

温泉、養生、四季の食といった眠りを整える文化を持つ日本は、この分野に独自の強みがあるとSOXAIは指摘します。SOXAIは温泉についても、環境省の「新・湯治」効果測定調査に2年連続で参画しています。一方で厚生労働省の調査では、睡眠で十分に休養が取れていない人の割合は増加傾向にあり、睡眠不足は現代社会の重要な健康課題になっています。

ただし、旅先には難しさもあります。慣れない環境では初日の睡眠の質が下がりやすいという「ファーストナイト効果」が知られているためです。旅先で確かな睡眠改善を得るには、夜の寝室環境だけでなく、朝から日中、就寝前までを見据えた一日を通じたプログラム設計が欠かせない、というのが今回の出発点になっています。

約7週間の連続計測という設計

実証実験は、富山県中新川郡立山町にある美と健康の複合施設「Healthian-wood(ヘルジアンウッド)」で行われました。SOXAIのほか、NTT DXパートナー、ブレインスリープ、MAEの4社が連携しています。

注目したいのは、計測期間の長さです。

期間 日数
滞在前 14日間
滞在中 3日間
滞在後 30日間
合計 約7週間

被験者は睡眠に課題を持つ20〜50代の男性10名。客観的指標としてSOXAI RINGによる睡眠・心拍・活動量の測定を行い、あわせて毎朝と週次のアンケートで主観的な評価も取っています。

SOXAI RINGが検証デバイスに選ばれた理由も明かされています。多様な睡眠計測デバイスを検証してきたNTT DXパートナーが、「被験者に意識させることなく日中と夜の両方の活動を計測でき、客観的な効果検証に足る精度を備える」ことを基準に選定したとのことです。指輪型で装着負担が少ないという形状の利点が、7週間の連続計測を可能にしたわけです。SOXAI RING 2そのものについては、世界最細×最大14日間駆動という実力をまとめた記事で詳しく紹介しています。

結果:寝つきが3.7分早くなり、それが1か月続いた

もっとも目を引くのが、滞在後の変化です。

指標 滞在前 滞在後 備考
入眠潜時(寝つきまでの時間) 16.2分 12.5分 改善が約1か月持続
睡眠の質(主観・10点満点) 5.6 6.2 約1か月後まで高評価が持続

入眠潜時とは、布団に入ってから実際に眠りにつくまでの時間のことです。これが16.2分から12.5分へ、3.7分短くなりました。数字だけ見ると小さく感じるかもしれませんが、寝つきの悪さに悩む人にとって、布団の中で悶々とする時間が2割以上減るのは体感として大きい変化です。

滞在中についても、中途覚醒時間と睡眠効率が有意に改善し、睡眠への意識・行動・リラックス度が高まったことが確認されています。

行動が変わり、それが定着した

個人的にいちばん興味深かったのが、3つ目の結果です。

滞在後のアンケートで、睡眠に関連した行動のうち次の3項目に有意な向上が見られ、しかもそれが日常に戻ってからも定着していました。

・香りを活用していた
・就寝前に電子機器の使用を控えた
・朝は光を浴びるようにしていた

仕事や家庭といった社会的制約のある日常のなかでも、こうした行動変容が続いたという点がポイントです。旅先で得られたのは一時的な良い睡眠ではなく、家に持ち帰れる習慣だった、という読み方ができます。滞在後1か月の寝つき改善も、施設の効果が続いていたというより、変わった習慣が効いていたと考えるほうが自然かもしれません。

4社の役割分担

企業 担当
NTT DXパートナー 実証実験の企画立案(デバイス選定含む)、睡眠工学に基づく一日を通じた宿泊プログラムの監修、被験者募集・運営管理、現地での検証管理
MAE(ヘルジアンウッド) 睡眠体験コンテンツの設計・提供(フレンチ薬膳やハーブを生かした滞在プログラム)
ブレインスリープ IRB(倫理審査委員会)申請、被験者への説明、検証データの分析・エビデンスの監修
SOXAI 検証用ウェアラブルデバイス「SOXAI RING」の提供、データ分析基盤の提供、検証データの分析サポート

SOXAIの立ち位置が、デバイスを貸し出すだけで終わっていない点に注目したいところです。データ分析基盤の提供と分析サポートまで担っています。同社はセンシング技術を外部にも供給しており、シャープ初のスマートリング「からだメイト Ring」にも「SOXAI OS」が採用されています。

読むときに気をつけたいこと

数字が並ぶと説得力を感じますが、この実証実験の規模は把握しておくべきです。

被験者は10名(滞在後の解析は9名)、いずれも20〜50代の男性です。女性や他の年代でも同じ結果が出るかは、この実験からは分かりません。統計処理として線形混合モデルが用いられ、有意差も示されていますが、母数としては小規模な検証にあたります。

それでも、ブレインスリープがIRB申請を行い、倫理審査を通したうえで実施されている点や、7週間という長期間を連続計測している点は、この種の取り組みとしては丁寧な設計です。「泊まったら調子が良かった」という感想の域を出るための手続きが踏まれています。

まとめ

宿泊施設や自治体の滞在プログラム、企業の健康経営、寝具や食品のサービスなど、睡眠改善をうたう取り組みは増え続けています。しかしSOXAIも指摘するとおり、その効果を客観的に示す手段は十分に整っていません

スマートリングのように、装着していることを忘れられて、かつ日中と夜を同じデバイスで測れる機器は、この空白を埋める役割を担えます。海外でも、アブダビ保健局とOura Ringが共同研究協定を締結するなど、同じ方向の動きが出ています。今回の実験でSOXAI RINGが選ばれた理由も、まさにそこにありました。

私たちがふだん自分のリングやウォッチで見ている数字は、こうした検証にも耐えうる形で使われ始めています。旅行や温泉が「なんとなく良かった」で終わらず、数字で語れるようになる。その入口に立っている段階と言えそうです。

Source: 株式会社SOXAI プレスリリース(PR TIMES)/結果の詳細はブレインスリープのニュースリリース

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