スマートフォンを水に落としてしまったとき、よく聞く対処法のひとつが「電源を入れず、米と一緒にジップロックへ入れて放置する」という方法です。
SNSでは「本当に直った」「メーカーの人に言われた」という体験談も多く、都市伝説のように語られています。しかし、この方法は科学的に見て本当に効果があるのでしょうか。
この記事では、感覚的な体験談ではなく、物理・化学の観点から“米+ジップロック”の実態を整理し、なぜメーカーがこの方法を推奨しないのかまで解説します。
結論:米に「多少の効果」はあるが、修理としては不十分

結論から言うと、米には「水分を吸う能力」は確かにあります。そのため、表面的な水分が乾き、結果的に「直ったように見える」ケースは存在します。
ただし、それは応急的・偶然的な回復に近く、水没トラブルの本質的な解決策ではありません。
なぜ「米で乾く」と感じるのか
米が水分を吸う性質を持つのは事実です。密閉した袋の中では、周囲の空気中の湿度が下がり、スマホ内部に残っていた“遊離水分”が蒸発しやすくなるため、乾燥が進みます。
特に次のような条件では、「回復した」と感じやすくなります。
・水没がごく短時間だった
・真水で、塩分や糖分を含んでいなかった
・内部基板に水が深く入り込んでいなかった
この場合、時間経過による自然乾燥でも同じ結果になっていた可能性が高い点は押さえておく必要があります。
科学的に見る「米+ジップロック」の限界

問題は、スマホの故障原因が「水分そのもの」だけではない点にあります。
1. 腐食は乾燥後も進行する
水没で本当に怖いのは、基板上で起こる電気化学的な腐食です。水分が蒸発しても、不純物やミネラルが残ると腐食反応は止まりません。
そのため、電源が入るようになっても、数日〜数週間後に突然故障するケースが珍しくありません。
2. 米は「内部の水」を吸えない
米が吸えるのはあくまで空気中の水分です。スマホ内部のコネクタやICチップ下に入り込んだ水分を、直接引き抜く力はありません。
3. 米粒・デンプン粉が二次被害を生む
意外と多いのが、米の粉や微粒子が端子やスピーカー穴に入り込むトラブルです。これが原因で、後から接触不良を起こすこともあります。
メーカーが「推奨しない」本当の理由

メーカーが水没時に案内するのは、次のような対応です。
・電源を入れない
・充電しない
・速やかに正規修理・点検に出す
これは、腐食やショートを最小限に抑える唯一の確実な方法が「分解洗浄・乾燥」だからです。米ではこの工程を代替できません。
もし水没してしまったら、現実的な最善策
科学的に見て、リスクを最小化する行動は以下です。
・すぐに電源を切る(入っていたら)
・SIMトレイを外す
・乾燥剤(シリカゲル)があれば使用する
・できるだけ早く修理・点検へ
米よりも、工業用途でも使われる乾燥剤のほうが吸湿性能は明確に高い点は覚えておいて損はありません。
まとめ|「直った」は否定しないが、過信は危険
「米に入れたら本当に直った」という体験談が存在するのは事実です。ただしそれは、条件が良かった場合に限り“結果的に助かった”ケースが多いと考えるのが科学的に妥当です。
スマホは精密機器です。一時的に動いても内部ではダメージが進行している可能性がある以上、「米で直す」は応急対応の域を出ません。
もし同じ状況に遭遇したら、“運に任せる方法”と“確実性のある方法”の違いを理解した上で、冷静に対処することが重要です。
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