2026年のウェアラブル市場は3%減へ|スマートウォッチは「買い替え疲れ」で4%減、スマートリングは53%増と明暗くっきり【海外ニュース】

コラム・業界分析

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灰色の背景に立てて置かれた黒いスマートリング

スマートウォッチを毎年のように買い替える必要は、正直なところ薄れてきた——そう感じている人は少なくないのではないでしょうか。実はその肌感覚を裏づけるような市場予測が、海外の調査会社から出てきました。

調査・アドバイザリー企業のFDM CCS Insightは2026年7月、世界のウェアラブル市場が2026年に前年比3%減となるとの予測を発表しました。市場の大黒柱であるスマートウォッチが「買い替え疲れ(replacement fatigue)」に苦しむ一方、スマートリングは53%増と勢いを増しています。同じ「ウェアラブル」でも、いま起きていることはカテゴリーごとにかなり違うようです。

この記事では、海外メディアが報じた同社の予測をもとに、スマートウォッチが失速している理由、スマートリングが伸びている理由、そして2026年に予想される値上げの動きまで、これからデバイスを買おうとしている人の視点で整理します。

ウェアラブル市場全体は2026年に3%減の見通し

FDM CCS Insightの予測によると、2026年の世界ウェアラブル市場は前年比3%減となる見込みです。市場全体が縮むといっても、その内訳は一様ではありません。スマートリングへの需要が急増している一方で、スマートウォッチへの購買意欲が鈍っており、後者の落ち込みを前者が埋めきれない、という構図です。

そもそもスマートウォッチは、2025年時点でウェアラブル市場全体の90%を占める圧倒的な主役でした。つまりスマートウォッチが転ぶと市場全体が転ぶ、という構造になっています。同社はそのスマートウォッチの出荷が2026年に4%減少し、2027年にかけて緩やかに回復すると見ています。

市場の全体像をもう少し長い時間軸で確認したい方は、世界ウェアラブル市場2025、出荷+9.1%増の6.115億台に|HUAWEIが世界2位浮上もあわせてご覧ください。2025年までは伸びていた市場が、ここへ来て踊り場に入ろうとしていることが見えてきます。

スマートウォッチの失速要因は「買い替え疲れ」

スマートウォッチのイメージ。買い替え疲れで出荷減が予測される2026年のスマートウォッチ市場

では、なぜスマートウォッチが売れなくなっているのでしょうか。FDM CCS Insightが挙げるのが「買い替え疲れ」です。新モデルが出ても革新が限られており、いま使っているモデルを手放してまで買い替える理由を消費者が見いだせていない、という指摘です。

言われてみれば、心拍数も睡眠もGPSも数年前のモデルで十分に測れます。スマートフォンのように「ないと生活が回らない」デバイスではない以上、目新しい機能が乗らなければ買い替えが後回しになるのは自然な流れとも言えます。

加えて供給側の事情も重なりました。メモリ危機が生産に影響を及ぼし始めており、そのほかの部品も含めた製造原価(BOMコスト)の上昇が各社を圧迫しています。これはスマートウォッチに限った話ではなく、コンシューマー向けテック製品の全体で共通して聞かれる話です。

もっとも、革新がまったく止まっているわけではありません。デバイス側でAI処理を行うEdge AIの搭載は着実に進んでおり、その現状はスマートウォッチ出荷の25%がEdge AI対応に、Appleが約9割を独占|Counterpoint調査で詳しく取り上げています。問題は、その進化が一般の購買意欲を動かすほど分かりやすい形になっていない、という点なのかもしれません。

スマートリングは53%増の600万台へ、2030年までCAGR32%

対照的に元気なのがスマートリングです。FDM CCS Insightは2026年のスマートリング市場が53%増の600万台に達すると予測しています。スマートウォッチと比べれば規模はまだ小さいものの、伸び率は際立っています。

その背景として同社が挙げるのが、実店舗での取り扱いが増えたことと、健康・ウェルネスのトラッキングへの関心が高まっていることです。トップベンダーはOuraで、Ultrahumanは2025年第4四半期に米国での販売差し止めという痛手を負ったものの、2026年上半期に持ち直したとされています。

さらに同社は、健康トラッキング以外の用途として、音声を録音できる新しいタイプのリングが「利用シーンを広げている」と指摘します。米食品医薬品局(FDA)がリスクの低いウェルネス機器を承認なしで販売できるよう規制を緩和したことも追い風となり、スマートリング分野ではさらなる技術革新が期待できるとしています。同社の見立てでは、この分野は2026年から2030年にかけて年平均成長率(CAGR)32%でウェアラブル市場全体を上回るペースで伸び続ける見通しです。

日本で実際に買えるモデルを比較したい方は、日本で購入可能なスマートリング11選をレビュー付きで徹底比較(2026年版)が入り口として便利です。

Oura・Ultrahuman・RingConnがそろって50ドル値上げ

ただし、伸びているカテゴリーだからといって買いやすくなるとは限りません。FDM CCS Insightは、今後登場するモデルはより高い価格帯になると予測しています。実際にOura、Ultrahuman、RingConnはすでに直近のアップグレードで価格を50ドル引き上げており、ウェアラブル全体の平均販売価格(ASP)は2026年に9%上昇すると見込まれています。

値上げ圧力の一因となっているメモリ価格の高騰は、スマートフォンなど他ジャンルでも同じ現象を引き起こしています。その影響の大きさはiPhone 18 Pro Max、製造コストが約300ドル上昇か|主因はNAND・DRAMと2nmチップを読むと実感しやすいはずです。買い替えを検討しているなら、価格が上がりきる前に動くという判断もあり得ます。

スマートリングはスマートウォッチを「食わない」

ここで気になるのが、スマートリングが伸びるとスマートウォッチはもう不要になるのか、という点です。FDM CCS Insightのシニアアナリストであるエクタ・ミッタル(Ekta Mittal)氏は、この疑問にはっきり答えています。

「デバイスコストの上昇と、よりプレミアムなデバイスを選ぶ傾向により、2026年のスマートウォッチ平均価格は12%押し上げられるでしょう。各社は間もなく追加コストを消費者に転嫁し、新製品の価格は上昇し、旧モデルの値引きは2025年に比べて減ることになります」

そのうえで同氏は、自社の調査結果としてこう述べています。

「FDM CCS Insightの調査によれば、スマートリング所有者の75%はスマートウォッチも所有しています。スマートウォッチは依然として主要なウェアラブルデバイスですが、人々は補完的なデバイスとしてスマートリングをますます採用しています。これはウェアラブルのエコシステムを共食いさせるのではなく、拡張させるものです」

つまり両者は奪い合いではなく、役割分担の関係にあるという読み解きです。日中は情報を見られるスマートウォッチ、就寝時は着けていることを忘れられるスマートリング——そんな使い分けが定着しつつあると考えると腑に落ちます。国内での装着実態については腕時計を持つ人は65%・普段使うのは46%、20代の24%が「スマートウォッチをつけたい」|クロス・マーケティング調査2026も参考になります。

数字で見る2026年ウェアラブル市場予測

今回の予測に登場した数字を、あらためて一覧にまとめました。

項目 予測値
ウェアラブル市場全体(2026年) 前年比3%減
スマートウォッチ出荷(2026年) 前年比4%減、2027年にかけて緩やかに回復
スマートウォッチの市場シェア(2025年) ウェアラブル全体の90%
スマートリング出荷(2026年) 53%増の600万台
スマートリングの年平均成長率(2026〜2030年) CAGR 32%
ウェアラブル全体の平均販売価格(2026年) 9%上昇
スマートウォッチ平均価格(2026年) 12%上昇
Oura・Ultrahuman・RingConnの値上げ幅 直近のアップグレードで50ドル
スマートリング所有者のうちスマートウォッチも持つ割合 75%

レポートが触れなかったスマートグラスの動き

スマートグラスとウェアラブル技術のイメージ。市場が前年同期比83%増と伸びるインテリジェント・アイウェア

今回のレポートで触れられていないのがスマートグラスです。価格の高さをどう見るかは人それぞれですが、革新という点ではこの分野のほうが動きがある、というのが元記事の見立てでした。

2026年6月にSnapが発表したARグラス「SPECS」は、Qualcomm Snapdragonプロセッサーを2基搭載し、片方をコンピュータービジョン、もう片方を「Lenses」と呼ぶ内蔵アプリの実行に充てる構成です。ターンバイターンのナビゲーションや位置情報サービス、各種タスクを助けるAIオーバーレイなどが想定用途とされ、内蔵カメラが検知する手のジェスチャーで操作できます。

Googleも同年の年次イベントI/Oで「インテリジェント・アイウェア」を発表しました。道案内、テキスト送信、写真撮影に対応するとされる2モデルで、SamsungとQualcommとともに開発したプラットフォームAndroid XRを基盤とし、音声で助言するオーディオ型と、情報を視覚的に表示する型の2種類が用意され、どちらもGeminiを活用します。詳細は【海外発表】Googleが「インテリジェント・アイウェア」を発表 Gemini搭載のオーディオグラスが2026年秋登場へで紹介しています。

市場規模としても、調査会社Omdiaは2026年6月、ARグラスとスマートグラスの普及が進んだ結果、「インテリジェント・アイウェア市場」が2026年第1四半期に前年同期比83%増となったと発表しています。ただしどれも安価ではなく、価格の高さがこのカテゴリー最大のネックであることは変わりません。

まとめ

今回のFDM CCS Insightの予測を一言でまとめるなら、「ウェアラブル市場は縮むが、中身は入れ替わりつつある」ということになります。スマートウォッチは買い替え疲れとコスト高で足踏みし、スマートリングは健康志向を追い風に伸びる。そしてどちらも2026年は値上げの方向にある、という構図です。

読者としての実利を考えるなら、ポイントは2つでしょう。ひとつは、いま使っているスマートウォッチに不満がないなら、無理に買い替えなくてもよさそうだということ。もうひとつは、逆に新しく買うつもりがあるなら、値上げと旧モデルの値引き縮小が進む前に検討したほうが有利になりうる、ということです。

スマートリングについては「スマートウォッチの代わり」ではなく「もう1つの相棒」として捉えるのが、75%というデータが示す現実的な向き合い方と言えそうです。まずは手持ちのスマートウォッチと組み合わせて何が測れるようになるのかから確認してみてください。

Source: Telecoms.com「Wearable devices market expected to decline despite smart ring momentum」
画像: Unsplash(フリー素材)

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今回の予測の前提となる、2025年までの市場全体の動きを数字で押さえておきたい方はこちらから。

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値上げ前後の実力を確かめたい方へ。RingConnの最新フラッグシップを実機で試しました。

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市場をけん引するトップベンダーOuraの最新モデルもチェックしておきたいところです。

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レポートが触れた「音声を録音できるリング」に関心を持った方は、こちらのまとめもどうぞ。

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革新が続くというスマートグラス側の最新動向はこちらで解説しています。

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