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市場調査会社のIDC(International Data Corporation)は2026年3月25日付の更新で、世界ウェアラブルデバイス市場の2025年通年結果を発表しました。世界出荷台数は前年比+9.1%の6億1,150万台を記録。新製品投入、価格帯の拡大、中国の政府補助金、成熟市場での買い替え需要が成長を支えました。HUAWEIが世界2位ベンダーとして浮上(出荷2,550万台・+21.7%)、Xiaomi主導でリストバンドカテゴリも+14.7%増と存在感を高めています。一方、2026年の見通しは+2.2%にとどまるとされ、メモリ供給制約による平均販売価格の上昇が成長を抑える見込みです。
2025年通年:世界出荷6.115億台で前年比+9.1%
IDC Worldwide Wearable Device Trackerの最新データによると、2025年通年の世界ウェアラブル出荷台数は6億1,150万台(+9.1%)に達しました。新製品投入の連続、価格帯の拡張、中国市場における政府補助金、そして成熟市場での買い替えサイクルが組み合わさり、市場拡大を支えた格好です。
過去のIDC日本市場データでは、2024年の国内ウェアラブルデバイス出荷台数は1,241万台でAppleが各カテゴリ首位という結果でした(2024年 国内ウェアラブルデバイス出荷台数が1,241万台に:Appleが各カテゴリで首位、リング型デバイスに注目集まるを参照)。日本市場と比較しても、2025年の世界市場は中国・新興国でのHUAWEIや低価格ブランドの伸びが、全体成長を押し上げる構図がより鮮明です。
カテゴリ別:イヤーウェア・スマートウォッチ・リストバンドが牽引
IDCはカテゴリ別の動向も整理しています。
・イヤーウェア:+7.8%増。中国系の低価格ブランドが国内外で台頭し、競争的な価格設定・頻繁な新製品リリース・オンライン販路の拡大によって、先進国市場の成熟下でも出荷台数を維持
・スマートウォッチ:堅調な成長。Apple(プレミアム+Apple Watch SEを含む幅広いリフレッシュ)とHUAWEI(後述)が牽引
・リストバンド:+14.7%増。Xiaomiが手頃な価格でスケール拡大を続けたほか、Whoopのような画面なしヘルスウェアラブルにインスパイアされた新型リカバリー/健康フォーカス型リストバンドも登場し、エントリーカテゴリから少しずつプレミアム化の兆しも見せている
世界スマートウォッチ市場の直近動向については世界のスマートウォッチ市場、2026年Q1で出荷4%増|Appleが23%シェアでトップ、Huaweiけん引する中国は15%成長【海外調査】でCounterpoint Research調べの2026年Q1データもまとめています。本IDCの年次データとあわせて読むと、ベンダー入れ替わりと中国市場の成長をクロスで確認できます。
HUAWEIが世界2位浮上:+21.7%の2,550万台
2025年のハイライトの1つが、HUAWEIが世界2位のスマートウォッチベンダーに浮上したことです。出荷台数は2,550万台(+21.7%)と大幅成長。中国政府の補助金が需要を後押しした一方、HUAWEI自身もR&D・マーケティング投資を拡大し、特にスポーツ/フィットネス用途を軸にパフォーマンス志向ユーザー層を獲得していると分析されています。
Apple側もポートフォリオ全体(プレミアムラインとApple Watch SEを含む幅広いリフレッシュ)で買い替え需要を喚起し、引き続き首位を維持しました。
トップ5企業シェア推移(2024Q4〜2025Q4)

IDCが公表したトップ5企業の四半期シェア推移は以下の通りです(単位:%)。
| 企業 | 2024Q4 | 2025Q1 | 2025Q2 | 2025Q3 | 2025Q4 |
|---|---|---|---|---|---|
| Apple | 22.8 | 17.1 | 14.7 | 19.0 | 21.0 |
| Xiaomi | 11.2 | 13.2 | 13.0 | 10.8 | 10.3 |
| HUAWEI | 7.8 | 11.3 | 10.4 | 7.9 | 8.0 |
| Samsung | 7.7 | 8.0 | 7.3 | 8.1 | 7.7 |
| Imagine Marketing | 4.2 | 5.0 | 5.2 | 7.7 | 3.7 |
| その他 | 46.2 | 45.5 | 49.4 | 46.6 | 49.4 |
| 合計 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
注目したいのは、「その他」の合計が49.4%(2025Q4)と半数近い水準を維持していることです。これはトップ5以外の中小・新興ブランドが市場全体の出荷を分け合う構造で、スマートウォッチ/リストバンド/イヤーウェアにおける参入障壁の低さ、もしくは多様化を反映しています。
2030年までの市場予測:2026年は+2.2%減速、その後緩やかに回復

IDC Quarterly Wearable Device Tracker – Forecast 2025による世界ウェアラブル出荷予測は以下の通り。
| 年 | 出荷台数(百万台) | 前年比成長率 |
|---|---|---|
| 2026 | 625.2 | +2.2% |
| 2027 | 642.6 | +2.8% |
| 2028 | 660.1 | +2.7% |
| 2029 | 675.9 | +2.4% |
| 2030 | 689.7 | +2.0% |
2025年の+9.1%成長から、2026年は+2.2%に大きく減速する見通しです。背景はメモリ関連の供給制約が継続しており、平均販売価格に上昇圧力をかけ続けているためとIDCは説明しています。供給状況が緩やかに改善する2027年以降、成長率は+2.8%に若干回復したのち、年率2%前後で巡航する見通しです。
類似の市場規模予測としては、SNS Insiderが2026年5月に発表した世界のスマートウォッチ市場、2035年に約1,001億ドル規模へ拡大予測|米国310億ドル・欧州241億ドル【SNS Insider調査】もあわせて参照すると、調査会社ごとの長期見通しの違いが見えてきます。
今後の鍵:スマートリングとディスプレイレスAIグラス
IDCは長期成長を支える要素として、スマートリングとディスプレイレスAIグラスという2つの新興フォームファクターの伸長を挙げています。両カテゴリは現状こそトップ5ベンダーの主戦場ではないものの、ウェアラブルデバイス市場全体の拡大を支える要素として位置付けられています。
スマートリングについては、Oura・Galaxy Ring・Amazfit Helio Ringといった既存プレイヤーに加え、医療用にFDA認可を取得したFDA認可の医療用スマートリング「Happy Ring」、自宅で睡眠時無呼吸を97%精度で診断|セラミック製+遠隔診療で5日以内に治療計画まで【海外発表】のような特化型製品も登場しており、用途多様化のフェーズに入っています。ディスプレイレスAIグラスはMeta(Ray-Ban Meta/Oakley Meta/Meta Glasses)が市場80%超を握る現状で、Apple/Google/Samsungの参入が控える状況です。
市場成熟下でも「層の入れ替わり」は続く
2025年データを総合すると、世界ウェアラブル市場は単純な成熟・縮小フェーズではなく、「Apple寡占の緩和」「HUAWEI/中国系の急成長」「Xiaomi主導のエントリー底上げ」「Whoop型プレミアム健康ウェアラブルの拡散」という多層的な入れ替わりが進んでいることが分かります。スマートウォッチ市場の成熟感については過去にスマートウォッチ市場はなぜ成熟した?「新規参入の減少」と「撤退の増加」から現在地を読むでも整理していますが、本IDCデータからは「カテゴリ単位では成熟しつつも、ベンダー競争はむしろ激化している」という構造が浮かび上がります。
2026年以降の市場は、メモリ供給制約による単価上昇、スマートリング/AIグラスといった新興フォームファクター、そして中国・新興国の補助金政策が引き続き重要な変数となりそうです。続報があり次第、改めて記事化します。
Source: IDC Worldwide Wearable Device Market Insights(2026年3月25日更新) / チャート画像:IDC Worldwide Wearable Device Tracker(IDC公式サイトより引用)
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