スマートウォッチ出荷の25%がEdge AI対応に、Appleが約9割を独占|Counterpoint調査【2026年Q1】

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Edge AI対応スマートウォッチの世界出荷浸透率 2026年Q1と2025年Q1の比較グラフ 出典Counterpoint Research

スマートウォッチが、歩数や心拍を記録するだけの「トラッカー」から、AIが健康を読み解く「賢い相棒」へと変わりつつあります。調査会社Counterpoint Researchによると、2026年第1四半期(Q1)に出荷された世界のスマートウォッチのうち、25%がEdge AI(エッジAI)に対応し、前年同期比で70%増と急拡大しました。

Edge AIとは、クラウドやスマートフォンに頼らず、ウォッチ本体の専用チップ(NPU=ニューラル処理ユニット)でAIの推論を行う技術です。転倒や不整脈の即時アラート、常時の健康モニタリングを、プライバシーを保ちながら端末上で処理できるのが特長です。そしてこの分野は、いまAppleがほぼ独占している状況です。

スマートウォッチ出荷の25%がEdge AI対応に

Edge AI対応スマートウォッチが伸びている背景には、消費者が歩数・心拍・睡眠時間といった基本指標を超えた、より役立つ健康インサイトを求めていることがあります。加えて、低消費電力のニューラルアクセラレーターの登場により、バッテリー持ちを大きく損なわずに、AI機能をウォッチ上で直接動かせるようになりました。

これにより、転倒や不整脈(心房細動)の検知といった即時の健康アラートや、パーソナライズされた提案を、スマホやクラウドに大きく依存せず、より高いプライバシーを保ちながら提供できます。

Edge AI対応スマートウォッチの世界出荷浸透率 2026年Q1と2025年Q1の比較グラフ(Counterpoint Research)

出典:Counterpoint Research「Global Smartwatch Shipments Tracker, Q1 2026」

Edge AIの約9割をAppleが占める

もっとも、Edge AIの浸透はまだ一部の先行ブランドに限られています。Counterpoint ResearchのPrincipal Analyst、Anshika Jain氏は次のようにコメントしています。

「各ブランドはスマートウォッチのハードウェアを継続的にアップグレードし、よりAIに対応させてきました。Edge AIの統合により、リアルタイムの健康インサイトと高速な応答が可能になり、データのプライバシー確保にも役立ちます。ただし現状、Edge AIの浸透は先行ブランドに限られており、2026年Q1にはAppleだけでEdge AIスマートウォッチ出荷の約90%を占めています」

健康機能の搭載が急拡大|血圧は2倍、睡眠時無呼吸は3倍に

Edge AI化を牽引しているのが、健康・フィットネスのモニタリングです。生体信号をクラウドに送るのではなく、心拍や睡眠、体温をウォッチ上でリアルタイムに解析し、心房細動や睡眠時無呼吸、血圧上昇といった状態を端末側で検知する流れが強まっています。

その結果、健康機能の搭載も業界全体で急増しました。Counterpointによると、2026年Q1には血圧測定に対応するスマートウォッチの出荷が2倍睡眠時無呼吸の検知に対応するモデルは3倍に増えたといいます。各ブランドは今後、糖尿病のようなより難しい課題にも狙いを定めています。

スマートウォッチの健康機能搭載率 2026年Q1と2025年Q1の比較グラフ(Counterpoint Research)

出典:Counterpoint Research「Global Smartwatch Shipments Tracker, Q1 2026」

チップ競争が加速|Apple・Huawei・Qualcomm・Google

供給側では、チップメーカーがスマートウォッチを受動的なトラッカーから知的な健康コンパニオンへ変えるべく、シリコンの強化を続けています。Appleは2023年にS9チップを投入し、4コアのNeural Engineで機械学習タスクを処理。Huaweiは2025年に自社製のKirin W80チップを、音声アシスタント「Celia」と組み合わせて投入し、AI競争に対応しました。

2026年に向けては、Qualcommが専用NPUを備えた「Snapdragon Wear Elite」を発表済みで、GoogleもTensorベースの次期ウェアラブル向けシリコンでAI統合を深めると見られています。さらに、専用NPUを持たないベクトルコア型シリコン上での「第2のオンデバイスAI」も登場しつつあります。AmbiqのApolloプラットフォームは、Armの「Helium」ベクトル拡張と新たなソフトウェアカーネルでニューラル推論を動かしており、専用ハードを持たない端末にもオンデバイスAIを広げる可能性があるとして注目されています。

2026年にEdge AIは32%へ|鍵はソフトウェア最適化

Counterpoint ResearchのResearch Director、Mohit Agrawal氏は、今後の見通しをこう語ります。

「スマートウォッチのEdge AIは、主にハードウェア統合の段階から、ソフトウェア最適化を含む段階へと移りつつあります。本当の鍵は、より小型で効率的なモデルと、あらゆるアプリがローカルで推論を実行できるOSレベルのアクセスです。AIは単一のアプリから、個人データ上で機能する『パーソナルレイヤー』へと変わる必要があります。これにより即時の健康アラートやジェスチャー操作、より豊かなパーソナライズ体験が可能になります。だからこそ、Edge AIの浸透は2026年に32%へ近づく見込みです」

まとめ|健康×オンデバイスAIが選びの新基準に

2026年Q1のデータは、スマートウォッチの価値が「記録するデバイス」から「その場で健康を読み解くデバイス」へと移っていることを示しています。血圧や睡眠時無呼吸の検知が一気に広がり、Appleが先行するEdge AIも、QualcommやGoogleのチップ登場で今後さらに裾野が広がりそうです。

スマートウォッチを選ぶ際は、これからは「どんなセンサーを積んでいるか」に加えて、「その分析をどこまで端末上のAIで賢く行えるか」も、大きな比較ポイントになっていきそうです。スマートウォッチの最新動向はSmart Watch Lifeトップページもあわせてご覧ください。

Source: Counterpoint Research(グラフ出典:Counterpoint Research Global Smartwatch Shipments Tracker, Q1 2026)

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